ジブリの立体造型物展
Photo: Kisa Toyoshima | 「海を渡った熱風」がテーマの「ジブリの立体造型物展」
Photo: Kisa Toyoshima

東京、6月から7月に行くべきアート展

個性豊かな注目の展覧会を紹介

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東京の人気ギャラリーや美術館で開催するアート展を紹介。「東京都庭園美術館」での年に一度の建物公開展から、日本古美術や中国美術、ジブリの立体造型物展まで、今月も注目の展示が盛りだくさんだ。

厳選したアート展を紹介する「東京、6月に行くべきアート展5選」「東京、6月に行くべき無料のアート展14選」という記事も用意しているので、併せてチェックしてほしい。

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6月から7月に行くべきアニメ展示

  • アート
  • 白金台

「東京都庭園美術館」で、旧朝香宮邸の建築空間を生かした、年に一度の建物公開展が開催。素材や技法、室内意匠など、建築そのものに注目しながら、同館の建築としての魅力を紹介する。

現在に至るまで同館は、朝香宮家が過ごした邸宅として、元首相・吉田茂の政務の場として、国の迎賓館として、民間の催事施設として、そして美術館として、時代の潮流とともに歴史を紡いできた。

本展では「機能の変遷」をテーマに、各時代を彩るゆかりの作品や写真・映像資料を通して、建物の記憶をひもとく。また、家具や調度品を用いた再現展示、ウインターガーデンの特別公開、さらに窓のカーテンを開け放ち、夏の新緑を望めるように設える。

アール・デコ様式の邸宅建築の魅力の源泉に迫る本展。唯一無二の空間を堪能してほしい。

  • アート
  • 天王洲

スタジオジブリ作品の魅力に迫る展覧会「ジブリの立体造型物展」が、天王洲の「寺田倉庫 B&C HALL/E HALL」で開催。2003年に始まった本格的なスタジオジブリ展の原点である「立体造型物展」が、進化を遂げて22年ぶりに東京に帰ってくる。

今、世界中で観られているスタジオジブリ作品。その背景には、長い時間をかけて届けようとした人々がそれぞれの国や地域にいた。

本展では、「海を渡った熱風」をテーマに、海外のパートナーたちがどのように作品を届けていったのかをたどる。併せて、『となりのトトロ』『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』など、数々の映画からの名場面が立体造型物となって展示される。

注目は、『紅の豚』に登場する飛行艇「サボイアS.21」。「もしも本当にあったら」という想定で作られる迫力満点の飛行艇は、今にも飛び立ちそうに見えるだろう。

また、 宮﨑駿がかつて「三鷹の森ジブリ美術館」の企画展示用に制作した短編アニメーション『空想の空とぶ機械達』が特別上映。大空に憧れた人々がかつて空想した「空とぶ機械たち」を描く。さらに、会場隣接の水上施設「T-LOTUS M」では、『崖の上のポニョ』に出てくる「あのハム入りラーメン」が味わえる。

ジブリの世界に飛び込める本展。帰り道は、きっとジブリ作品が観たくなっているだろう。

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  • アート
  • 神奈川

「平塚市美術館」で、平塚市出身のアーティスト・原良介の個展「原良介 サギ子とフナ子 光のそばで」が開催。一貫して追求している光の表現を中心に、近年多彩な広がりを見せている画家の現在地までを紹介する。

原の作品は、油絵具による一層のみの筆致で対象を的確に捉えた、明るい色の光あふれる風景が特徴。少ない手数で描く対象の形、奥行きや前後関係も見事に捉え、大画面の迫力ある筆遣いが魅力だ。

風景は、自然と人間の接点あるいはその境界を表し、多くはフィールドワークを元に制作。平塚出身の画家が子どものころから慣れ親しんだ土地や、何度も取材した場所は、鑑賞者にとってどこかで出合った景色を想起させるだろう。

  • アート
  • 銀座

横尾忠則の個展「横尾忠則 未完の自画像 - 私への旅」が「グッチ銀座 ギャラリー」で開催。「旅」を想起させるテーマを描いた作品を中心に、今回初公開となる自画像や家族の肖像など最新作6点を含めた約30点の作品が展示される。

本展のテーマである「未完」とは、「芸術の創造性は完成された瞬間よりも、むしろ未完成であることにこそ宿る」という、横尾が一貫して掲げてきた美学に基づくもの。1960年代から約60年にわたり、千変万化するスタイルと森羅万象に及ぶテーマを駆使しながら作品を生み出してきた横尾は、常に新しい表現の可能性に挑戦してきた。

特別に解放された屋上スペースでは、1970年の「日本万国博覧会(大阪万博)」で大きな話題を呼んだ、「未完」のイメージをシンボリックに提示した「せんい館」の赤い足場を再現した作品を展開。ダイナミックで創造的な空間を感じてほしい。

また、2025年4月26日(土)〜6月22日(日)には「世田谷美術館」で「横尾忠則 連画の河」も開催。横尾の作品を都内でより楽しめるだろう。

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  • アート
  • 神奈川

「川崎市岡本太郎美術館」で、1970年に大阪で開かれた「日本万国博覧会(以下、大阪万博)」での岡本太郎の挑戦に焦点を当てた「岡本太郎と太陽の塔―万国博に賭けたもの」が開催される。

「人類の進歩と調和」をテーマとする大阪万博で、岡本はテーマ展示プロデューサーに就任。会場中心に据えた「太陽の塔」は、モダニズムと相容れない独特の外観で賛否を巻き起こし、展示構成も「人類の進歩と調和」に異議を唱える岡本の思想が反映されたものであった。

本展では、民族学を源泉とし、国内の取材旅行を通して形成された岡本のフィールドワークで撮影した写真を紹介するほか、「太陽の塔」の制作記録や実際の建設過程などを展示する。

また、世界各国の仮面や神像などの民族資料を通して、岡本がテーマ展示の地下空間で表現しようとした「今日の文明が失ってしまった人間の原点」に迫る。

ただの「お祭り」と、人間の誇りと生きる歓びを爆発させる神聖な「祭り」を区別し、大阪万博は後者であるべきと考えた岡本。太陽の塔を中心に据えることで、「祭り」の実現に賭けた岡本の野心と道程を垣間見てほしい。

  • アート
  • 府中

「府中市美術館」で、明治末から大正期にかけて活動した文学書の装丁作家・橋口五葉(1881〜1921年)の個展「橋口五葉のデザイン世界」が開催。日本の書斎空間を美しく彩った五葉の装丁の世界を中心に、豊かなデザイン世界を紹介する。

