富士屋本店 サクラステージ
Photo: Kisa Toyoshima
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東京、2024年オープンのベストレストラン10

朝・昼・夜のシーン別、カジュアルに楽しめる新たな名店

テキスト:: Sayaka Fujima
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ミシュラン星付き掲載店数は18年連続1位という食の都「東京」。2024年も多くのレストランがオープンし、注目を集めた。フーディーたちが今年を代表する1軒をまとめている中、タイムアウト東京でもいくつかのレストランを紹介したい。

ここでは、カジュアルに楽しめるのを念頭に置き、朝・昼・夜のシーン別に分けて、満足度の高い気鋭の店をピックアップした。シンプルクレープを定着させた食のトレンドセッターや、注目の街・学芸大学にできた現代食堂の新定番とも呼べる1軒、タイ中華やタイ屋台料理を日本の食材でアップデートしたビストロ、新たな渋谷のフードランドマークまで、食の新たな地平を照らす店ばかりだ。

ぜひ参考にしてみてほしい。

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  • 六本木

2024年3月、「麻布台ヒルズ」に開業した「ジャヌ東京」。ラグジュアリーホスピタリティのパイオニア「アマン」初の姉妹ブランドホテルとして世界中から注目を浴びている。

そのジャヌ東京が有する8つの直営レストラン&バーの中で、オールデイダイニングの役割を果たしているのが、「ジャヌ メルカート」だ。麻布台ヒルズの緑豊かな中央広場に面していて、テラス席には愛犬を同席させることもできる。

イタリアの市場・MERCATOをイメージした「ジャヌ メルカート(JANU MERCATO)」では時間帯ごとにさまざまに過ごせるが、同レストランの魅力を最大限に味わえるのが朝食の時間帯。大きな窓から柔らかな朝の陽ざしが差し込む、吹き抜けの心地よい空間で食す朝食は格別だ。

料理はアラカルトでもオーダーできるが、「グリーンサラダ ホワイトバルサミコドレッシング」と「ヨーグルトとグラノーラ」、飲み物付きで、メインが選べるセットメニュー(4,200円、税・サービス料込み)がお得。メインの一番人気は、「アボカドトースト」だ。

トーストしたサワードウブレッドの上に粒マスタードと自家製のピクルスを敷き、その上にアボカドと平飼い卵のポーチドエッグが乗っている。味付けの塩は「満月の塩」を使用。添えられたライムはお好みで。クミンシードの風味も食欲をそそる。そのほか、「クロワッサンサンド サーモンマリネ」や、ヴィーガン対応の「ベイクドアップルクレープ」も好評だ。

  • 信濃町

都立明治公園の中にできる、3業態複合のフードホール。「パークレット(Parklet)」「パークレットキオスク(Parklet Kiosk)」「ベイビージェーズ(Baby J's)」が入居する。

パークレットは、人形町に店舗を構える人気ベーカリーで、酸味のある天然酵母のパンなど、人形町店と同様のメニューを展開する。ドリンクには2種の自家製クラフトビールのほか、ナチュラルワインも15種ほど用意している。

パークレットキオスクは、「オーバービューコーヒー(Overview Coffee)」のドリンクをはじめ、スコーンやクッキーといったペイストリーを用意する。今回、初の試みであるアイスクリームを提供。おすすめは、2人のオーナーが発案したという「ブラックセサミフレーバー」だ。

また、ベイビージェーズは、2020年に札幌で誕生した「バターミルクフライドチキン」の専門店。アメリカ南部のソウルフードであるバターミルクソースをトッピングしたフライドチキンを挟んだ、ボリューム満点のバーガーを楽しめる。

自然に触れながら、好みの品を手に過ごしてみては。

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  • アジア料理全般
  • 世田谷区

世田谷線、松陰神社前駅から徒歩2分。築50年の長屋をリノベーションした建物の1階に、朝限定のアジア料理専門店「グッドモーニングフォー(good morning pho)」はある。2024年1月下旬にオープンしたこの店は、2016年からパンとクラフトビールの専門店として夜限定で営業していた「グッドスリープベイカー(good sleep baker)」の後継店だ。

店内に足を踏み入れると、看板犬のキュートな豆柴「力丸(りきまる)」が顔を見せる。営業スタイルを思い切って朝型に変更したのには、彼を迎えたことによるライフスタイルの変化も大きく関係しているそうだ。一人で店を切り盛りする店主の小林由美は「早朝に犬の散歩に出かけるついでに、温かい朝ご飯が食べられる店があればいいのにと思ったのです」とふり返る。

