元禄時代(1688〜1704年)に創業したと伝わる陶器問屋。魚問屋だった頃もあったが、1800年代からはずっと陶器問屋として現在まで続いている。一見、一般的な器屋のようにも見えるが、同店の見どころはその先。店は、かつて荷物を運んでいたトロッコのレール(当時の半分の長さである64メートル)が残る細長い作りで、手前が店舗、奥の蔵部分が「伊勢まちかど博物館」となっているのだ。
さらに驚くのが、ここにある品々が美術館や博物館でガラス越しに見るような貴重なものばかりであること。江戸時代の藍染め品や、職人がいなくなってしまったことから今は作ることのできない「山田傘」、江戸時代から昭和時代にかけての数々の陶器、いい伝えがまとめられた「万覚書」など、じっくり見て回るには最低でも2時間はかかるであろうコレクション数を誇る。
実際に自分の目で見ながら、それにまつわるストーリーを15代目店主の大西佐一から聞くことができるので、理解と興味がより深まるのがうれしいところ。専門として勉強をしている人はもちろん、器や紙もの、藍染など、各分野のマニアにとってはたまらない時間となることだろう。
「伊勢まちかど博物館」の入館料は200円。訪れた際は2階にも案内してもらい、江戸時代に建てられたという蔵の建築自体もぜひ堪能してほしい。
臨時休業の場合もあるので、電話で営業状況を確認してから訪れよう。