女性の美しさを柔らかく表現した版画で世界的に知られている五葉は、書籍の装丁やポスター、洋画や日本画とジャンルを超えて多彩に活躍した。 


五葉の仕事の出発点には、日本の近代装丁史に大きな足跡を残す夏目漱石の『吾輩ハ猫デアル』の装丁があり、その後も日本近代文学を代表する作家の装丁を次々と手がけた。


装丁に見られる職人との協業や素材へのこだわり、画面を花々や小動物のモチーフで埋め尽くす華やかな装飾性は、その後の絵画や版画の仕事にも息づく。同時代のアール・ヌーヴォーと、琳派や浮世絵などの日本の伝統が、五葉の美意識の下に融合し、唯一無二の作品世界を生み出している。

本を立体として捉え、手のひらに収まる小さな世界に美しさが凝縮された五葉の装丁。今でも美しい輝きを放つ五葉が手がけた世界に入り込もう。

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  • アート
  • 天王洲

現代アートと建築のミュージアム「ワットミュージアム(WHAT MUSEUM)」で、「Reborn-いのちを織りなすアーティストたち-」展が開催。日本文化の根底に流れる「自然との共生」と「いのちの行方」をテーマに、現代アーティスト6人による約67点の作品を紹介する。

参加作家は、鈴木初音、玉田多紀、永沢碧衣、帆刈晴日、水田典寿、宮川達也。現代では薄れつつも、日々の暮らしの中で大切に継承されてきた自然との深い関わりに着目し、「いのちの行方」について視覚的に提示する。

流木や古紙ダンボール、狩猟で得た膠(にかわ)など、出合った素材と真摯(しんし)に向き合い、対話を重ねながら作品を生み出している。

こうして生まれた作品は、それぞれ異なる表情を持ちながらも、共通の方向へと鑑賞者を誘うだろう。

  • アート
  • 渋谷

「ディーゼル アート ギャラリー(DIESEL ART GALLERY)」で、大河原健太郎による個展「MUSE TAKING A SHIT」が開催。現在ソウルを拠点に活動する大河原が、新たに取り組んでいるオイルペインティングを中心に、約50点の新作を発表する。

ペインティングやスカルプチャーを中心に国際的に展覧会を開催するほか、プロダクトデザインやさまざまなコラボレーションに取り組む大河原。特に女性のポートレートの割合が大きい本展では、生活の大部分を占めるパートナーとの深い関わりが影響しており、その関係性が本展の構想につながった。

この複雑な世界を理解する方法として、大河原は家族や友人と向き合い、自身の感情をペインティングという形で表す。そして、作品を通して鑑賞者と対話することで、今、本当に必要としているものを見つめる。

人間、生き物、そして擬人化されたオブジェクトのカクテルが、親密かつ奇妙な方法で互いに作用し、誰もが愛着を持てる世界を作り出している。

会場では、新作の展示・販売をはじめ、限定グッズや、ディーゼルとコラボレーションによるTシャツも販売。また、ワークショップの開催も予定している。

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  • アート
  • 青山

デンマークの映画監督であるニコラス・ウィンディング・レフン(Nicolas Winding Refn)とゲームクリエーターの小島秀夫が考案した展覧会「Satellites」が、「プラダ 青山店」で開催されている。

映画業界とゲーム業界のプロセスが互いに接近し、重なり合う傾向にあると考えているウィンディング・レフンと小島。そして、将来的には共通のテクノロジーの活用などを通じて一つのデジタル次元へと融合し、個人や集団の体験に新たな可能性をもたらす可能性があるという信念の下、活動している。

今回のコラボレーションでは、両者の選択的な一体感を浮き彫りにし、個の枠、言語の壁を超えることを可能にした。

会場は、ミッドセンチュリー風のインスタレーション空間として生まれ変わり、鑑賞者を別の次元へと誘う。レトロフューチャーな宇宙船を模した6台のテレビで構成され、映像として浮かび上がったウィンディング・レフンと小島が深く思索的な対話を交わす。

彼らの対話は、友情、クリエーティブなコラボレーション、新しいテクノロジーと創造性、アイデンティティーとコミュニケーション、死とその先に残るものなど、多岐にわたるテーマを探っている。

  • アート
  • 谷中

「スカイ ザ バスハウス」で、名和晃平の個展「Sentient」が開催。テクノロジーと生態の変化が加速する現代を背景に、ミクストメディアの実践を通じて、知覚と情報を相互にもたらすオブジェの作用を探求してきた名和が、オブジェの存在論に新たな問いを投じる。

展示空間には、ブラウン管テレビ、節句を祝う飾り馬、ギリシャ彫刻の石こう像といった静物から、燃焼し続けるロウソクや展示中に週替わりで替える生け花まで、複層的な対話を織り成す約20点の彫刻作品が、それぞれ台座に置かれている。

作品の表面には、コケや菌糸のような絨毛(じゅうもう)を付着させた「Velvet」や、3Dスキャンなどで得たデジタルデータを元に彫刻化する「Trans」など、名和のこれまでの彫刻シリーズを特徴づける技法が用いられている。

彫刻の概念を拡張し続ける名和の作品世界へ、足を踏み入れてほしい。

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  • 丸の内

「三菱一号館美術館」で、ピエール=オーギュスト・ルノワールPierre-Auguste Renoir、1841〜1919年)とポール・セザンヌPaul Cézanne、1839〜1906年)の2人展が開催。パリの「オランジュリー美術館」が、ルノワールとセザンヌという印象派・ポスト印象派の2人の画家に初めて同時にフォーカスし、企画・監修をした世界巡回展だ。 


ルノワールの『ピアノを弾く少女たち』やセザンヌの『画家の息子の肖像』などの代表作をはじめ、肖像画、静物画、風景画、そして、2人から影響を受けたパブロ・ピカソ(Pablo Ruiz Picasso)を加えた52点の作品を展示。モダンアートの原点を探り、自在で多様な表現が生み出される2人の巨匠の、卓越した芸術表現を楽しめる。

ミラノ、スイス、香港を経て日本へ。国内唯一の会場となる本展を見逃さないように。

  • アート
  • 銀座

「ポーラ ミュージアム アネックス」で、平面・彫刻・映像・インスタレーション・パフォーマンスなどさまざまな制作活動を展開する鈴木ヒラクの展覧会「海と記号」が開催。「描く」と「書く」の間をテーマに、新作16点の大型連作を展示する。

本展の中心となるのは、深海や宇宙を想起させる瞑想(めいそう)的な青の背景に、シルバーで描かれた連作『海と記号』。大型キャンバスが円環状に配置され、水中を漂う発光プランクトン、または細胞分裂や超新星などを想起させる記号群が脈動する。

