A Yayoi Kusama installation at Kurkku Fields
Photo: Lim Chee WahA Yayoi Kusama installation at Kurkku Fields
Photo: Lim Chee Wah

東京から日帰りで行くアート旅6選

草間彌生やロスコの作品など、アート好きにはたまらないスポットを紹介

テキスト:: Emma Steen
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東京には魅力的なアート展示や、パブリックアートなどがある。しかし建物が密集しているため、大規模なアート施設を新たに造ることは困難だろう。希少な絵画やサイトスペシフィックなインスタレーションを観たいのであれば、千葉、神奈川、埼玉といった近隣の県へ日帰りで出かけるのもいいかもしれない。

草間彌生のインスタレーションが2つある農場、ロンドンの「テート・モダン」にあるようなマーク・ロスコ専用の部屋がある美術館など、自然の中でリラックスしてアートに触れることができる休日に訪れたいアートスポットを紹介する。

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埼玉のことを、東京の郊外にある少し退屈な場所だと考えている東京人は少なくないだろう。しかし、都会に住む人たちの言うことを真に受けない方がいいかもしれない。密集した大都市から離れた埼玉にも、エキサイティングなことはあるのだ。それも自然を満喫できる「ムーミンバレーパーク」だけではない。コロナ禍において、印象的な新しい芸術と文化の中心地が誕生した。

2020年秋にオープンした「ところざわサクラタウン」は美術館、公園、ホテル、ショッピングモールを備えた複合施設。中でも「角川武蔵野ミュージアム」は、日本の有名な建築家である隈研吾が設計したことで、オープンに先立って美術やデザイン愛好家の間で特に関心を集めていた。

グレーの石造りの外観は、隈の特徴である天然木を多用したデザインとは一線を画してるが、内部には木の板を使った素晴らしい図書館があり、約5万冊の蔵書を収蔵。

ミュージアムを出て少し歩くと、東所沢公園がある。あまり知られていないが、ここではチームラボによるインタラクティブアートのインスタレーションが楽しめる。この常設作品のタイトルは「どんぐりの森に響く光」。森にいくつも配置された卵型オブジェは、人が近づくと音を発し、光の色を変える。

行き方:「東京」駅から京浜東北線(大宮行き)に乗り、「南浦和」駅で武蔵野線の普通電車(府中本町行き)に乗り換え、「東所沢」駅で下車

千葉にある30ヘクタールもの広さを誇る「クルックフィールズ」には、意外なことにサイトスペシフィックな現代アートが展示されている。農場にいる動物の赤ちゃんにあいさつしたり、ピザ作りのワークショップ(有料)に参加しつつ、例えば草間彌生の作品を観ることができる。

園内にある草間作品は、インスタレーションが2点。そのうちの1点「無限の鏡の間-心の中の幻」(中に入るためには有料の「クルックフィールズツアー」への参加が必要)だ。また敷地内には、カミーユ・アンロのブロンズ彫刻「Derelitta」やChim↑Pom from Smappa!Groupの「Level 7 feat.明日の神話」なども常設されている。

朝食と夕食を含む宿泊プランもあるが、日帰りで農場を見学し、アートを鑑賞して、レストランで食事をするだけでも、この農場の魅力は感じられるだろう。

行き方:「東京」駅(八重洲口)からアクシー号(東京-鴨川線)に乗り、「クルクフィールズ入口」で下車。所要時間は約80分

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湖畔にある現代アート美術館。17世紀から20世紀の貴重な名画を展示するために、自然と建築が調和したデザインが施されている。施設名はDIC株式会社の元社長、川村勝巳の名前に由来。

アートコレクターであった彼は、自身のコレクションをほかのの美術愛好家と共有するためにこの美術館を創設を思いつき、20年の歳月をかけて、1990年にこの美術館を開館した。建物は、川村の友人でもあった建築家の海老原一郎が設計している。

開館以来、コレクションは1000点を超えるまでに拡大。モネ、レンブラント、ピカソ、ルノワールなどの西洋絵画が、年間を通じて展示されている。

マーク・ロスコの「シーグラム壁画」シリーズ7点が展示されているギャラリールームも見逃せない。このシリーズは、もともとニューヨークのシーグラムビルにあるレストラン「フォーシーズンズ」のための作られたコミッションワークだった。合意してから2年後の1960年にロスコが契約を破棄。30点の作品は世界中の美術館やアートコレクターに分割して収蔵されることになり、その一部が美術館にあるというわけだ。

