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銀座が「アクセシブル(誰もがアクセス可能)」な街であることは意外に知られていない。この記事では、車いすユーザーや高齢者、子ども連れ、大荷物を抱えた観光客などを対象に「誰もが快適に楽しめる銀座」を紹介する。監修を行ったのは、バリアフリーコンサルティング事業を展開するNPO法人アクセシブル・ラボ代表の大塚訓平だ。
銀座駅周辺の「アクセシブル」なレストランやショップ、ギャラリー、商業施設、少し休憩するための誰もが楽しめる広場を、入り口の段差やバリアフリー(多目的)トイレ、オストメイト、ベビーシート、荷物預かり、優先駐車場などの有無を表示するピクトグラムとともにレビューする。
ピクトグラム表記こそないが、ソフト面(心や情報)のバリアフリー化が徹底されている店舗も網羅した。ぜひ、誰もにフレンドリーな銀座を楽しんでほしい。
※掲載されているコンテンツは、銀座インフォメーションマネジメント(全銀座会)とのコラボレーションで制作したガイドマップ「銀座 アクセシブルガイドマップ」の内容を一部加筆し、転載したものです。アクセシブルガイドマップは「G Info銀座観光案内所」(東急プラザ銀座1階 数寄屋橋公園側)で配布中
マシア(MASIA)
「銀座ベルビア館」8階にある、話題のモダンスパニッシュ「マシア(MASIA)」。三つ星レストランでの在籍経験を持つシェフのマテウ・ビジャレット(Mateu Villaret)が手がけるメニューの多くは、「Mar y Montanya(海と山)」というコンセプトをベースに、季節感あふれるカタルーニャの伝統料理を現代的なスタイルでアレンジしたものだ。
人気店なので、予約してから訪れるのを勧めたい。なお、バリアフリー(多目的)トイレは2・7階にある。
ナミキ667(NAMIKI667)
「ハイアット セントリック 銀座 東京」の3階にあるオールデイダイニング。開放感のある店内では、一日を通して旬の食材をふんだんに使った季節感あふれる料理が楽しめる。天気のいい日には、並木通りを眺められるテラスでの食事がおすすめだ。
ブルガリ ギンザ バー(Bulgari Ginza Bar)
「ブルガリ銀座タワー」の10階にあるバー。種類豊富なカクテルはもちろん、ノンアルコールの「モクテル」や軽食の用意もある。カクテルは、同店ならではの独創的なものをチョイスするのがいい。特等席は入ってすぐの窓際の場所で、夕暮れ時に座れば、東京タワーがライトアップされる瞬間を眺めることができる。
バリアフリートイレは9階にあり、利用する場合は案内してくれる。
銀座いさみや
新生児から小学校高学年向けの洋服や雑貨を販売するセレクトショップ。新生児コーナーに並ぶ今治タオルのバスポンチョなど、日本製で素材や機能面にもこだわった商品も多い。
エレベーターはないが、ベビーカーは1階で預けたり、別のフロアまで運んでもらえる。店内には、キッズスペースや子ども用トイレもある。
つばめや
「あか牛Tボーンステーキ」にこだわる和牛レストランの「つばめや」。阿蘇の豊かな自然で 育った希少品種「くまもとあか牛」を一頭買いで仕入れ、さまざまなメニューで提供している。
中でも、フィレ肉とサーロインを同時に楽しめる「Tボーンステーキ」は、牛肉のうまみを堪能できる一品。また、和牛100%のハンバーグ「つばめや特製ハンバーグ」も人気メニューの一つだ。
寿月堂 銀座 歌舞伎座店
1854年創業の「丸山海苔店」が始めた日本茶専門店。「歌舞伎座タワー」の5階にあり、内観は建築家の隈研吾が竹林をイメージして設計したものだ。さらに、窓の外には屋上庭園が広がるという唯一無二の空間が広がる。
喫茶では上質な抹茶や自家製の抹茶パフェなどが堪能できる。小腹がすいているなら「海苔と食べるシーフードサンド」がおすすめだ。
バリアフリートイレは、各階に用意されている。
東急プラザ銀座
