ぎをんフィンランディアバー
画像提供:ぎをんフィンランディアバー
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京都 祇園でしかできない10のこと

ご当地を知るOMOレンジャーのおすすめスポットを紹介

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祇園と聞くと芸妓(げいこ)や舞妓(まいこ)が彩る花街が思い浮かぶかもしれないが、花街としての歴史は決して古いものではない。祇園の名は八坂神社の旧称に由来し、江戸時代、祇園町南側の花見小路界隈は八坂神社の境内だった。大正時代以降、そこに統一した建築様式の茶屋街が形成され、今も厳しい基準を設けて当時の街並みが保たれている。

茶屋形式の町家が主流の街並みは落ち着いて洗練された印象だが、一歩、建物の中に入れば、それぞれの自由な発想で創作された世界が広がっている。おばんざい屋からレバノン料理店、古書店、プライベートサウナまで、各店舗の「保守的で進歩的」な、相矛盾する絶妙な京都テイストを味わってほしい。

第5回目となる「新ご近所ガイドシリーズ」は、東京を離れ京都編へ場を移す。

同シリーズはタイムアウト東京と、「テンションあがる『街ナカ』ホテル OMO(おも) by 星野リゾート」がコラボレーション。今回は「OMO5京都祇園」のナビゲーターおすすめのローカルスポットを紹介していく。

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蕪屋

観光客でにぎわう花見小路から一筋入った場所にひっそりと立つ「蕪屋(かぶらや)」。いかにも京都、祇園らしい趣の家並みにある一軒を訪ね、のれんをくぐる気分は、格別だ。

店名に添えられた「おばんざい」という言葉のとおり、京都の家庭の日常的な惣菜を中心に提供する。しかしそんな料理だからこそ差が出る。新鮮な京野菜などの素材を 、老舗問屋から仕入れるコンブとカツオ節で毎日とるだしが下支えした、おばんざいの数々をぜひ味わってほしい。

京都の夏の食材といえばハモが挙げられるが、夏にはその「鱧(ハモ)しゃぶ」、春には桜の季節だけ桜色になる真鯛(マダイ)、桜鯛(サクラダイ)を使った「桜鯛しゃぶ」、冬には「鰤(ブリ)しゃぶ」が期間限定でメニューに上る。

席数は80。カジュアルな雰囲気で、カウンターに個室、ボックス席の半個室がある 。祇園で気取らず 、リーズナブルに創作料理を楽しめる格好の店だ。西隣には掘りごたつのカウンター6席のみで、料理長おまかせのコースを提供する、「はなれ」もある。

  • ラーメン

ダック ヌードルズ

「OMO5京都祇園」の横の細い路地にあるラーメン店。中に入ると、打放しコンクリートの空間にダウンライトの照明の下、カウンター席に置かれたプルシアンブルーのボトルとグラスが目を引く。

メニューは数字とアイコンのみ。ロースかモモかを選べる看板メニューの「鴨ラーメン」(1,485円、以下全て税込み)、「鴨つけ麺 ベリーソース」(1,650円)、「鴨つけ麺 みかんソース」(1,870円)などがある。オーナーシェフがフレンチ出身であるのもうなづける、ソースの使い方だ。

鴨ラーメンは、スープをすすれば濃厚な「紀州鴨」のうまみを味わえ、ドイツ産ライ麦を使った全粒粉細麺はそれに負けないくらい風味が豊かだ。器の縁には香り高いブドウ山椒が散りばめられている。パンチのある味変を繰り返し楽しんでいると、ごちそうさままではあっという間。もはやラーメンというより、絶品のカモ料理の「一杯」を堪能してほしい。

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京阪電車「清水五条駅」から徒歩3分、小さな高瀬川のほとりにあるレバノン料理店。モーニングとランチを提供し、テイクアウトもできる。メニューの中心は、中東のソウルフードの一つ「ファラフェル」。スパイスとたっぷりのハーブが使われ、さわやかな風味が余韻を残す。