また、考古学的遺物の写真をシルバーで塗り消し、架空の記憶を描き出す『Casting (Ocean)』や、新作映像インスタレーションも展示。ドローイングの概念を拡張し、空間や時間に潜在する線を探求する鈴木の世界へ、足を踏み入れてほしい。

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  • 六本木

「ペロタン東京」で、ベルリン在住のドイツ人アーティスト、グレゴール・ヒルデブラント(Gregor Hildebrandt)の日本初となる個展「…それでも4月に桜は咲く」が開催されている。

カセットテープとレコードを代表的な素材として用い、それらをコラージュしたり、組み合わせたりするヒルデブラント。一見ミニマルでありながら潜在的にロマンティックな絵画や彫刻、インスタレーションを制作する。

会場では、新作を中心に、展覧会タイトルにもある「桜の花」をモチーフとして展開。テープ・ペインティングのシリーズは、小型のものがさまざまなサイズで並び、驚くほど鮮やかな赤が用いられている。

また、本展の中で最も小さな絵画作品『The Red Studio』は 、アンリ・マティス(Henri Matisse)が1911年に制作した近代美術の傑作で、同タイトルの作品へのオマージュだ。

  • アート
  • 箱根

「ポーラ美術館」で、フィンセント・ファン・ゴッホ(Vincent van Gogh、1853〜1890年)をテーマとした展覧会が開催。今日に至るまで、芸術家たちがゴッホからの影響を糧としながら、それぞれの時代にふさわしい新たな情熱をどのように生成してきたのかを振り返る。  

わずか37年の生涯の中で、数多くの絵画を制作したゴッホ。その名声を築き上げているのは、うねるような筆触と鮮やかな色彩による独自の様式、そして、劇的な生涯に対する評価であるといえる。

ゴッホの作品や芸術に一生をささげたその生き方は、美術に関わる者たちの心を揺さぶるだけではなく、文化、そして社会といった広範な領域にインパクトを与えた。

会場では、異なる地域で描かれたゴッホによる油彩画や、ゴッホに影響を受けた作品として、戦前の画家から岸田劉生、前田寛治、中村彝などを展示する。

また、歴史上の人物や芸術作品に扮装(ふんそう)したセルフポートレートで知られる森村泰昌から、福田美蘭、桑久保徹、オランダ在住の映像作家であるフィオナ・タン(Fiona Tan)まで、多様性にあふれた現代におけるゴッホの変奏曲を紹介する。

見る者の心を揺さぶるゴッホ作品の魅力に迫る本展。ぜひ足を運んでほしい。

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  • アート
  • 青山

南青山の「根津美術館」で、「はじめての古美術鑑賞-写経と墨蹟-」が開催。古美術を分かりやすく解説するシリーズで、鑑賞のつぼを学び、「推し」を見つける企画だ。

なんとなくハードルが高いと思われがちな写経と墨蹟(ぼくせき)。どちらも仏教に基づく一方で、ひたすらに書き写された書と、書き手である禅僧の個性が表れた書という対照的な魅力を持つ。

本展では、国宝・重要文化財を中心とする写経と墨蹟を並べ、まずその造形的な違いを目で見て実感する。そして、書としての見どころや歴史的な重要性などの鑑賞ポイントを、専門用語も解説しながら紹介していく。

名品で古美術鑑賞を始める本展。興味を広げ、面白さや素晴らしさを体感してほしい。

  • アート
  • 六本木

「泉屋博古館東京」で、「死と再生の物語(ナラティヴ)―中国古代の神話とデザイン―」が開催。高度な文明が発達した中国古代での、優れた技術によって作られた文物と、それらに施されたデザインの数々を紹介する。

本展では、世界屈指と称される「住友コレクション」の青銅器・青銅鏡から名品を中心に公開。また、中国古代の洗練されたデザイン感覚、その背景となった物語・神話や世界観も丁寧に解説する。

そして、「動物/植物」「天文」「七夕」「神仙への憧れ」という4つの観点からデザインの背景を読み解き、さらには日本美術に与えた影響についても触れる。 


会期中は、プラネタリウムとのコラボレーションなど、新しい形で中国美術に親しむイベントも実施。ほかでは手に入らない、新たな青銅器グッズも登場するのでチェックしてほしい。

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  • アート
  • 清澄

「東京都現代美術館」で、世界的な文化アイコンであり、アーティスト、詩人であるパティ・スミス(Patti Smith)と、ベルリンを拠点に活動する現代音響芸術集団のサウンドウォーク・コレクティヴ(Soundwalk Collective)による最新プロジェクト「コレスポンデンス」が公開される。

本作は、世界のさまざまな場所でフィールドレコーディングされた「音の記憶」、パティが書き下ろした詩、そしてそれらを増幅させる映像が交差するオーディオビジュアルインスタレーションだ。8つの映像が織り成す複数の物語が、原発事故や森林火災、動物の大量絶滅といったテーマを探求するとともに、芸術家や革命家を参照しながら、アーティストの役割や人間の本質を問いかける。



世界各国を巡回する「コレスポンデンス」は、開催地ごとに新たな作品を制作し、サイトスペシフィックな展示を行う。これまでジョージア、コロンビア、メキシコ、アメリカなどで滞在制作を行い、その土地の歴史や文化的風景と結びついた作品を通じて、観客との間に多層的な応答関係を築いてきた。

今回、パティとサウンドウォーク・コレクティヴは、日本の協力者とともに滞在制作をし、本展で新作として発表。会期中にはアーティストトークも実施予定だ。詳細は、Instagram公式ウェブサイトで順次公開する。

国内の美術館として初となる、彼らのオーディオビジュアル作品を見逃さないように。

  • アート
  • 虎ノ門

虎ノ門ヒルズの「トウキョウ ノード(TOKYO NODE)」で、デザインを体感する展覧会「デザインあ展neo」が開催。デザインについてさまざまな思考・発見を楽しんでもらう展示を行う。

「デザインあ展neo」は、NHKの「Eテレ」で放送中の番組「デザインあneo」のコンセプトを、体験の場へと広げた展覧会だ。「みる(観察)」「かんがえる(考察)」「つくる・あそぶ(体験)」のステップでデザインを体感していく作品や、360度のスクリーンに囲まれて映像と音楽を身体で感じる作品などが展開する。

また、約35点の新作が公開され、番組でおなじみのコーナーも登場。さらに、会場の特徴的なギャラリー空間を生かした展示も構成される。

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  • アート
  • 上野

「東京都国立博物館」で、総勢85人のアーティストたちの木版画を通じて、現代から未来に続く伝統の可能性を追求する「浮世絵現代」が開催。伝統木版画の表現に魅了されたさまざまなジャンルのアーティスト 、デザイナー、クリエーターたちが、現代の絵師となり、アダチ版画研究所の彫師・摺師(すりし)たちと協働して制作した「現代の浮世絵」が堪能できる。

