周辺の地名ともなっている日本橋は、江戸時代には全国各地と首都とをつなぐ主要な五街道の起点とされていた。橋詰に掲げられる「日本橋」という文字は徳川慶喜の筆とされる。現在も日本の道路網の始点であることを示す「日本国道路元標」が橋上中心にある。
現在の日本橋を中心とする地域は、江戸時代の早くに町地として開発されたことにそのルーツを持つ。全国津々浦々と江戸を結ぶ五街道の起点であるため、交通の要衝として、現三越の前身である越後屋をはじめとする大店が軒を連ね、江戸を代表する場所として栄華を極めた。現代でも、料亭や呉服屋などの様々な業種の老舗を数多く残すと同時に、世界有数の金融街として、商業の最先端という印象も強い。花街として栄えた人形町をはじめ、江戸の情緒を色濃く伝える町並みを抱える一方で、近年では目覚ましい再開発も行われ、伝統と革新をあわせ持った洗練された町として、今後も注目を集め続けることだろう。