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Photo: Keisuke Tanigawa Némo
Photo: Keisuke Tanigawa

1万円以下で楽しめる高級店のランチ7選

青山や中目黒、日本橋など、話題のレストランで最高の美食体験をしよう

Emma Steen
翻訳:: Minami Imai
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タイムアウト東京 > レストラン&カフェ >1万円以下で楽しめる高級店のランチ7選

1,000円で最高級のラーメンや、ミシュランレベルの料理が味わえる東京では、高級店が常に魅力的とは限らない。しかし、いま注目されている高級レストランの記事などを目にしたときに、話題に取り残されるのも嫌だし、行ってみたいと思う人もいるだろう。さわやかな香りがするおしぼりで手を清め、美しく盛り付けられた8品のコースに舌鼓を打つ。と考えただけでもわくわくしてしまうのは、仕方のないことなのかもしれない。

ここではリーズナブルにコース料理を楽しめるハイエンドな店を紹介する。ディナーに3万円を出してもいいが、初めて行く高級レストランで間違えのない、かつ満足度の高い料理を楽しむには、まずはランチがおすすめだ。ランチコースは、ディナーに比べて一般的に品数が少なく、価格もかなり安い。だが、一流の高級店はランチだからといって、味やサービスに妥協はしないものなのだ。

ここではタイムアウト東京英語編集部が選ぶ、1万円以下でランチコースを提供する店を紹介しよう。

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  • フランス料理
  • 青山

東京の魚料理の名店では、毎朝豊洲市場から新鮮な食材を仕入れていることをうたい文句にしていることが多い。だが、南青山の「ネモ(NéMo)」を営む根本憲一は、その一歩先を行っている。10代の頃から付き合いのある漁師の協力を得、その日に獲れた魚を、漁港から店へと直送してもらっているのだ。届いた魚介類は、根本の手によって、フランス料理にインスパイアされたコース料理へと姿を変える。

取材時のコースの一品目は、頭から尾まで食べられるアユの炭火焼きだった。ネギと海苔のさっぱりとしたソースと新鮮な野菜が添えられ、仕上げにオリーブオイルがかけられている。

コースの中盤で出されたカンパチは焼き加減が絶妙で、皮はパリッと黄金色に、身はほんのりと赤みが差すミディアムレアに仕上がっていた。その周りにはソテーされたアンズダケや、さいの目切りのトマト、バジルソースが添えられる。支配人兼ソムリエの寺島唯斗がこの料理にペアリングしてくれたのは、透明感のあるソーヴィニヨン・ブランで、地中海を思わせる完璧な組み合わせだった。

「ネモ」のもつ洗練された雰囲気を一層素晴らしいものにしているのは、無垢の木を使った内装や、シェフの熱意だ。3万円の重々しいプライスタグは無くとも、ベストレストラン50に入る要素を持ち合わせている。開店したのは2021年の夏なので、まだまだこれからが楽しみだ。

昼の6品コースは9,075円(サービス料・税込み)で、店の評価が高まっていることを踏まえると、価格設定がこのままというのはおそらく難しいだろう。まだ価格が手頃で予約が取れる間に行くのがおすすめだ。

  • 目黒

一見したところ、「カビ(Kabi)」はヨーロッパのモダンなレストランのように見える。このことは、シェフ兼共同経営者の安田翔平が、いくつかのフランス料理店で修行し、さらにデンマークのコペンハーゲンにあるミシュラン二つ星のレストラン「カドー(Kadeau)」でも働いていたことを思えば不思議ではない。だが実際のところ、カビが中心に据えているのは日本の味覚で、そこに斬新な北欧風アプローチで解釈が加えられている。

カビは地域に根ざした食材を用いることをモットーとしている。スタッフが長野や新潟といった地方を頻繁に訪れては、新鮮な野菜やキノコを仕入れ、そのまま翌日のメニューに使うのだ。

そうした食材のハンティング以外にも、カビが大切にしていることがある。それは古来から伝わる発酵の技術に対して敬意を払うことだ。厨房には、まるで錬金術師の部屋のようにたくさんのガラス瓶が並び、その中には様々な発酵段階の野菜や、四季折々の植物のエッセンスを封じ込めた発酵液が詰まっている。

ランチの価格は8,250円(2023年10月21日(土)より8,800円に改定)。取材時は夏のコースで、焼いたウナギにマンゴーや青パパイヤが添えられた一皿や、プラム風味のアーモンドアイスに、ゼラニウムオイルをたらし、岡山産のモモで仕上げたデザートといった内容であった。

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  • 寿司
  • 青山

「鮨エム」は客観的に見て、青山エリアに住む超富裕層向けの店だ。コンセプトは江戸前鮨とワインの至高のペアリングであり、大多数の人にとっては、年に一度の特別な日に予約するような種類の店だろう。だが、じつは気負わずに訪れるチャンスがある。それは週末限定のランチだ。

毎週金・土曜日と隔週の日曜日、「鮨エム」では「江戸前鮨ランチコース」を提供している。価格は8,800円(9月30日まで)で、寿司11貫に焼き物、デザートがつく。ディナーの「鮨m “M” Omakase コース」(3万3,000円)に比べると破格の安さであるにもかかわらず、非の打ちどころがないサービスや、満足のいく内容の料理を提供している。

ランチでもペアリングを頼めるが、量を控えたければ、グラスでの注文にもソムリエが快く応じてくれる。

  • スペイン料理
  • 市ヶ谷

2022年にオープンした「ティン ガナ(Tinc gana)」はシェフのジェローム・キルボフ(Jerome Quilbeuf)が手掛けるレストランの中で最もハイクラスであり、スペイン料理をモダンに解釈した料理を提供している。