日本の木版画の技術は、江戸時代に独自に発展し、浮世絵という力強く華やかな芸術を生み出した。「浮世」という言葉には「当世風の」という意味があり、浮世絵版画はまさにその時代と社会を色鮮やかに映し出すメディアであった。 

高度な木版画の技術は、途切れることなく、現代まで職人たちに受け継がれている。伝統技術は、同時代の人々の心を捉える作品を生み出し続けることで、さらに次代へと継承されていくだろう。

本展の参加作家は、水木しげる、安野モヨコ、石ノ森章太郎粟津潔、佐藤晃一、田中一光、和田誠、草間彌生、横尾忠則、田名網敬一、加藤泉、塩田千春、名和晃平、李禹煥、福田美蘭といった、名だたるアーティストやクリエーターが名を連ねる。

  • アート
  • 葉山

「神奈川県立近代美術館 葉山」で、戦後日本を代表する画家の一人、中西夏之(1935〜2016年)の個展が開催。中西が生涯をかけて思考を続けた絵画の成り立ち、絵画が生まれる場を探る。

中西は、1960年代初頭に高松次郎や赤瀬川原平らと「ハイレッド・センター」を結成し、都市部で前衛的なイベントを行う。また、舞踏家の大野一雄や土方巽と交流を深め、多くの舞台美術を手がけた。

本展の見どころは、海の見える展示室一室を使って展開される、大作『紗幕孔穿』による空間インスタレーション。同作は舞踏家との交流の中、1960年代から中西がずっと温めていた、絵画が生まれる場=「絵画場」を独自の哲学と素材で表現した、晩年を代表するシリーズ「着陸と着水」の2作目だ。

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  • アート
  • 六本木

「サントリー美術館」で、重要文化財である狩野元信の『酒伝童子絵巻』に焦点を当てた「酒呑童子ビギンズ」が開催。解体修理を終えた本作を大公開するとともに、絵画と能の関連にも触れながら、知られざる歴史と多様な展開をたどる。

「酒呑童子」は、日本で最も名高い鬼。平安時代、都で貴族の娘や財宝を次々に略奪していた酒呑童子が武将・源頼光とその家来によって退治される物語は、絵画や能などの題材となって広く普及した。

特に、同館が所蔵する『酒伝童子絵巻』は、後世に大きな影響を与えた室町時代の古例として有名だ。さらに、近年の注目としては、本作とほぼ同じ内容を含みながらも、酒呑童子の生い立ち、すなわち「鬼の始まり」を大胆に描き加える絵巻が相次いで発見されている。


現代のカルチャーにも息づく日本人が古来親しんできた、鬼退治の物語を垣間見よう。


  • アート
  • 初台

ファッションとの関わりに見られるさまざまな「LOVE」の形について考える展示「LOVEファッション─私を着がえるとき」が、「東京オペラシティ アートギャラリー」で開催。18世紀から現代までの衣装コレクションを中心に、人間の根源的な欲望を照射するアート作品とともに展示する。

装いには内なる欲望が潜み、憧れや熱狂、葛藤や矛盾を伴って表れることがある。お気に入りの服を着たい、あの人のようになりたい、ありのままでいたい……。ファッションは、着る人のさまざまな情熱や願望=「LOVE」を受け止める存在と言ってもいい。

本展では、「アレキサンダー・マックイーン」「ジュンヤ ワタナベ」「コムデギャルソン」「ヨウジヤマモト」「シャネル」「ディオール」「メゾン マルジェラ」「ジルサンダー」「ゴルチエ パリ バイ サカイ」「ノワール ケイ ニノミヤ」「トモコイズミ」などといった、えりすぐりの衣服が大集合する。

また、AKI INOMATA、ヴォルフガング・ティルマンス(Wolfgang Tillmans)、シルヴィ・フルーリー(Sylvie Fleury)、原田裕規、松川朋奈ほか、現代美術家による作品も並ぶ。

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  • 清澄

「東京都現代美術館」で、日本を代表する造形作家・岡﨑乾二郎の集大成となる展覧会が開かれる。近年国際的な評価も高まる岡﨑の新作を中心とし、過去の代表作を網羅しつつ、その仕事の全貌を展望する。

絵画、彫刻のみならず、建築や環境文化圏計画、絵本、ロボット開発などの幅広い表現領域でも革新的な仕事を手がけた岡﨑。さらには文化全般にわたる批評家としても活躍してきた。

2021年以降は、社会的な情勢と個人的経験の2つの変化の中で、思考を位置づける時空の枠組みについて、大きな転回を迎えたという。会場では、それ以降の旺盛な活動期に入った新作・近作約100点を発表する。

それぞれの分野での革新性ゆえに、その全貌の把握が困難であった岡﨑の仕事を、その根底に一貫する造形という主題から総覧する本展だ。

  • アート
  • 上野

「東京国立博物館」で、「イマーシブシアター 新ジャポニズム ~縄文から浮世絵 そしてアニメへ~」が開催。同館が所蔵する国宝などの貴重な文化財から、今世界で人気の名作アニメまで、高さ7メートルのモニターで日本の至宝への没入体験ができる。

スケールが圧巻の「イマーシブシアター」では、超高精細映像により、土器や土偶、はにわ、絵巻、浮世絵などを、普段決して見ることができない角度やサイズで堪能できる。

また、手治虫や高畑勲、細田守などの、日本を代表する名作アニメも登場。日本の風土の中で受け継がれてきた独自の美意識が、日本のアニメにも共通していることを感じるだろう。

壮大な映像制作を手がけたのは、建築・都市・観光・文化など多様な分野の専門知識と経験を持ったメンバーで構成するクリエーティブ集団「Panoramatiks」と、「いいものを、つくる」というシンプルな思想の元に集う 「CEKAI」だ。

また、音楽は、さまざまなメディアでの音楽制作を手がける蓮沼執太が担当した。日本文化のタイムトラベルを大迫力の映像で楽しんでほしい。

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  • アート
  • 上野

「東京国立博物館」で、「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」が開催。江戸時代の傑出した出版業者である蔦屋重三郎(1750〜1797年)の全体像約250作品を紹介しながら、天明・寛政期(1781〜1801年)を中心に江戸の多彩な文化を紹介する。

多彩な出版活動を通し、人々が楽しむものを追い求め続けた重三郎は、喜多川歌麿、東洲斎写楽などの名だたる浮世絵師を世に出したことで知られる。また、黄表紙や洒落本(しゃれぼん)といった文芸のジャンルでも流行を取り入れ、 数々のベストセラー作品を生み出した。敏腕プロデューサーであり、非凡なマーケターともいえる彼は、まさに時代の風雲児であったのだ。

