伊勢市駅に到着したら、まずは腹ごしらえをしよう。一つ目の朝食スポットとして紹介したいのは、伊勢市駅から外宮へと続く参道にある「ココット山下」だ。
同店の「朝ごはん」は、ご飯、味噌汁、メインのおかずのほかに、7種類の副菜が付いた大満足の一品。薬膳のエッセンスもあり、心も体もうれしい味わいだ。9時30分がラストオーダーで、事前予約制となっている。
江戸時代、全国に広まった伊勢音頭の中で「伊勢に行きたい、伊勢路が見たい、せめて一生に一度でも」と歌われ、庶民の憧れともいわれたお伊勢参り。今のように交通機関が発達していなかった当時は、多くの人がお金をため、時には危険な思いもしながら、長い時間をかけて伊勢の地を目指したのだという。
現在は随分と便利にアクセスできるようになったが、「一生に一度はお伊勢さん」という願いは変わらないもの。ここでは、週末で伊勢を訪れたいという人のために、神宮参拝からローカルに愛される名店、江戸時代の趣が残るエリアの散策まで、伊勢市駅周辺の魅力をたっぷりと詰め込んだ1泊2日の旅をルート形式で提案する。
伊勢旅をもっと便利に楽しみたい人は、タイムアウト東京のLINE公式アカウント『Desika:伊勢でしか』の「友だち追加」も忘れずにしておこう。
伊勢市駅に到着したら、まずは腹ごしらえをしよう。一つ目の朝食スポットとして紹介したいのは、伊勢市駅から外宮へと続く参道にある「ココット山下」だ。
同店の「朝ごはん」は、ご飯、味噌汁、メインのおかずのほかに、7種類の副菜が付いた大満足の一品。薬膳のエッセンスもあり、心も体もうれしい味わいだ。9時30分がラストオーダーで、事前予約制となっている。
もう一つの朝食スポットとしておすすめなのが、「伊勢せきや 本店」の2階にある「あそらの茶屋」。「ココット山下」と同じく、伊勢市駅から外宮へと続く参道に店を構える。
「御饌(みけ)の朝かゆ」は、奇跡の稲と称される「イセヒカリ」で作ったかゆに3種類の珍味や焼き魚、小鉢などが付いた一品。かゆと、かゆにかける秘伝のたれはお代わりもできる。
提供時間は、 7時30分から10時で、10時までに入店できれば朝かゆを楽しむことが可能。ただし、週末は売り切れてしまう可能性もあるので、早めの来店がおすすめだ。
伊勢神宮を参拝する際は、夫婦岩がある二見浦でけがれを落とした後(現在は「二見興玉神社」に参拝し、おはらいを受けてから神宮へ向かうことが主流)、外宮から内宮の順に参拝するのが代々伝わる風習だ。二見浦を訪れる時間がない人も、外宮から内宮という順番は覚えておくといい。
「豊受大神宮(外宮)」がまつるのは、衣食住の神である「豊受大御神」。正宮では、今日この場所に来られたことと、困ることなく日々の生活を送れていることへの感謝を伝えよう。
高倉山のふもとにある域内には、正宮に加え、「多賀宮」「⼟宮」「⾵宮」の3つの別宮が鎮座。平清盛が冠に触れた枝を切らせたという伝説が残る「清盛楠」や、祭典に使用される「三ツ石」など、数々の名所も必見だ。
豊受大神宮を参拝した後は、「皇大神宮(内宮)」へ向かおう。北御門口鳥居から域外に出たところの駐車場にタクシーが数台止まっているので、ここでピックアップするのが便利だ。
太陽にもたとえられる女神「天照大御神」をまつる皇大神宮の正宮では、この場所に来られたことと、健康でいられることに感謝を。五十鈴川にかかる宇治橋を渡った先には、正宮のほかに別宮の「荒祭宮」「⾵⽇祈宮」や、五十鈴川の守り神「瀧祭神」「御稲御倉」などがあり、初めて訪れる際は、公式ウェブサイトのモデルコースを参考に参拝するのがおすすめだ。