キルボフによればティン ガナは「バルセロナのガストロバル」をイメージしているとのことだが、同シェフによる広尾のカジュアルな「グラシア(Gracia)」とは違い、フォーマルな雰囲気がある。

ランチコースは6,500円、9,000円、1万5,000円で、ディナーは1万2,000円と1万9,000円。洒落た内装は、キッチンのカウンタートップのオリーブグリーン色と、背の高い花瓶に生けられた花がアクセントになっており、使われる器もエレガントかつビビッドだ。

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  • 寿司
  • 中目黒

「宇田津 鮨」の大将、宇田津久は、実家の食肉販売店を継がずに、寿司の道に入ることを選んだ人物だ。彼のこの原点が、食に対するアプローチを豊かなものにしている。確かな伝統に則っていながら、同時に、あっと驚く革新性に満ちているのだ。

出される寿司は、ジュレが乗せられたイシダイの握り、マスと香草の海苔巻きなど。こだわりのシャリには東京・国立の農家に専用に作ってもらった米を使い、3種類を独自にブレンドした酢を合わせている。使用する食材は、豊洲市場で選び抜いた新鮮な魚介類や、広島県の梶谷農園から仕入れた完全無農薬のハーブなど、最高級品ばかり。

店は中目黒の路地にひっそりと立っている。ミニマルなデザインが洗練された輝きを放っていて、ヒノキのカウンターとアート作品が空間を彩っている。ディナーは2万2,000円からとラグジュアリーだが、ランチのおまかせコースは8,800円から味わえる。

  • 青山

ジェムズ 青山 クロス(GEMS AOYAMA CROSS)」にある「デンクシフロリ」は、現代ヨーロッパ料理と日本料理が串をテーマに融合したレストランで、ミシュランの星を獲得している。同店は長谷川在佑によるミシュラン一つ星の「傳(でん)」と、川手寛康による同じく二つ星の「フロリレージュ(Florilège)」のコラボレーションから生まれた。そのため、メニューは長谷川の革新性と、川手の遊び心が組み合わさったものとなっている。

6品からなるランチは7,370円とリーズナブル。筆者が訪れた際には、ラムつくね串のエディブルフラワー添えや、ホタルイカの木の芽味噌がけといった料理を楽しめ、ご飯ものとデザートがついていた。

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  • フランス料理
  • 日本橋
  • 価格 3/4

ミシュラン三つ星を獲得した西麻布の超有名店「レフェルヴェソンス(L'Effervescence)」。その店を率いるシェフ生江史伸の名声のいくらかは、長年、右腕を勤めてきたシェフ、中村和成の功績といっても過言ではないだろう。 

中村は、2014年に開店した「ラ ボンヌ ターブル(LA BONNE TABLE)」の初代シェフに就任。ハイエンドなレフェルヴェソンスに比べると、ぐっとカジュアルな店である。

出される料理は、例えば「原木椎茸、ブーダンノワール、奈良漬」といった独創的なもの。椎茸の茎に細かく切り込みを入れてから、オーブンでカリッと焼いて香りを引き出す。そこに豚の血や内臓を使ったフランスの伝統的なソーセージ、ブーダンノワールと奈良漬を合わせることにより、和と洋が融合した味わいが生み出される。使われる食材は、農家や漁師から直送される新鮮なものだ。

料理はどれもインパクトの強いが、同店の素晴らしさは味だけにとどまらない。中村は食のサステナビリティに共感し実践しているのだ。高級店では捨ててしまうような食材や部位も料理に生かされている。

本格志向の食を求めるなら……

  • スペイン料理

スペイン料理は、地中海料理としてユネスコの無形文化遺産に登録されており、その多彩さとおいしさは言うまでもない。豊かな自然の恵みのうま味を生かしたパエリアや酒のつまみにぴったりなピンチョスなどは日本でも有名だ。

ここ東京でも、「ミシュラン東京 2023」では7つの店が選定されるなど、すばらしい専門店がいくつも存在する。そんな都内の本格的なスペイン料理店を5つ紹介しよう。ぜひ参考にしてほしい。 

  • ペルー料理

世界のフーディーをうならせうる美食の国、ペルー。「世界のベストレストラン50」で第2位に輝いたリマの「Central」など世界的に評価されるレストランも数多く存在する。スペインの大航海時代にインカ帝国から世界に広まったポテトやトマトの原産国であり、その後もさまざまな国の食文化の影響を受け、誰にとっても「懐かしい」と思われるメニューが広まっているのも興味深い。

日系移民により、ペルーで進化した「ニッケイ料理」も人気で、和食の手法を取り入れた鮮魚のセビーチェなど、日本人にとって親和性のある味も。ここでは、都内で絶品のペルー料理が食べられる店を紹介する。 

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  • ハンガリー料理

世界三大貴腐ワインの一つである「トカイワイン」やアカシア蜂蜜、フォアグラなどの名産地であり、世界有数の食の宝庫と知られるハンガリー。地理的環境や複雑な歴史の影響で、独自の食文化を発展させた。ハンガリー料理は、とりわけ唐辛子を品種改良したパプリカを多用するのが特徴で、色鮮やかなメニューが多い。

ここでは、東京で本場のハンガリー料理が味わえるレストランとバーを紹介する。駐日ハンガリー大使がすすめる老舗や国民酒「Palinka(パーリンカ)」を提供するバーなど、いずれも新鮮な驚きのある店ばかり。ぜひ訪れて、異国情緒あふれる食体験を楽しんでほしい。

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