本展では、浮世絵黄金期と呼ばれる18世紀末の浮世絵界を代表する名品が一堂に集合。また、重三郎を主人公とした2025年のNHK大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」とも連携し、江戸の街にタイムトリップしたような空間を再現する。

  • アート
  • 丸の内

「東京ステーションギャラリー」で、フィンランドのモダンデザイン界で圧倒的な存在感を放つタピオ・ヴィルカラ(Tapio Wirkkala、1915〜1985年)を紹介する日本初の大規模個展が開催。プロダクト、ガラスや木による彫刻、写真など約300点が集結する本展は、プロダクトデザイナーとして、また彫刻家・造形作家としてのヴィルカラの本質に迫る。

1940年代後半から1950年代にかけ、イッタラ社のデザインコンペの優勝や「ミラノ・トリエンナーレ」の3度の入賞によって、一気に脚光を浴びたヴィルカラ。フィンランド最北の地域であるラップランドの静寂を愛し、自然に宿る生命力と躍動にインスピレーションを受けた。

その活動は、「ウルティマ・ツーレ」(「世界の果て」の意)をはじめとするガラスの名品や、陶磁器、カトラリー、家具などのプロダクト、木のオブジェ、さらにはランドスケープアートまでと広範囲にわたる。

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  • アート
  • 原宿

「ワタリウム美術館」で、現在もポーランドを拠点に活動を続け、今年90歳を迎える鴨治晃次による日本初の個展が開催。1960年代から今日までに制作された絵画、立体作品、デッサン、インスタレーションといった作品群が展示される。


1935年に東京で生まれた鴨治は、戦後のポーランド芸術の主流を築いた、1960〜1970年代を代表する前衛芸術家の一人だ。鴨治の芸術的成果は、ポーランドの美術史とその文化遺産に永久に刻まれており、作品はポーランドの主要美術館で鑑賞できる。

鴨治の芸術のルーツは、西洋とポーランドの戦後美術である現代美術の伝統と日本の伝統の双方にある。また、1959年にポーランドへ向かう2カ月半の航海で感じた空間、空気、水の感覚や、友人の自死という悲劇的な出来事といった、私的な体験を想起させる要素も見られる。

自らのルーツである日本、現代美術への深い造詣、そして芸術的自己認識といったさまざまな文化の交差点で制作活動をしてきた鴨治。貴重な機会を見逃さないでほしい。

  • アート
  • 汐留

「パナソニック汐留美術館」で、近代美術の巨匠、オディロン・ルドン(Odilon Redon、1840〜1916年)の最初期から最晩年までの画業を紹介する展示が開催。国内外の名品を含む約110点の作品により、伝統と革新のはざまで、ルドンが独自の表現を築き上げていく姿を追う。

フランスのボルドーに生まれたルドンは、絵画と版画の基礎を学んだ後、神秘的とも奇怪ともいえる幻想的なイメージを、木炭画と石版画で表現。1890年代以降は、パステルや油彩へと次第に画材を持ち替え、花や神話、宗教、人物などを主題とする色彩豊かな作品を制作した。

ルドンが生きた19世紀後半と20世紀初頭は、科学の発展による技術革新が社会構造の多大な変化をもたらし、またアカデミックな芸術に対して、印象派などの新しい芸術潮流が次々と生まれた時代。ルドンは、それに並走するかのように、新しい画題に取り組み、表現媒体を変えていった。 


見どころは、東京で初公開となる、晩年の主要な画題の一つの『窓』。また、ルドン流の進化論といわれる石版画集『起源』の9点は、揃って展示される。

光と影が創り出す輝きを宿した、ルドンの芸術世界へ入り込もう。

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  • アート
  • 早稲田

「草間彌生美術館」で、草間彌生の芸術の根源ともいえる「病」に着目する「宇宙からの音響」が開催。初期から現在に至るまでの多様な作品群と関連資料を展示する。

幼い頃から幻覚や幻聴に悩まされてきた草間。精神疾患は、創作活動に多大な影響を及ぼした。1950年代、草間は自らの妄想に駆り立てられるように、膨大な数のドローイングを描き、作家として躍進する。

渡米後は、水玉や網目などの無限に反復するパターンで全ての存在を覆い尽くし、自らもその世界へと埋没していく「自己消滅」の儀式ともいうべき作品群に取り組む。

1970年代後半から80年代にかけては、精神科病院の病室で小作品を数多く制作。その後、複数の画面にわたる絵画や巨大なバルーンなど、作品は拡大していった。

草間の言う「自己消滅」とは、もはやアーティスト個人の内面の問題ではなく、荘厳な「宇宙からの音響」のさなかに身を置くような感覚へと鑑賞者を誘うだろう。宇宙の果てまでも増幅していく、豊かな創造力の所産を体感してほしい。

  • アート
  • 代々木

「文化学園服飾博物館」で、「どうしてなんだか似てる服」展が開催。所蔵品の中から約30カ国の服や染織品を選び、「かたちが似てる」や「もようが似てる」に分けて紹介する。

世界のさまざまな地域の衣服を見ると、地理的には離れた地域であるにもかかわらず、文化や国を超えて形や模様が似ているものがいくつか見られる。会場では、それらを互いに並べて見比べる。

似ていることに何か共通点や理由があるのか、互いの地域の影響があるのかなど、人々が衣服に込めた意味や思いを探ってほしい。

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  • アート
  • 目白台

「永青文庫」で、熊本県指定重要文化財の『領内名勝図巻』に焦点を当てた「くまもとの絶景―知られざる日本最長画巻『領内名勝図巻』―」が開催される。

『領内名勝図巻』は、熊本藩のお抱え絵師・矢野良勝(やの・よしかつ、1760~1821年)と衛藤良行(えとう・よしゆき、1761~1823年)によって制作された。主に熊本領内の滝や名所、川沿いの風景などの絶景が全15巻にわたって描かれた作品で、写生図巻の先駆的作例だ。

巻物は縦約30センチほどの大きさが一般的だが、本作は約60センチあり、大迫力のパノラマが展開。全巻の長さの合計は400メートルにも及ぶ。これほどまで長大で迫力に富んだ作品は類がなく、日本最長の画巻と見られ、そのスケールの大きさを実感できるだろう。

矢野と衛藤は名所や絶景ポイントを実際に訪れ、この実景図を描いた。会場では、現存14巻の中からえりすぐりの7巻を通して、本作の迫真の風景描写や制作背景を、現地写真とともに紹介。比較すると、絵師たちが滝や奇岩の特徴をよく捉えていることが分かる。とりわけ滝の描写は、その流れ落ちる音が聞こえてきそうなほど圧巻だ。