江戸切子をモチーフとしたガラス張りの外観がシンボリックな商業施設。ファッション・飲食店、約100店舗が入居しているほか、ライフスタイル提案型のテナントもある。
地下3階の駐車場は全てフラットな機械式で、車いすユーザーも問題なく利用できる。
銀座三越
1930年に開店した銀座屈指の老舗デパート。食品からコスメ、ジュエリー、アパレル、子ども用品と幅広く揃うが、日常をアップデートしたいのなら、上質な器やキッチン用品などが並ぶ7階は必見だ。
ショッピングに疲れたら、9階にある「銀座テラス」へ。休憩を終えたら、銀座出世地蔵に手を合わせるのも忘れずに。
東京鳩居堂 銀座本店
1663年に京都で創業、1880年に銀座へ出店した香・書画用品の老舗。売り場は1・2階で、季節ごとに入れ替えるポストカードや和紙など、色彩鮮やかな文具が並ぶ。
2階にはエレベーターで昇降でき、豊かな香りが鼻腔(びこう)をくすぐる。香と同じく、自社製品である墨や筆などが人気で、ディスプレーの様子は壮観だ。香りを試せるのもうれしい。
入り口には3センチほどの段差があるが、高齢者にも愛されている同店には多くの車いすユーザーが訪れており、通路が広く取られているほか、スタッフも親身に対応してくれる。
数寄屋橋公園
2016年にリニューアルした「数寄屋橋公園」。岡本太郎の「若い時計台」があることでも知られており、地域で生活をする人の憩いの場になっている。園内にはバリアフリートイレも完備。テイクアウトフードは、こういった公園の方が気兼ねなく味わえるだろう。
アポロ(THE APOLLO)
「東急プラザ銀座」の11階にあるシドニー発のモダンギリシャレストラン。広々とした店内は大理石のテーブルで統一され、スタイリッシュモダ ンな空間ながら、ベビーカーを伴った子ども連れから高齢者まで幅広く支持されている。平日であっても予約マストな一軒だ。
定番人気の「ムサカ」や「グリークサラダ」のほか、「サガナキチーズ」「レモンパイ」など、おすすめのメニューは挙げ出せばきりがない。近年は、シーフードプラッターといった皆で楽しめる大皿料理にも力を入れており、人気を博している。
バリアフリートイレは同店のある11階に設置されており、トランクなどの大荷物はスタッフに声をかければ、店の受け付けで預かってもらえる。
歌舞伎座
銀座のシンボルとして親しまれている「歌舞伎座」。地下2階に広がる「木挽町広場」には、歌舞伎グッズや和風雑貨などの売店や食堂が並ぶ。
劇場内のみだが、事前に連絡すれば、車いすの貸し出しも行っている。
マイスター工房八千代 銀座店
兵庫県多可町で1日に1500本以上を売り上げ、絶大な人気を誇る「天船(あまふね)巻きずし」(1,300円、ハーフ780円、税込み)が購入できる直営店。卵焼きやシイタケの甘さとさっぱりとしたキュウリののコントラストが絶妙で、一度食べたら思わずリピーターになってしまうような逸品だ。
米よりも具材の量が多く、キュウリは同商品のためだけに自家栽培しており、みずみずしいものを厳選して使用しているという。
創業者の藤原たか子が手がけたというかわいいパッケージデザインも、ほっこりと優しい印象でいい。
ハイアット セントリック 銀座 東京
「ハイアット」のブランドとしてアジア初上陸のライフスタイルホテル。レセプションに飾られている銀座の街をモチーフにした襖絵(ふすまえ)をはじめ、館内はさまざまなアートワークであふれている。
車いす対応の客室「アクセシブルルーム」が予約できるほか、館内には車いす対応の公共トイレも設置されている。
本店山科
「銀座プレイス(GINZA PLACE)」の11階にある、全国から厳選した和牛を使ったコースを提供する鉄板焼き店。最高の和牛の一つと称される、超長期肥育された「近江牛」は絶品だ。また、厳選した約1000本のワインの中には希少な銘柄も用意する。ランドマークが立ち並ぶ銀座四丁目交差点を一望できる贅沢なロケーションで、舌鼓を打ちたい。