皇大神宮の参拝後には、言わずと知れた観光名所「おかげ横丁」を散策するのが鉄板コース。敷地内には50ほどの店舗が集結しており、郷土料理の「伊勢うどん」や「てこね寿司」をハシゴで楽しむこともできる。
また、季節に合わせた催事を多数実施しており、時期によって異なる顔を見せるのが面白い。太鼓チーム「神恩太鼓」の演奏や「横丁かみしばい」にタイミング良く出合えた際には、ぜひじっくりと耳を傾けてほしい。
内宮エリアを訪れた際には、「おかげ横丁」から歩いて10分ほどのところにある「猿田彦神社」への参拝も忘れずに。物事の最初に現れ、最も良い方向へと導く猿田彦大神をまつる神社で、何かを始めたいと思っている人にこそ訪れてほしい場所だ。
本殿と芸事の神がまつられている境内社の「佐瑠女神社」に加え、境内には、八角形の石柱「方位石」や本居宣長が贈った「本居宣長歌碑」など貴重なスポットが多数存在する。
朝から数々のスポットを巡り、そろそろ汗を流したくなった頃だろう。猿田彦神社で参拝を終えたら、外宮エリア(伊勢市駅周辺)に戻り、「常磐湯」でさっぱりしよう。
創業は1960年、この場所では1966年から店を営んでいる「常磐湯」は、愛らしいタイル絵が特徴。女湯にはコスモス、男湯には菜の花のタイル絵があしられているほか、浴槽内のタイルにも絵柄があり視覚的にも極楽だ。一般的な銭湯では「銭湯富士」として大きな富士を描くことが多いが、「常磐湯」では、店主家族が毎年行っていたという上高地の山々をタイル絵で表現している。
風呂の種類が豊富なのはもちろん、入浴料(大人440円、小学生150円、6歳未満70円)のみでサウナまで楽しめるのもうれしい一軒だ。
常磐湯から歩いて伊勢市駅方面へと向かうなら、途中で「一月家」に立ち寄るといい。14時から営業がスタートする「昼飲みの聖地」として知られており、連日のんべえたちでにぎわっている。
この店では「好きなものを頼む」のが正解だ。価格の記載がない料理と酒に不安を抱くかもしれないが、実は想像よりもリーズナブル。料理はどれを頼んでも間違いないため、おすすめなんてものは気にせず、心のままに注文しよう。
ちょっと早めの締めの一杯が欲しい人は、「一月家」から伊勢市駅方面に5分ほど歩いたところにある「バー ヒロ」へ。
ひっそりとたたずむオーセンティックなバーで、地元の常連客が多く訪れる一軒。旬の果物を使ったカクテルに定評があり、いずれも果物本来のおいしさが生きた味わいだ。
もし、まだまだ飲み足りなければ「伊勢、朝からハシゴしたい乾杯スポット15選」を参考にもう少し飲み歩こう。
宿は1926年創業の「星出館」を押さえておこう。街を流れる水運を利用し、江戸時代には「伊勢の台所」としての役割も果たした河崎エリアにある純和風旅館で、伊勢市駅(北口)からは歩いて10分弱だ。
トイレや風呂は共用だが、各階、トイレは全て洋式の温水洗浄便座に改築。中庭には、日本庭園の装飾の一つといわれる「水琴窟(すいきんくつ)」が備わっており、水滴が落ちていく繊細な音色を聞くことができる。新築のホテルでは味わえない宿泊体験を堪能しよう。
2日目は、河崎エリアの散策から始めよう。約1キロメートルにわたって妻入りの町屋や蔵が並ぶ通りを歩けば、江戸時代に迷い込んだような気持ちになるはずだ。
江戸時代に創業された酒問屋「小川酒店」を河崎の歴史文化交流拠点として再生した「伊勢河崎商人館」は、そんな河崎の歴史や文化を学べるスポット。日本最古の紙幣といわれる「山田羽書」も展示されている。
河崎の街並みの特徴でもある切妻屋根には、屋号や家紋などを記した鬼瓦のほか、家によっては「隅蓋(すみぶた)」も残っているので、散策の際はこちらにも注目。隅蓋とは、屋根の両隅に置かれた飾り瓦のことで、カメやカエルなどの縁起もののほか、波といった水にまつわるモチーフには火災よけの願いが込められたと伝わる。