モーニングの主役は、このファラフェルやメゼ(小皿料理)が色とりどりに盛り合わせられたワンプレート。スモークチキンが加わるミックスもある。これらを、余り野菜を炭化させたものが練り込まれた黒色のピタパンに、もりもりとはさんで食べる。混ざり合う味の調和がたまらない。

店内はカウンター席と大きな石のテーブルが一つ 。モーニングの時間には、 見ず知らずの客が笑顔でピタパンを頬張り、同じ卓を囲む幸せな朝の風景が広がる。いい一日のスタートが切れること、請け合いだ。 人気店なので、朝食は予約して出かけたい。

  • カフェ・喫茶店

鍵善良房

八坂神社の西楼門から徒歩3分ほど、四条通りに面している「鍵善良房(かぎぜんよしふさ)」。入れ替わりの激しい京都の繁華街にあって、江戸時代中期から祇園に店を構えている。

名物は、くずきり。もともとは店頭のほか、祇園の茶屋や芝居小屋の「南座」に出前していたのが始まりで、それが口伝てで評判になり、喫茶で提供するようになった。

最上質の「吉野本葛」を用いたくずきりは、注文が入ってから作られる。蜜は白か黒か、好みで選べる。出来立ての透明のそれは、独特の歯ごたえとのどごしの良さがあり、「これが、本当のくずきりなるものか」と思わされる。

作家の水上勉の書いた「京の味の王者」という言葉にうそはなく、折に触れて通いたくなる。手土産に、上品な味わいの干菓子(ひがし)「菊寿糖」や「鍵もち」もおすすめだ。

混み具合によってはラストオーダーの時間が早まる場合もあるので、余裕を持って入店したい。

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ぎをんフィンランディアバー

花見小路から一本入った弥生小路にある祇園のバー「フィンランディア」。いわゆるバーのイメージを思い描きながら店を探すと、うっかり見過ごしそうになる。フィンランド国旗と同色の青の「FINLANDIA」と書かれた、控えめな電灯が目印だ。

創業は1982年。芸妓の個人宅を改装して営業を開始。ボトルキープのバーしかなかった時代に誕生した、京都のショットバーの草分けである。

店名は日本初のフィンランド料理店に由来する。ウイスキーやバーボンだけでなく、北欧各国のウォッカやアクアヴィットが揃う。 テーブルウェアにも北欧のブランドのイッタラのグラスやアラビアの皿を使用し、つまみには「蝦夷鹿のサラミ」や「ディルを使ったサーモンリエット」も。BGMの流れない祇園の町屋バーで北欧に思いを巡らせる、乙な京都の夜が過ごせそうだ。

  • アート
  • 写真

ライカギャラリー京都

花見小路にたたずむ「ライカ京都店」の2階にあるギャラリー。築100年の茶屋を改装したというだけあって街並みにすっかり溶け込み、暖簾(のれん)に描かれたライカのロゴがなければカメラ店とはわからないだろう。

店の中に入ると迎えてくれるのは、真っ赤な棚に並ぶ美術品のようなライカのカメラ。歴史ある町家の木の温かみとメタリックな質感のカメラとが調和して、独特の空間を作り出している。 2階のギャラリーにも古材が生かされ、落ち着いた心持ちで写真作品に向き合える。

これまで、ソール・ライターや木村伊兵衛、藤原新也など名フォトグラファーの写真展を開催してきた。現在は2025年3月9日(日)まで、写真家・瀧本幹也の作品展『MONACO Gracieux』を開催中。是枝裕和の映画作品の数々で撮影を務めるなど、多彩に活躍する瀧本が捉えたモナコの風景をお見逃しなく。

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  • アトラクション
  • 観光

祇園 花街芸術資料館

「祇園甲部歌舞練場」内に2024年にオープンした資料館。芸妓や舞妓が使用した着物や帯、かんざしに化粧道具、「おこぼ」といわれる履き物などを展示する。知っているようで知らない彼女たちについて、資料の数々とパネル解説を通して学ぶことができ、職人の手仕事をじっくり鑑賞できる。

