日本人では唯一のメスカルアンバサダーを務めるバーテンダーが、蒲田にある「Bar 若林」の若林祐一だ。テキーラやメスカルの魅力を広める彼だが、「28歳で初めてウイスキーの味を知りました。ずっととび(職)をやってたんですけど、いつか地元の長野に戻って小さな居酒屋でもできたらと思って」という異色の経歴の持ち主だ。
飲食店経験はなかったが、蒲田にあるDJバーでのアルバイトをきっかけに、酒の世界にはまっていった。そして観光本を片手に初めてメキシコを旅して、本格的にテキーラやメスカルに情熱を注ぐ。メキシコでは食前から食中・食後まで、いつでもどこでもメスカルやテキーラを楽しんでおり、陽気な空気が肌に合っているそう。
「気がついたら初対面の人と蒸留所へ行ったりして。どんどん話が進んでいくんですよ」。社交的な性格から、独自にメキシコでのルートを切り開いていった。
「お客さんや周りのバーテンダーたちのおかげでここまできました」と謙遜しながらも、作り出すカクテルはもちろん一流だ。取材では「ヴォルティセ」というメスカルをベースに、バナナ、カカオパルプ、シャンパーニュにミルクを加えながら、透明で美しい「メスカルパンチ」というカクテルを作ってくれた。
「個人的にはストレートが一番おいしいけど(笑)」と、気さくな人柄も同店の魅力だろう。