1. Sketch Gallery
    Photograph: Ed ReeveSketch Gallery
  2. 3110NZ by LDH Kitchen, sushi saito, nanzaku
    Photo: Shigeru Tanaka Courtesy of NANZUKA
  3. Audrey
    Photograph: Emily Dorio

世界のアートレストラン10選

良質な食事とともにピカソや村上隆などのアートの名作を楽しむ

Morgan Olsen
テキスト:
Morgan Olsen
翻訳:
Time Out Tokyo Editors
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タイムアウト東京 レストラン&カフェ > 世界のアートレストラン10選

料理は時に、芸術の域にまで達することがある。特に、丁寧に作られ、愛情をこめて盛りつけられた料理はそうだろう。しかし、優れたレストラン経営者なら、食事の内容だけが重要ではないと言うはずだ。世界最高峰の店は、細部に至るまで、格別の配慮をしているのだ。

スマートで快適な家具やクールな陶器やカトラリー、完璧なBGM……。それに加え、素晴らしいアートがあれば申し分ない。店内に飾るアートにもこだわっていると言うオーナーもいるだろうが、中にはそのさらに上を行く美術館と同レベルの傑作を所蔵する店もあるのだ。

ここではタイムアウトワールドワイドによる、ピカソやミロ、村上隆などの作品を楽しめる世界の「アートレストラン」を紹介。美術館に行く代わりに、レストランを予約してみるというのもいいかもしれない。

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マッシモ・ボットゥーラは世界最高のシェフのひとりであると同時に、熱狂的なアート愛好者でもある。彼がモデナで営むこのミシュラン三つ星レストランに、自身のお気に入り作品を飾るのは当然のことだろう。

おそらく最も注目に値する(そして最も誤解されている)のは、ガヴィン・タークの「ゴミ袋」だろう。この作品は、見事に本物そっくりに色付けされた、満杯のゴミ袋のブロンズ彫刻だ。レストラン内の他の場所では、マウリツィオ・カテラン、ダミアン・ハースト、村上隆などのコンテンポラリーアートの作品を目にすることになるだろう。

  • アート
  • 中目黒

渋谷のギャラリー、ナンヅカ(NANZUKA)と寿司の名店「鮨さいとう」とのコラボレーションによるギャラリー併設の寿司レストラン。

日中はナンヅカによるギャラリー、夜は鮨さいとうのオーナー齋藤孝司のプロデュースによる鮨3110という、転換型の業態を採用している。内外装は、ダニエル・アーシャムとアレックス・マストネンのスーパー建築デザインユニットのスナーキテクチャー(Snarkitecture)が、ロゴは空山基が手がけた。

ギャラリーは渋谷のメインギャラリーと同じく、世界の最先端のアーティストを特集する。

寿司店の店主は、齋藤の愛弟子として香港鮨さいとうを立ち上げ、ミシュラン二つ星を獲得して帰国した小林郁哉だ。メニューは、カウンター8席のみで一人3万3,000円から。

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有名シェフ、マーカス・サミュエルソンによるレッド ルースターの「マイアミ1号店」は、五感を刺激するレストランだ。メニューには南部のコンフォートフード(食べるとほっとする郷土料理や家庭料理)がふんだんに盛り込まれ、音楽プレイリストは常にノリノリ。そして。どこを見渡してもアートがあふれている。

同店のアートをキュレーションしたのは、デレク・フレミングとデビッド・シムキンス。「アフリカ系アメリカ人の卓越した体験」を体現した、会話のきっかけとなる作品が選ばれているという。

料理が運ばれてくるのを待つ間、壁に目を向け、カーラ・ウォーカー、デリック・アダムス、エリザベス・キャトレット、ラシッド・ジョンソンなどの作品を楽しもう。

もし壁が話せるとしたら、コート・ダジュールにある素晴らしい宿とレストランについて、多くを語ってくれるだろう。1931年にオープンし、2つの世界大戦中にこの地に引き付けられた芸術家たちの隠れ家だったことで知られている。

時の流れとともに、芸術家の常連客と壁に残されたアートコレクションは自然に増えていった。常連には、マティス、ピカソ、ミロのような巨匠もいる。庭へ出てフェルナン・レジェのモザイク画や、プールサイドに置かれたアレクサンダー・カルダーのモビールも見るのも忘れずに。

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ミシュラン二つ星にふさわしい、伝統的な料理を提供する最高峰レストラン。壁に飾られたアートも同じくらい印象的だ。現シェフ兼マネジャーのミシェル・ルー・ジュニアのセンスの良さのおかげで、コレクションはさらに力強さを増している。

8品コースのテイスティングメニューを楽しみながら、ピカソ、ミロ、ダリの作品を探して店の中を見渡そう。この店の歴史を物語るオリジナル作品もいくつか見つかるはずだ。

ミッドタウンにある洗練されたイタリアンレストラン。数年前までこの店には、ジュディ・ガーランド、アレサ・フランクリン、アルフレッド・ヒッチコックなど誰もが知っている著名人の顔を描いたものを含む、アンディー・ウォーホルの有名代表的なシルクスクリーンの肖像画が32点も飾られていた。