バリアフリートイレは同ビルの3階にある。
アイアンバーク グリル&バー(Ironbark Grill & Bar)
「ギンザ シックス(GINZA SIX)」の6階にあるモダンオーストラリア料理店。オーストラリア産の食材やスパイスにこだわり、栄養価の高い牧草で育つ「パスチャーフェッド牛」や、タスマニア産オーシャントラウトのコンフィ、伝統的なデザートの「オージーパブロバ」などを提供する。ソムリエの目利きが光るワインや、バーテンダーによるカクテルとともに味わいたい。
バリアフリートイレが、6階に2つ設置されているのもありがたい。
ユニクロ トウキョウ(UNIQLO TOKYO)
世界最大規模となるユニクロの旗艦店。圧倒的な品揃えのみならず、銀座の名店とコラボレーションしたアイテムにもつい手が伸びてしまいそうだ。同店が入居している「マロニエゲート2」には、GUやダイソーのグローバル旗艦店も入居している。
バリアフリートイレはマロニエゲート2の7階にある。
松屋銀座
創業150年以上の老舗デパート「松屋銀座」では、屋上のパブリックスペースに注目。いすやテーブルが配置され、自由に休憩できるという点はほかの施設の共用スペースと同様だが、松屋の屋上にはバリアフリートイレも設置されているのだ。
屋上のエレベーター付近には礼拝室もあり、買い物の合間に祈ることもできる。
ギンザ シックス(GINZA SIX)
銀座エリア最大級の商業施設で四季が感じられることを知っているだろうか。約4000平方メートルの屋上庭園にはさまざまな植物が植え付けられており、サクラやカエデなど、その時期ならではの景色を楽しむことができる。
「GINZA SIXガーデン(屋上庭園)」のオープン時間は、ほかのフロアよりも長い7時から23時。手荷物は、1階のツーリストインフォメーションセンターに一時的に預けることもできる(有料)。
カフェ スティロ(CAFE Stylo)
「銀座 伊東屋 本店」の最上階にあるカフェレストラン。サラダやサンドイッチといった軽食をテイクアウトでも楽しめる。
フードに用いられるのは、同建物の11階にある野菜工場「FARM」で水耕栽培されたフレッシュな野菜。FARMは見学も可能だ。
無印良品 銀座
2023年9月に、食にフォーカスしリニューアルオープンした旗艦店。「無印良品」の食品のほか、店内で焙煎(ばいせん)したコーヒー豆やワイン、食材などを販売する。
ソムリエやコーヒープロフェッショナルといった専門スタッフがいるので、好みに合わせたベストな品を購入できるだろう。
バリアフリートイレは地下1階と6階にある。
資生堂パーラー 銀座本店サロン・ド・カフェ
1902年、ソーダ水とアイスクリームを扱う「ソーダファウンテン」としてスタートした資生堂パーラー。贅沢にひと休みするなら、「東京銀座資生堂ビル」の3階にあるこのカフェで決まりだ。
伝統の味を一度に楽しめる「アイスクリームソーダ」も捨てがたいが、いちおしは資生堂パーラーの美学が感じられる「ストロベリーパフェ」。バニラアイスクリームと厳選イチゴが相性抜群のパフェは、疲れた体を幸せにしてくれる。
バリアフリートイレは同店がある3階と、4階の「銀座本店レストラン」に設置されている。
喜記
「イグジットメルサ(EXITMELSA)」の7階にある香港料理専門店。美食あふれる香港のさまざまな味を再現し、本場さながらのクオリティーとラインアップで提供している。
看板メニューの「大海老のチリガーリック炒め」から「海老ワンタン麺」や点心に至るまで、驚きがある料理ばかりだ。
バリアフリートイレは同店と同じ7階にある。
イル カルディナーレ 銀座コリドー店 クッチーナ イタリアーナ
イタリアの中部にあるトスカーナ州の料理をメインに提供する「イル カルディナーレ 銀座コリドー店 クッチーナ イタリアーナ」。ここに来たらボリューミーなサラダや卵料理、パスタなどから成る日替わりの「イタリアンブレックファスト」を楽しもう。自社輸入のスパークリングワイン「プロセッコ」が朝から堪能できる優雅なセットだ。