また画面には、洞窟を探検する一行の姿や温泉で体を癒やす人々といった、ごく小さな人物が描きこまれている。現地を取材した絵師たちの姿と重なり、鑑賞者を画巻の世界へと誘い込むだろう。

  • アート
  • 用賀

「世田谷美術館」で、驚異的な創造力を発揮し続ける横尾忠則による展示「横尾忠則 連画の河」が開催。150号を中心とする新作油彩画約60点に、関連作品やスケッチなども加え、88歳の横尾の現在を紹介する。

横尾は、郷里の川辺で同級生たちと撮った記念写真のイメージを起点に、2023年春から、「連歌」ならぬ「連画」制作を始めた。

水は横尾にとって重要なモチーフの一つ。多様なイメージが現れては消え、誰も見たことがないのになぜか懐かしくもある光景の下、生も死も等しく飲み込み、「連画の河」が流れる。

視力、聴力、腕力に脚力と、体のさまざまな能力が衰える中でも、横尾の反復は現在も淡々と続いている。その日その時の肉体からしか生まれてこない色、筆触、形が、大きな画面に躍り、流れ、変化する。

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  • アート
  • 文京区

「印刷博物館」で、活版印刷術と活字書体に焦点を当てる「黒の芸術 グーテンベルクとドイツ出版印刷文化」展が開催。活版印刷術が、国の文化形成に大きく影響を与えてきた様子を、ドイツの出版物を中心とした約70点の展示品とともに紹介する。

西洋中世末期の15世紀半ば、ヨハネス・グーテンベルク(Johannes Gutenberg、1398年ごろ〜1468年)が活版印刷術を完成させた。この印刷術は、テキストの複製手段が主に手写だったヨーロッパで瞬く間に広がり、以後約500年にわたり、文字印刷の主流であり続ける。

発祥の地・ドイツでは、活版印刷術に魔術や魔法と同義の「die schwarze Kunst(ディ・シュヴァルツェ・クンスト)」という名称が与えられ、独自の出版印刷文化が形成された。

1000年以上の歴史を有する印刷史の中で、大事件であったグーテンベルクの発明。その功績を垣間見てほしい。

  • アート
  • 渋谷

「渋谷ストリーム ホール」で、「鳥羽市立 海の博物館」「牧野富太郎記念館」「島根県芸術文化センター グラントワ」などの代表作で知られる建築家・内藤廣の個展「建築家・内藤廣 赤鬼と青鬼の場外乱闘 in 渋谷」が開催。内藤の約半世紀にわたる建築思考を多角的に紹介する。

本展は、2023年に島根県益田市で開催され、建築ファンをはじめ多くの来場者を魅了した。今回は渋谷の都市を舞台に企画され、3フロアで構成。渋谷駅周辺と益田市街地との対比を直感的に体感できる新作模型をはじめとして、模型・図面・写真・映像など多彩な手法を用いた展示が並ぶ。

各作品には内藤の頭の中に宿る「赤鬼」と「青鬼」、そして時には「亡霊(物故者)」による、独特の語り口でユーモアも交えた解説が添えられている。また、ドローン撮影やスローモーション、タイムラプスを織り交ぜた映像が上映され、都市の「見えない風景」を映像作品として提示する。

さらに、2025年7月25日(金)には島根県石見地方の伝統芸能「石見神楽」を公演するほか、 7月28日(月)には内藤本人による特別講演も実施。内藤のユーモアたっぷりの語りとともに体験できる、唯一無二の建築展に足を運んでほしい。

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  • アート
  • 豊洲

豊洲の「クレヴィアベース東京(CREVIA BASE Tokyo)」で、「ラムセス大王展 ファラオたちの黄金」が開催。エジプト史上「最も偉大な王」と称されるラムセス大王と、その時代にまつわるエジプトの至宝180点を公開する。

本展は、過去最⼤級の古代エジプト展であり、エジプト政府公認の展覧会。3000年以上前の古代エジプトの遺物や芸術品を、最⾼の状態で管理と保存しているエジプト考古最⾼評議会の特別⽀援の下、展⽰する。

また、バーチャルリアリティー(VR)で、ラムセス2世が建てた最も壮大な遺跡「アブ・シンベル神殿」とネフェルタリ王妃の墓にスポットを当て、スリル満点の没入体験が楽しめる。なお、VR体験は、入場料とは別に料金2,500円(税込み)が必要だ。

エジプト新王国時代の芸術品が放つオーラを体感しよう。

  • アート
  • 立川

立川の「プレイ ミュージアム(PLAY! MUSEUM)」で、「国⽴科学博物館」と初のコラボレーションとなる、動物をテーマにした展覧会「どうぶつ展 わたしたちはだれ?どこへむかうの?〜WHO ARE WE? WHERE ARE WE GOING?」が開かれる。

国⽴科学博物館は2021年、所蔵する膨⼤な標本資料を活⽤し、哺乳類と⼈間との関係を考える巡回展「WHO ARE WE 観察と発⾒の⽣物学」を制作。展覧会が全国各地を巡回する際に展開した美しい展⽰キットは、⼤きな話題を集めた。

本展では、国⽴科学博物館の巡回展キットを使い、貴重な資料や世界屈指の動物標本コレクションを展⽰。さらに、「笑顔の森」「模様の惑星」「しっぽはすごい」といった5つのテーマで、体験型のインスタレーションを展開する。

また、⼤曽根俊輔、瀬⼾優、名和晃平、ミロコマチコら9⼈のアーティストが制作した作品群が⼀堂に介する空間「ユートピア」などの独⾃企画を加え、「私たちは誰なのか」「どこに向かうのか」を問いかける。

積み上げられた研究成果を展⽰する国⽴科学博物館と、表現を楽しむことをコンセプトにした同館の特性を掛け合わせた、これまでにない展覧会。動物の不思議に触れ、驚き、目を輝かせてほしい。

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  • アート
  • 上野

「国立西洋美術館」で、「西洋絵画、どこから見るか?—ルネサンスから印象派まで サンディエゴ美術館 vs 国立西洋美術館」が開催。同館と「サンディエゴ美術館」の所蔵品計88点を組み合わせ、作品をどのように見ると楽しめるかという観点から、鑑賞のヒントを提案する。

ルネサンスから19世紀末までの600年にわたる西洋美術の歴史を紹介する本展。関連する作品がペアや小グループごとに展示され、比較して鑑賞することで、さまざまな角度から絵画が持つストーリーを深掘りする。サンディエゴ美術館から出品される49点は日本初公開だ。

