花見小路から一本入った弥生小路にある祇園のバー「フィンランディア」。いわゆるバーのイメージを思い描きながら店を探すと、うっかり見過ごしそうになる。フィンランド国旗と同色の青の「FINLANDIA」と書かれた、控えめな電灯が目印だ。
創業は1982年。芸妓の個人宅を改装して営業を開始。ボトルキープのバーしかなかった時代に誕生した、京都のショットバーの草分けである。
店名は日本初のフィンランド料理店に由来する。ウイスキーやバーボンだけでなく、北欧各国のウォッカやアクアヴィットが揃う。 テーブルウェアにも北欧のブランドのイッタラのグラスやアラビアの皿を使用し、つまみには「蝦夷鹿のサラミ」や「ディルを使ったサーモンリエット」も。BGMの流れない祇園の町屋バーで北欧に思いを巡らせる、乙な京都の夜が過ごせそうだ。