敷居が高く、ちょっと秘密めいた花街の世界に気軽に触れられるのが魅力だ。

芸妓や舞妓を目にするチャンスもある。1日に5回、各回60人を定員に京舞(1,600円、以下全て税込み)が間近で披露され、茶屋の座敷気分を味わえる。また1日に2回、各回20組まで(1グループ5人まで)、有料で記念撮影(2,000円)もできる。インスタントフィルムで撮影した写真と共に、芸妓・舞妓の名入りの千社札をプレゼントしてくれるので、絶好の京都の思い出にもなる。

  • アトラクション
  • 宗教的な建物&場所

安井金比羅宮

花見小路の突き当たりにある「建仁寺」の東にある神社。第75代崇徳(すとく)天皇とともに、「こんぴらさん」の愛称で知られる讃岐の金刀比羅宮(ことひらぐう)より勧請した大物主神(おおものぬしのかみ)と、源頼政を祭っていることから、「安井のこんぴらさん」として親しまれてきた。

崇徳天皇が金刀比羅宮で、一切の欲を断ち切り参籠(おこもり)したことから、古来「断ち物」の祈願所として信仰されてきた。

境内には、中央に穴が開いた縁切り「縁結び碑(いし)」がある。本殿参拝後、身代わりのお札の「形代(かたしろ)」に願い事を書いて、神の力が注がれた穴を表からくぐって悪縁を断ち、裏からくぐり良縁を結ぶ。最後に形代を碑に貼り付ける。形代を幾重にもまとったふくよかな碑の姿は、たくさんの願いを届けてきたことを物語っているかのようだ。

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  • ショッピング
  • 書店

ブックス アンド シングス

かつて鴨川の土手があった縄手通り付近は、古美術店が多い場所。古書店の「ブックス アンド シングス(Book's&Things」」は、縄手通りから伸びる長家の一角にある。路地裏の隠れ家というにふさわしく、住居が店舗になった。

誰かの家を訪ねるのと同じようにチャイムを押して店内に入ると、上り框(かまち)があるので、履物を脱いで畳の間へと進もう。京間2畳と4畳半の壁には、びっしりと大判の背表紙が並ぶ。多くは、洋書の写真集やアート関連の書籍だ。店主が海外で買い求めた貴重なものもある。ポスターや写真家のプリント作品なども販売している。

600冊という蔵書数は古書店としてはけっして多くはないが、保存状態や陳列の仕方などから一冊一冊に店主の目が行き届いていることを感じさせられるはずだ。店主に好きな本について相談してみるのもいい。一期一会の書との出合い、古今の思わぬ「世界」とのつながりを楽しめるだろう。

  • ヘルス&ビューティー

ぎょうざ湯

80分の完全予約制のプライベートサウナと銭湯。場所は京都に3店舗を構える「夷川(えびすがわ) 餃子なかじま」の団栗店にある。店の奥にある格子戸を開けると、昔ながらの町中華の中に、突然サウナ空間が現れる。秘密基地めいた展開にテンションが上がるはずだ。

サウナには2人用と1人用の座面があり、ロウリュを自ら行える。生ヴィヒタに浸したしずくでロウリュすると、森の中にいるような爽やかな香りに包まれ、加茂川水系の地下水を組み上げた水風呂にざぶんとつかれば、一気に「ととのう」。

外気浴と外風呂も楽しめ、見上げると祇園の空が広がる。またビールやサウナー御用達の「オロポ」「オロカル」などの飲み物も注文でき、グラス片手に至福のひとときを過ごせる。もちろんサウナの後は、ビールと「京都ポーク」を使った「夷川餃子なかじま」の餃子だ。これで人気が出ないわけがなく、余裕をもっての予約が必須である。