見どころは、エル・グレコ(El Greco)やバルトロメ・エステバン・ムリーリョ(Bartolomé Esteban Murillo)など、スペイン美術の名品の勢ぞろい。また、スペイン独自の静物画「ボデゴン」の最高傑作と評され、その始祖とされる画家、フアン・サンチェス・コターン(Juan Sánchez Cotán)の『マルメロ、キャベツ、メロンとキュウリのある静物』は、ハイライトの一つだ。

比べて見るから分かる西洋絵画の面白さは、初めての美術鑑賞にもピッタリだろう。一人一人の 「どこみる」を発見してほしい。

  • アート
  • 竹橋

「東京国立近代美術館」で、19世紀後半のスウェーデンに生まれた抽象絵画の先駆者、ヒルマ・アフ・クリント(Hilma af Klint、18621944年)のアジア初となる大回顧展が開催。全て日本初公開・初来日となる作品約140点を通して、画業の全貌を明らかにする。

20世紀初頭、抽象絵画を創案した画家として、近年再評価が高まったアフ・クリント。肖像画や風景画を手がける職業画家として、キャリアをスタートさせた。一方で神秘主義思想に傾倒した彼女は、交霊術の体験などを通して、自然描写に根ざしたアカデミックな絵画とは全く異なる抽象表現を生み出す。

本展の見どころは、異例の巨大なサイズで描かれた圧巻の『10の最大物』(1907年)。幼年期・青年期・成人期・老年期という人生の4つの段階を描いた10点組みの大作で、高さは3メートルを超える。多様な抽象的形象、画面からあふれ出るようなパステルカラーの色彩、そして圧倒的なスケールは、観る者を一瞬で引き込み、異空間を漂うかのような体験に誘うだろう。

また、アフ・クリントが残したスケッチやノートなどの資料、同時代の神秘主義思想・自然科学・社会思想・女性運動といった多様な創作の源も紹介する。

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  • アート
  • 埼玉

「ハイパーミュージアム飯能」のオープニング企画展として、現代美術作家で世界的アーティストであるヤノベケンジによる「宇宙猫の秘密の島」が開催。立体作品・原画・特別映像に加え、施設の立地を生かした森と湖での巨大な作品など、約80点の作品群が集合する。

時代の物語を包括し、強烈なインパクトを持つキャラクターの巨大彫刻を作り続けるヤノベ。見どころは、敷地内の宮沢湖に出現する眠り猫の形をした巨大な人工島だ。また、『BIG CAT BANG』のバックストーリーや、猫の仲間たちの立体作品、絵本『トらやんの大冒険』と『ラッキードラゴンのおはなし』の全ての原画が集合する。

自然豊かな湖畔のロケーションに誘発され生まれた作品群は、鑑賞者の心の中にもイマジネーションの爆発を拡散させるだろう。

  • アート
  • 六本木

トゥーワン トゥーワン デザインサイト(21_21 DESIGN SIGHT)」で、ラーメンを「器」からひも解く「ラーメンどんぶり展」が開催。さまざまなジャンルのデザイナーやアーティストらが、ラーメン丼とれんげをデザインする「アーティストラーメンどんぶり」に新作10点を加えた、全40点のオリジナルラーメン丼を展示する。

展覧会ディレクターは、グラフィックデザイナーの佐藤卓とライターの橋本麻里。本展は、2人が2012年から取り組んでいる岐阜県の東濃地方西部(多治見市、土岐市、瑞浪市)で作られ、日本のラーメン丼の90を占める「美濃焼」に関するプロジェクトの一つをきっかけとした。これまで、佐藤と橋本はラーメン丼を多様な視点から見ることで、美濃焼の背景や作り手たちの活動、そして日常食の器が生活にもたらす豊かさについてを伝えてきた。

今回、糸井重里、上西祐理、菊地敦己、佐藤晃一、竹中直人、田名網敬一、束芋、ヒグチユウコ、深澤直人、皆川明、横尾忠則などによる「アーティストラーメンどんぶり」を展示。また、建築家とデザイナー3組の設計による「ラーメン屋台」も登場する。

さらに、身近な製品を「デザインの視点」で解剖し、その成り立ちを徹底して検証する試みである「デザインの解剖」の手法で迫る「ラーメンと器の解剖」を展開。ラーメンの文化や歴史、器の産地である東濃地方の風土や環境、歴史についても紹介する。

日常の世界がどのような要素で成り立ち、そこにどのように人やデザインが関わっているのかを発見できる本展。その面白さを味わってほしい。

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  • アート
  • 乃木坂

「国立新美術館」で、20世紀に始まった住宅を巡る革新的な試みを、衛生、素材、窓、キッチン、調度、メディア、ランドスケープという、モダンハウスを特徴づける7つの観点から再考する「リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s-1970s」が開催。傑作14邸を中心に、20世紀の住まいの実験を多角的に検証する。

見どころは、世界的に著名な建築家たちの自邸。細部まで工夫を凝らしたこだわりの自宅からは、機能や快適さの探究はもちろん、住まうことの楽しさや喜びへの熱いまなざしも垣間見られるだろう。

また、国内はもとより、アメリカやヨーロッパ、ブラジルなどから、貴重な作品が集結。図面、模型、外観や内観の写真に加え、近代建築の巨匠であるルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ(Ludwig Mies van der Rohe18861969年)やアルヴァ・アアルト(Alvar Aalto18981976年)などによるドローイング、名作家具、照明器具、テキスタイル、食器、雑誌やグラフィックといった、バラエティーに富んだ内容を紹介する。

そして、注目はファン・デル・ローエの未完プロジェクト「ロー・ハウス」の原寸大展示。2階の天井高8メートルの会場に設置され、このスケールでの展示実現は世界初となる。

快適性や機能性、そして芸術性の向上を目指した建築家たちの、時代を超えた普遍的な視点を通して、暮らしと住まいを見つめ直してみては。

  • アート
  • 渋谷

「東急プラザ渋谷」の3階で、葛飾北斎の浮世絵を全身で感じる新感覚イマーシブエンターテイメント「HOKUSAI : ANOTHER STORY in TOKYO」が開催。北斎が生きた江戸の浮世にタイムスリップしたような、「映像×サウンド×触覚」の圧倒的な没入体験が待っている。

本展は、誰もが一度は見たことがある北斎の作品を、超高精細イメージデータを使用し、臨場感のある高精細な映像をリアルに再現。さらに、床が水たまりや砂浜に変わったかのように感じさせる触覚提示技術などの演出により、北斎が見た景色や歩いた感覚を味わえる。