平日は8〜12時に店を開き、温かいフォーやバインミーなどを提供するこの店は、まさに店主の理想なのだ。

おすすめは「鶏のフォー」。シンプルながらも鶏のうまみがギュッと閉じ込められたスープと、米粉100%のツルツルの麺が魅力。トッピングされている鶏もも肉は、鶏ガラでダシをとったスープでじっくりと煮込まれたもので、驚くほど柔らかい。なお、フォーを食べ終わった後のスープは、セットで注文できる「揚げパン」に浸しながら、最後まで堪能できる。食べれば、活力に満ちた1日になるだろう。

  • 渋谷

京都では珍しい立ち食いそばを独自のアレンジを加えた「進化系そば」として再構築し、2021年のオープン以来瞬く間に話題となった「スバ(SUBA)」。そのスバが、「ウィルトスワイン(VIRTUS WINE)」と融合した新たな店舗「VS(ブイエス)」が渋谷にオープンした。

1階では、自家製麺とだしにこだわった本格的なそばを提供。渋谷店限定の「とり天毛沢東スパイス」(1,200円)は、湖南省の毛沢東スパイスをとり天蕎麦に大胆に振りかけた一品が堪能できる。

また、宍道湖の肉厚なシジミを使用した関西風そばに、柑橘が香るオリーブオイルで香り付けした「島根県宍道湖のしじみとマンダリンオイル」(1,100円)など、ここでしか味わえない創作蕎麦も楽しめる。

2階では、ウィルトスワインによるワインショップと「角打ち」を展開。セラーには、1000種類以上のナチュラルワインと日本ワインが揃う。

店の設計は、1号店も手がけたYUSUKE SEKI STUDIOの関祐介が担当。傾けたカウンター下の床や、ワインショップへと導く「階段のための階段」など、ミニマルでありながら独創的な工夫がちりばめられている。

進化系そばと豊富なワインのコラボレーションが楽しめる同店は、23時まで営業。仕事帰りや飲んだ後に立ち寄ってみては。

  • 六本木

タイ出身の美食家・ビア(Peragate Charoenpanich)が六本木にオープンしたカジュアルビストロ「BIANCHI(ビアんち)」。ディナータイムは、本格的なタイ屋台料理やタイ中華料理をベースに、日本の高品質な食材と職人技を融合させた一皿が楽しめる。

一方ランチタイムはさらにカジュアルな「ビアんち ミニミー(BIANCHI mini me)」として営業している。

ランチ限定メニューで注目の「ガパオライス」は、希少な「東京X豚」を贅沢に使用。ガパオライスは細かいひき肉が一般的だが、同店では肉感をしっかりと味わえるぶつ切りスタイルだ。脂身の甘さが際立ち、噛むほどにうま味が広がる。トッピングには、「田中農場」の卵を使ったタイ風の目玉焼きが添えられ、外はクリスピー、中はとろりとした半熟仕上げで提供する。

ドリンクにはタイの茶葉とコンデンスミルクを使用した「タイアイスティー」が人気。注文ごとにエスプレッソマシンで抽出するため、作り置きは一切していない。風味を損なうことなく、常にフレッシュな状態で味わえる。

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  • 恵比寿

恵比寿駅から徒歩3分にオープンした、ベーカリーカフェ&レストランの「繁邦」。夜はフレンチレストラン、昼間はシェフの青木虎太郎の両親が経営する人気ベーカリー「しげくに屋55ベーカリー」のパンを20種類ほど店頭で展開する。

「クレープ」(1,100円)は、そのシンプルなメニュー名の通り、シュガークレープに発酵バターと塩のみという素朴な一皿だが、生地の配合と分厚さにこだわっている。トッピングのバターや塩をつけるとさらにコクが深まり、レモンを振りかければ雰囲気も変わってキュッとした爽やかさが楽しめるだろう。

「季節のオープンサンド」(1,600円)も味わってみてほしい。ベーカリーで販売するバゲットと同じ生地の自家製のフォカッチャを使用しており、もっちりとした食感と香ばしさが特徴的。生ハムと一緒に煮詰めて香りを移したという白インゲン豆はほくほくと柔らかで、焦げ目のついたカブやナノハナの苦みと香りが味わいを引き締める。素材の味を十二分に生かした一皿である。

  • 学芸大学

2024年7月、学芸大学駅の高架下の「ガクダイパークストリート(GAKUDAI PARK STREET)」に、「パーラーオクムラ(PARLOR OKUMURA)」がオープンした。

店主は、かつて学大周辺に出店していたキッチンカー「オクムラパーラー」で多くのファンを獲得した奥村辰徳。かねてからの夢だった実店舗を、満を持して出店した形だ。

営業スタイルは、「モーニング・ランチタイム」と「ディナータイム」の2部制。かつてブリューパブに勤めていた奥村にとって「おいしいモーニングが食べられる、ペットOK、クラフトビールが飲める」という条件は、店を開く上で不可欠だったと語る。