同じく河崎エリアにある「和具屋」は、元禄時代(1688〜1704年)に創業したと伝わる陶器問屋。店は、かつて荷物を運んでいたトロッコのレール(当時の半分の長さである64メートル)が残る細長い作りで、手前が店舗、奥の蔵部分が「伊勢まちかど博物館」となっている。
驚くのが、奥の博物館にある品々が、美術館や博物館でガラス越しに見るような貴重なものばかりであること。江戸時代の藍染め品や、職人がいなくなってしまったことから今は作ることのできない「山田傘」、言い伝えがまとめられた「万覚書」など、じっくり見て回るには最低でも2時間はかかるであろうコレクション数を誇る。器や紙もの、藍染など、各分野のマニアにとってはたまらない時間となるだろう。
「伊勢まちかど博物館」の入館料は200円。訪れた際は2階にも案内してもらい、江戸時代に建てられたという蔵の建築自体も堪能してほしい。
ランチは、2001年から伊勢の地でビーガン料理を提供するカフェ「菜食自然食 喜心」を予約しておこう。
いちおしメニューは、9品のおかずが楽しめる「本日の定食」。毎回バランスのいい献立が考えられており、「きんぴらごぼうコロッケ」や「ひじき蓮根」「車麩煮焼き」など、料理も一つ一つが丁寧に作られた優しい味わいだ。ご飯は玄米と分づき米から選べるほか、その両方を半々で盛った「ハーフアンドハーフ」という選択肢があるのもうれしいところである。
テイクアウト用の弁当販売なども行っていて料理の提供までに時間がかかることもあるので、時間に余裕を持って訪れてほしい。
そろそろ旅も終盤。思い出を振り返る時間も必要だ。そんな時は、伊勢市駅から徒歩5分のところにある喫茶店「ロマン」で一息つこう。
クラシカルな雰囲気を持ちつつも、肩肘張らずにくつろげる居心地のいい空間で、一番人気の「鉄板ナポリタンスパゲティ」のほか、「クリームソーダ」や「生レモンスカッシュ」といった喫茶店の王道ドリンクも用意している。
思い残すことのないように「伊勢、ローカルフード完全制覇ガイド」を改めてチェックしてみるのもいい。伊勢市駅近くで味わえるご当地グルメも多く紹介している。
ここからは、電車までの時間を過ごすのに便利な、伊勢市駅から徒歩5分以内で、サクッと立ち寄れる店をいくつか紹介したい。
19時まで営業する「プラウド コーヒー」は、2021年11月にオープンした複合施設「ハイライター(HIGH-LIGHTER)」の1階にあるカフェ。倉庫ならではの無機質さと、土間を抜き、土を入れて直植えした緑が共存する空間が印象的だ。
ドリンクは、4種の豆から選べるドリップコーヒーのほか、「コーヒーシェイク」やフラットホワイト、紅茶などを用意。近鉄山田線のホーム側にあるので、特に近鉄線ユーザーに便利である。
昼はカフェ、夜はバーと2つの顔を持つ「アマミリビング」は、18時からバー営業がスタートする。
おすすめは、自家製のスピリッツやシロップを使ったもののほか、バーテンダーの畑太周が自分で育てたという大葉やハーブを用いたオリジナルカクテルだ。車の利用者が多いという土地柄、モクテルも用意しているので、アルコールが苦手な人も気軽に訪ねてみてほしい。
17時から店を開ける「モンサカバ」は、福岡出身の店主が営むスタンディングバー。「九州」をコンセプトに、福岡県宗像市で生まれたクラフトビールや福岡県外にはあまり出ていないクラフトジン、種類豊富な九州の焼酎などを揃える。
大きな窓からは店内の様子を見ることができ、旅行者が一人でもふらっと入りやすい雰囲気がうれしいポイントだ。
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