2019年には、ウォーホルの名作がダミアン・ハーストの作品に入れ替えられた。

例えばプライベートダイニングルームには、蝶が舞うに埋め尽くされた 艶やかな傑作「Since the Majority of Me Rejects the Majority of You」が飾られている。そしてもちろん、カラフルな水玉模様に覆われた 白いキャンバスの作品「Denatonium Benzoate」も見られることができる(※2020年時点での情報)。

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スイスには、絵のように美しいライン滝から雲に覆われたマッターホルンまで、この世のものとは思えない観光名所がたくさんある。しかし、芸術と文化を味わうなら、美術館に行くよりも、1924年以来、チューリッヒで著名なゲストに温かい食事を提供してきたこの店を予約するのがおすすめだ。

40年代、歴代のオーナーはピカソ、マティス、ミロといった芸術家たちと親交を深め、自分たちが払える範囲の価格で彼らの作品を収集したり、ときには新しい芸術家の友人から寄贈品をありがたく受け取ったりしてきた。

デザートの後は、マルク・シャガール、ジョルジュ・ブラック、ロバート・ラウシェンバーグの作品がどこに飾ってあるのか、店の人に教えてもらおう。

高級ホテル、セントレジス・アトランタ内にある「アトラス(Atlas)」は、散財する価値のあるレストランであるのと同時に、由緒ある「美術館」でもある。なぜなら、フランシス・ベーコンの「Study for Portrait」やピカソの「La Famille」など、20世紀の近代美術の数々を絶え間なく入れ替えながら展示してきたからだ。

2020年には、女性や猫の肖像画で知られる、フランスで活躍した日本人画家・彫刻家の藤田嗣治による39点もの作品を展示。 ディナーの後は、グスタフ・クリムトにインスパイアされたモザイクが色鮮やかな姉妹店「ザ・ガーデン ルーム(The Garden Room)」で、寝る前の一杯を楽しもう。

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ロンドンで人気のこのレストランで食事をしたことはなくても、インスタグラムのフィードで見たことがあるという人は多いかもしれない。受賞歴のあるアーティスト、デイヴィッド・シュリグリーによる91点のカラフルな作品のおかげもあって、このピンク色で素晴らしく風変わりなレストランは、アート好きにはたまらないスポットとなっている。

猫の肖像画から「Woman Spills Coffee(女性、コーヒーをこぼす)」と伝える臨時ニュースまで、毒のあるグラフィックプリントのモチーフは多岐にわたる。テーブルの上の「It's not OK(大丈夫じゃない)」や「Dirt(ほこり)」といった言葉が刻まれた陶器のいくつかをデザインしているのも、シュリグリーだ。

ナッシュビルにあるショーン・ブロックのレストランは、アパラチア地方の伝統へのラブレターであり、この地にルーツを持つ彼の、個人的なアートコレクションを展示する場所でもある。

メアリー・ムーニーの幽玄な抽象画や膨大な数の民芸品、ブロック自身の写真などが壁に飾られた、驚くほど美しい店内は、訪問者を温かく迎え入れてくれる美術館のようで、利用客は作品を自由に見て回ることができる。

シェフは同店の料理について、これらのアート作品からインスピレーションを得ていると説明する。アーティストが素材に新しい命を与えるのと同じように、ブロックも普通の食材を組み合わせて、まったく新しい贅沢なものを作り上げているのだ。

美食体験をしたいなら……

  • レストラン

ここではリーズナブルにコース料理を楽しめるハイエンドな店を紹介する。ディナーに3万円を出してもいいが、初めて行く高級レストランで間違えのない、かつ満足度の高い料理を楽しむには、まずはランチがおすすめだ。ランチコースは、ディナーに比べて一般的に品数が少なく、価格もかなり安い。だが、一流の高級店はランチだからといって、味やサービスに妥協はしないものなのだ。

  • レストラン

ミシュランスターを獲得した店舗での特別な食体験は、高価格帯であることはもちろん、人気ゆえの予約の取りにくさからしても、なかなかできることではない。「行ってみたい」という客の思いはもちろん、「もっと来てほしい」という店の思いも同様に強いものだ。

その双方の願いが形になった、ミシュラン星付きシェフのカジュアルライン店をまずは訪れみては。

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  • レストラン

メニューから客が選ぶのではなく、料理人が勧める季節ごとの料理を提供する「おまかせ」は、ハイエンドな料理店によく見られる趣向だ。一般に高額で特別な機会に使われると思われがちだが、必ずしもそうではない。

「おまかせ」の神髄は料理人が選んで出してくれる料理への期待にある。オープンキッチンでのほとんど演出とさえ言える調理の光景に驚嘆し、旬の食材を玩味することに尽きるのだ。それは一つの文化であって、スパニッシュのタパスであれ炭火の焼き鳥であれ、多くの店がメニューに取り入れている。

「おまかせ」という考え方は店ごとに百人百様ではあるが、重要なのは「おまかせ」というラベリングではなく、料理と料理が供される場を体験することだ。予算の都合があっても大丈夫。本記事では、1万円以下で堪能できるおまかせを紹介する。 

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