バリアフリートイレは2階にあり、エレベーターも完備。店内には電源が多いので、車いすの充電がてら寄るのもいいだろう。
アートアクアリウム美術館 GINZA
多種多様な金魚が光と音と色のアートに呼応するかのように泳ぐ姿が楽しめる日本最大級の金魚アート美術館。円柱の水槽が並ぶ「金魚の回廊」という空間型の作品や、日本の美しき伝統である折り紙に着想を得た「オリガミウム」をはじめ、目を奪われるような展示が揃う。
車いすで入場する際は、入り口スタッフがバリアフリーの入場口へ案内してくれる。また、ベビーカーでの入場はできないため、9階の置き場を利用しよう。
コンパルホール 酒と肴 朔月
アジフライやハムエッグなど、親しみのあるメニューをプロの料理人が上質な材料と丁寧な調理で提供するネオ大衆酒場。見た目は家庭的だが中身は本格だ。
一番人気は「朔月特製もつ煮込み」。厳選した新鮮な生のモツを使用しており、肉厚で臭みがなく、ジューシーな歯応えがたまらない。「特製ちゃんぽん」はハーフサイズや麺抜きにも対応する。
入り口にはわずかに段差があるが、大衆居酒屋には珍しくバリアフリートイレが設置されている。
銀座 伊東屋 本店
銀座で120年の歴史を持つ文房具専門店。種類豊富なアイテムはもちろん、想像力をかき立てるような棚のレイアウトも印象的だ。2階では、購入したレターセットに手紙をつづり、その場でポストに投函(とうかん)もできる。
歴史と最先端が融合する街、銀座は、買い物天国なだけでなく美食家の集う街でもある。碁盤の目のような街の、どの通りに目当てのレストランが位置しているのか。それが分かるようになればあなたも銀座通だ。
ここでは東京一の繁華街で味わう、とろけるような和牛や一風変わったラーメン、ほっとするオムライスなど、とっておきの料理が味わえる店を紹介しよう。
「世界でもっともバーが多い街」、それは東京、銀座だろう。ロンドンやニューヨークを巡っても、シンガポールや香港、はたまたベルリンやモスクワに足を運んでも、これだけバーがひしめく街を知らない。あるメーカーの冊子によると銀座一丁目から八丁目までに多種多用なバーが350軒は営業している。街を歩いても、すべての雑居ビルに「BAR」という看板が見られるような気分だ。もちろん、数ばかりではない。銀座の歴史を、過ぎ去った昭和を閉じ込めたような歴史的一軒から、その卓越した創造性で世界から脚光を浴びるバーまで、そのコンテンツ力についても世界に誇ることができるバーの街として知られる。今回、そんな街から10軒のみを紹介。賛否あろうが、人生に命の水をもたらす個性派を揃えた。
かつて、街歩きや観光の際、誰もが紙のガイドマップを携えていた。それなしではどこにも行けなかった時代は、スマートフォンの普及とともに過去の遺産になろうとしている。
そんなデジタル時代でも、紙のガイドマップを作り続ける街がある。東京屈指の人気エリア、銀座だ。全銀座会下部組織である銀座インフォメーションマネジメント(以下GIM)とタイムアウト東京が提携して発行している銀座エリアのガイドマップは、2014年にスタートし、2023年で9シリーズ目を迎えた。
銀座という街はなぜタイムアウトのガイドマップを必要としたのか、作り続ける中で得たものとは、そして今の時代に紙である理由とは何なのだろうか。
GIMの事務局長である升田綾子と、アートと社会の間に新しい関係性を育むことを目指す合同会社渚と代表社員の森隆一郎、タイムアウト東京を運営するORIGINAL Inc. 取締役副社長の東谷彰子の3人が、この銀座ガイドマップについて語り合う鼎談(ていだん)を2023年6月7日に開催した。
ここでは、その様子をレポートするとともに、同マップによって引き出された銀座の魅力について紹介しよう。
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