行き方:「東京」駅(八重洲北口)から徒歩の場所にある京成バス「3番のりばで「マイタウン・ダイレクトバス」に乗車。約​​60分で「DIC川村記念美術館」に到着(1日1往復)

または、「東京」駅からJR総武線特急で「佐倉」駅まで行き、南口「シロタカメラ」前から無料送迎バスに乗車。「佐倉」駅からは美術館までは約30分で到着

小田原の静かな高台にあるこの場所からから楽しめるのは、海岸の景色だけではない。ミカンの木が点在する9500平方メートルの敷地には展示室、能舞台、茶室がある。ここは、日本人写真家であり、建築家としても知られる杉本博司の構想により誕生したアート施設だ。

小田原は、かつて日本の首都になっていたかもしれないという歴史を持つ。首都の座は「江戸」に奪われてしまったが、杉本は豊かな歴史と伝統を持つ小田原が、日本の芸術と文化を現代に伝えるための「首都」となる可能性を見いだし、この地にこの施設を造ったという。

室町時代に鎌倉の寺院にあった明月門のような神仏習合の建造物と現代美術を組み合わせることで、杉本は日本古来のものと現代社会との隔たりをなくしている。

行き方:「品川」駅からJR上野東京ライン(熱海方面)に乗車し、「根府川」駅で下車。同駅から施設までは無料送迎バスが運行

なお、施設の見学にはインターネットで事前予約が必要。

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2010年に開館した「ホキ美術館」は、日本で初めての写実絵画に特化した美術館。コレクションは500点ほどだが、展示されている作品と空間は、日帰りで訪れる価値があるほど素晴らしいものだ。

美術館に近づくと、まず日建設計の山梨知彦と中本太郎がデザインしたユニークな幾何学的建築に驚かされる。SF映画のような近未来的な外観とは裏腹に、館内は自然で親しみやすい雰囲気に包まれており、ゆったりとした気持ちで作品に向き合える。

ポートレートからダイナミックな日本の風景画まで、野田弘、原正之、森本草介、三重野圭といったさまざまな作家の作品を観ることができる。また、日本の現代アーティストの新作を紹介する企画展も頻繁に開催されている。

行き方:「東京」駅からJR京葉線快速(蘇我行き)に乗車。「蘇我」駅でJR外房線(大原方面行き)に乗り換え、「土気」駅で下車。千葉中央バス・あすみが丘東線に乗り「あすみが丘東四丁目」で下車

天然温泉が豊富な箱根は、温泉観光地としてよく知られている。しかしこの魅力的な町の周辺には、驚くほど多くのアートスポットが点在している。箱根は東京から特急電車でわずか1時間30分ほどだが、ギャラリーや美術館の数が非常に多いので、週末をフルに使って訪れる価値があるといえるだろう。

箱根彫刻の森美術館」ではヘンリー・ムーア、岡本太郎、バーバラ・ヘップワース、高村光太郎など、近現代のアーティストによる彫刻作品を紹介している。常設作品は300点ほどで、そのうち約120点が広大な公園内に点在。ピカソ館では、100点以上のパブロ・ピカソの作品を展示している。野外施設の大部分は遊び場にもなっているので、小さな子どものいる家族にもおすすめだ。ここだけで、数時間は過ごせるだろう。

緑豊かな森の中にある「ポーラ美術館」は、ゴッホをはじめとするフランス印象派絵画の膨大なコレクションで有名だ。「箱根美術館」では、日本やアジアの古壁画、屏風(びょうぶ)、陶磁器などを観ることができる。

行き方:「新宿」駅から小田急電鉄の特急ロマンスカーで「箱根湯本」駅まで直通で行ける。箱根の魅力を存分に味わうなら、小田急電鉄の「箱根フリーパス」がおすすめ。

このパスを使えば、箱根エリアの8つの交通手段が乗り放題になる。新宿発2日券の場合は、大人6,100円、小人1,100円(料金には、箱根までの往復運賃が含まれる)

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