タップで注がれるクラフトビールは、全国各地の異なるブルワリーのものが毎日4種類ラインアップし、樽(たる)が空くごとに銘柄は入れ替わる。取材日には近年人気のヘイジーIPAや、アップルシナモンのエール、スモーキーなダークラガーといった個性的なクラフトビールが並んでいた。

フランス・ブルゴーニュの家庭的な卵料理にニンジンのピューレを加えてアレンジしたという「ウフアンムーレット」や、アルゼンチン発祥のチミチュリソースにハーブやパクチー、トマトやオレンジなどを加え、こんがりとグリルしたサバの上にたっぷりとかけた「焼きサバ」など、さまざまな国にルーツを持つ多国籍なフードメニューも、同店ならではの魅力である。

フレンチ・イタリアン・中華などで料理人として活躍してきた奥村が織りすフュージョンメニューは、ほかのどんな店とも似つかない。一度味わえば、たちまち夢中になってしまうだろう。

  • ビストロ
  • 渋谷

渋谷の新たなランドマーク「サクラステージ」の一角に、2024年1月、施設内の飲食店としては最大規模となる「富士屋本店 サクラステージ」がオープンした。「富士屋本店」は、「富士屋本店ワインバー」や「立呑 富士屋本店」も有名だが、同店の歴史は明治時代に桜丘町に創業した酒販店からスタートしている。エリアの再開発によって立ちのきを迫られた老舗が、形を変えて故郷に舞い戻ってきたのだ。

1階がスタンディング席のみの立ち飲みワインバー、地下が80人は収容できるであろう広々としたビストロで、いずれも角打ち時代を彷彿(ほうふつ)とさせるコの字型のカウンターがシンボルになっている。地下にはウォークインの巨大なワインセラーが設置されており、およそ200種類のワインがいつでも楽しめるというから驚きだ。

フードメニューのバリエーションは豊富だが、ベースはビストロ。トマトを練り込んだ特注のコーンに鶏レバーのムースをトッピングしたソフトクリームのようなビジュアルの「鶏レバームース」や、厚めにカットしたサーロインの上にパルミジャーノ・レッジャーノをふんだんにのせた「国産牛サーロインのタリアータ」など、ワインと相性のいいメニューが並ぶ。

なお、地下席は毎日予約でほとんど埋まってしまうそうだが、開店時刻や予約客が落ち着く21時ごろならば入店できることもあるという。桜丘が生んだ老舗の最先端の味を、ぜひ堪能してみてほしい。

※定休日なし、年末年始は休業あり

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  • 祐天寺

食とともに、ライフスタイルまでトータルに提案するフードコーディネーター、野村友里が原宿に開いた一軒家レストラン「イートリップ(etrip)」が2024年7月、「ババジジハウス(babajiji house)」内に移転した。食事は、イートリップで長年厨房(ちゅうぼう)を支えてきた雨池卓郎が担当する。

小さなキッチンを囲むカウンターのスタイルで、友人宅の台所を訪れたような感覚になる。店内では、発酵食品や素材の味を生かしたワンプレートや小料理や自家製の酵素ジュースやアルコール類が楽しめる。

コース料理のみだった以前の形から一新し、発酵食品や素材の味を生かしたワンプレートや小料理を展開。ドリンクは、1階でも購入できる自家製の酵素ジュースやアルコールなど、よりカジュアルな使い方ができる形態となった。

 ぜひ食べてほしいのは、海・山・土の食材が一皿になった「地球まるごとプレート」(1,980円)。コリンキーのマリネ、玉ねぎのアチャール、葉生姜のピクルスなど、10種類以上の季節の食材をスパイスのシンプルな味付けで、素材本来の味わいを楽しむ。

それぞれ単体の味わいを楽しんだ後は、何種か混ぜ合わせて食べてもおいしい。これをピタパン(330円)に挟んで頬張るのもおすすめだ。

  • 三軒茶屋

旬の素材を生かしたアイスクリームとワインを提供する「メゾンファーマー(MAISON FARMER)」が、三軒茶屋にオープンする。フランス料理店「レフェルヴェソンス(L’Effervescence)」でシェフパティシエを務めた青木渚がレシピを担当する。

コクがありながらクリアな味わいが特徴の「弓削牧場のミルク」や、パッションフルーツの甘酸っぱい香りが引き立つ「ソイパッションハニー」など、常時8〜10種類のフレーバーを用意。旬の食材を新鮮なうちにアイスクリームにするため、フレッシュなおいしさを楽しむことができる。

夜はナチュラルワインを提供し、スタンドとしても利用できる。食後のデザートや、仲間と酒を交わす時間に楽しんでみては。

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