会期中は、日本のクラフトマンシップを持つブランドとのコラボレーショングッズも発売する。北斎の世界へ全身でダイブしよう。

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  • アート
  • 上野

「東京都美術館」で、20世紀を代表する巨匠、ジョアン・ミロ(Joan Miró、1893〜1983年)の大回顧展が開催。初期から晩年までの各時代を彩る絵画や陶芸、彫刻により、90歳まで新しい表現へ挑戦し続けたミロの芸術を包括的に紹介する。

太陽や星、月など自然の中にある形を象徴的な記号に変えて描いた、詩情あふれる独特な画風が特徴のミロ。作品には、潜在意識や子どものような精神、そして故郷への愛着が反映され、明るく楽しげな画面が多くの人を引きつける。それだけではなく、周囲の政治的・社会的状況への強い感受性と反骨精神が創作の原動力にもなっており、ミロは特定の運動に属することのない純粋で普遍的な芸術を追求し続けた。

ミロの代表作に挙げられるのが、戦火を逃れながら、夜や音楽、星を着想源にして全23点が描かれた『星座』シリーズだ。現在、シリーズの各作品は世界中にちらばっており、本展ではそのうちの3点をまとめて観られる貴重な機会となる。

ミロの大規模な個展が日本で開催されるのは、画家が存命中の1966年に開催されて以来。世界中から集結する傑作の数々を通して、ミロの芸術の神髄を体感してほしい。

  • アート
  • 銀座

「銀座メゾンエルメス フォーラム」で、グループ展「スペクトラムスペクトラム」が開催。エマニュエル・カステラン(Emmanuelle Castellan)、題府基之、川端健太郎、マリー・ローランサン(Marie Laurencin)、ヨハネス・ナーゲル(Johannes Nagel)、ヴァルター・スウェネン(Walter Swennen)、津田道子が参加する。



タイトルの「スペクトラム」とは、ドイツ語表記によるスペクトル「Spectrum」で、物理的な現象の分布や、光学や音響に用いられるスペクトルなどの範囲を表す。同時に、亡霊や幻視といった超自然的な存在など、広い射程とグラデーションを持つ言葉だ。 


本展では、スペクトラムという言葉に含有される振れ幅や共鳴を鏡のような道具として用いながら、展覧会を一つの小説のように捉える。



切り込みのあるキャンバスに人物像を描くカステランは、舞台や映画のセットのような空間を披露。セラミックを用いるナ―ゲルは、鮮明な発色や、非対称、不調和、表面の粗さや滑らかさを放つつぼで異なる次元を掘り出し、スウェネンの絵画は謎めいた暗号を投げかける。

それぞれの作品が不可避に関わり合い、映し合う中で、スペクトラムは反復し、その姿や幻影を現わしていくだろう。


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  • アート
  • 乃木坂

「TOTOギャラリー 間」で、建築家・篠原一男(1925〜2006年)の生誕100年を記念し、「篠原一男 空間に永遠を刻む――生誕百年 100の問い」が開催。生涯を通して自らに「問い」を投げかけ続けた篠原の建築家像を、「永遠性」をテーマに再考する。

自邸兼アトリエ「ハウス イン ヨコハマ」に「篠原アトリエ」を構え、設計と言説の発表を続けた篠原。「住宅は芸術である」と唱え、小住宅の設計に多大なエネルギーを費やした。

1960年代半ば、日本の先導的建築家の多くは都市空間の進展と直截連動した建築コンセプトの構築に邁進した中で、篠原は『白の家』『地の家』という2つの住宅を発表。現在、篠原の住宅は日本における現代住宅の一つの到達点を示すものとして、国内外で再評価の機運が高まっている。

会場では、原図や模型、真筆のスケッチ、家具などのオリジナル資料を通して、篠原の活動と人間性を浮かび上がらせる。また、未完の遺作『蓼科山地の初等幾何』のスケッチも展示予定だ。

  • アート
  • 江東区

「ギャラリーエークワッド」で、「建築家・阿部勤のいえ展 暮らしを愉しむデザイン」展が開かれる。

阿部勤は、坂倉準三建築研究所に所属していた1966年から、タイに学校を建設するプロジェクトの担当として、1970年まで日本とタイを行き来して過ごした。そこで、風通しを確保しながら自然と同化して過ごす生活様式や、屋外での過ごし方に現地で触れ、心地良さが建築の要素に重要なことに気づく。

阿部が設計した自邸は「中心のある家」と呼ばれ、完成後50年たった今でも多くの人を魅了し続ける。仕事場兼遊び場である自邸で、阿部は、木漏れ日や吹き抜ける風を感じつつ、時には料理をし、人をもてなしながら語り合う時間を生涯愛した。

本展を通して、建築家による小さな家の中に詰め込まれたデザインの思想が、豊かな暮らしとは何かを問いかけるだろう。 

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  • アート
  • 六本木

「森美術館」で、「マシン・ラブ:ビデオゲーム、AIと現代アート」展が開催。ゲームエンジン、人工知能(AI)、仮想現実(VR)、さらには人間の創造性を超え得る生成AIなどのテクノロジーを採用した現代アートを紹介する。

本展では、現代アートにとどまらず、デザイン、ゲーム、AI研究などの領域で高く評価されるアーティストとクリエーター12組による作品が集結。生物学、地質学、哲学、音楽、ダンス、プログラミングなどの領域とのコラボレーションを通して制作した作品群を通して、最新のテクノロジーと現代アートの関係性を体験できる。

また、平面作品や立体作品、インスタレーションなどのリアルに実在する作品も多く展示されることで、デジタル空間と現実空間を往来する。さらに、参加型のインタラクティブな作品や、鑑賞者同士で実際にプレイすることができる「インディー・ゲーム・コーナー」も登場予定だ。 

もっとアート散歩をするなら……

  • アート
  • 公共のアート

無数の美術館やギャラリーが存在し、常に多様な展覧会が開かれている東京。海外の芸術愛好家にとってもアジアトップクラスの目的地だ。しかし、貴重な展示会や美術館は料金がかさんでしまうのも事実。

そんなときは、東京の街を散策してみよう。著名な芸術家による傑作が、野外の至る所で鑑賞できる。特におすすめのスポットを紹介していく。

  • トラベル

東京には魅力的なアート展示や、パブリックアートなどがある。しかし建物が密集しているため、大規模なアート施設を新たに造ることは困難だろう。希少な絵画やサイトスペシフィックなインスタレーションを観たいのであれば、千葉、神奈川、埼玉といった近隣の県へ日帰りで出かけるのもいいかもしれない。

自然の中でリラックスしてアートに触れることができる休日に訪れたいアートスポットを紹介する。

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ここではタイムアウトワールドワイドによる、ピカソやミロ、村上隆などの作品を楽しめる世界の「アートレストラン」を紹介。美術館に行く代わりに、レストランを予約してみるというのもいいかもしれない。

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