OMO5京都祇園で楽しむべきアクティビティ

よーじやべっぴんルームステイ
京都の老舗化粧品ブランド「よーじや」との「1日1室限定」の共同企画
※2024年6月21日から2025年5月31日まで

祇園うるわし朝まいり
早朝の美しい祇園の町並みや神社仏閣を「OMOレンジャー」と共に巡るツアー

夜のおも茶話会
1階OMOベースでOMOレンジャーが抹茶をたてて和菓子と一緒に提供する

新ご近所ガイドシリーズ 東京編

  • Things to do

東京各地のディープな街情報を発信してきたタイムアウト東京と、OMO(おも) by 星野リゾートがコラボレーション。街の見え方が変わる「新ご近所ガイドシリーズ」が始まる。

同シリーズは、OMOによる地域に精通したナビゲーター「OMOレンジャー」がすすめるローカルスポットをタイムアウト東京による独自の切り口で紹介していく企画だ。

第1回目は、豊島区・大塚。池袋から山手線で1駅ながら、都電が走り、昭和レトロな街並みを今も残す。地元に密着した昔ながらの個人商店が軒を連ね、街を舞台とする「都市型ホテル・OMO」の立地にふさわしい街だ。憩いの酒場から間もなく100周年を迎える銭湯、フレンチカンカンが楽しめる店、2023年にオープンした最新ヴェニューまで、大塚探訪に出かけてみよう。

  • Things to do

第2回の「ご近所」は、品川区・五反田。ソニー発祥の地であり、ビジネス街として知られている街だ。2010年代の後半からはITベンチャー企業が多数進出し、「五反田バレー」とも呼ばれ注目を浴びてきた。さかのぼれば明治時代から目黒川の水運を生かして川沿いに工場が連なり、この地は多くの労働者を吸い寄せてきた。追随するように、彼らが胃袋を満たし、憂さを晴らす歓楽街が生まれて、にぎわいを見せた。

時は令和に移り街の表情は変化したが、今も昔と変わらず、働く人に優しい街なのは変わっていない。飲んで食べて一休みして明日への活力を養ってくれる、五反田の10のスポットを紹介する。

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  • Things to do

港区・赤坂。江戸時代には大名屋敷が建ち並び、明治時代には政財界の邸宅街として発展した由緒ある街である。彼らが通った料亭街の趣が今も色濃く残っているが、近年は新たな都市開発プロジェクトが立ち上げられ、進化の動きは止まらない。きらびやかで華やかな印象を抱くが、その根っこには人と人を結ぶもてなしに満ちている。

東京各地のディープな街情報を発信してきたタイムアウト東京と、テンションあがる「街ナカ」ホテル「OMO by 星野リゾート」がコラボレーションする「新ご近所ガイドシリーズ」の第3回。このシリーズでは、地域に精通したナビゲーター「OMOレンジャー」が薦めるローカルスポットを、タイムアウト東京が独自の切り口で紹介していく。

ここでは、新旧の10のスポットを取り上げる。昔ながらの変わらない体験から異色の体験まで、個性的なヴェニューを通して赤坂ならではのもてなしに出合ってほしい。

  • Things to do

今回の舞台は、台東区・浅草。昔ながらの下町の雰囲気を残し、訪日外国人にも人気がある。浅草は大正、昭和初期にかけては、東京屈指の先端をいく街だった。東京一の興行街として活況を呈し、新しもの好きが集まった。

ところが太平洋戦争の大空襲により浅草一帯は焼土と化し、浅草寺の本堂も焼失。そんな中、途絶えていた三社祭が早くも1948年に行われ、復活ののろしが上がった。人々は再び浅草に集い、復興を果たしていく。劇場からは数々の昭和のスターを輩出するなど、にぎわいを取り戻した。

老舗が並ぶ街だが、伝統だけをかたくなに守っているわけではない。進取の意気で新しいものを受け入れて取り込み、時代と共に歩んでいる。懐かしさと新しさと、新旧の混在こそ浅草の醍醐味だろう。そんな魅力にあふれる「浅草でしかできない10のこと」を紹介していこう。

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