ミュージックバー 道
Photo: Keisuke Tanigawa | 店内
Photo: Keisuke Tanigawa

湯島でしかできない9のこと

湯島天神や老舗バーなど文化人が愛した街をそぞろ歩き

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湯島は下町の街並みと文化、そして情緒ある坂道が共存する街。個性的な個人店が軒を連ねる商店街や、かつてこの街で学び暮らした文豪が愛した老舗店、路地裏に佇むしゃれた飲食店や雑貨店などもあり、そぞろ歩くのが楽しい。

東京メトロ千代田線の湯島駅を中心に、徒歩15分圏内にはいくつもの駅が点在している。上野広小路駅、末広町駅、御徒町駅、上野駅。ぶらぶら歩いていると、どこかの駅にたどり着くだろう。

ランドマークは、学問の神様・菅原道真公をまつる「湯島天満宮(湯島天神)」。2030年に創建1300年を迎える江戸の総鎮守「神田明神」、さらに、1690(元禄3)年には、江戸幕府五代将軍徳川綱吉が設けた学問所「湯島聖堂」もある。

歴史や文化の趣きを感じながら、足を運ぶたびに「新しい発見」がある、知的好奇心と食欲を満たしてくれる街だ。あえて路地裏に迷い込むのも悪くない。

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静かめ酒場 のまる

湯島とお茶の水の間の雑居ビルの2階にひっそりと佇む「静かめ酒場 のまる」。「通りすがりで入ってこられる方はほとんどいらっしゃいませんね」と店主も語るように、中に入るには少し勇気が必要だが、扉を開ければ酒好きには堪えられない空間が広がっている。

多種多彩な肴が記載されているメニューは、店主が書いたもの。小さな文字で、びっしりと書かれており、老眼を自覚している人にはつらいかもしれないが、ルーペも用意されている。

 揚げたてのイモを使った「すぐにでないぽてさらとカラスミふりかけ」(360円、以下全て税込み)や「太陽(すもも)と酒カスのレアチーズ」など、酒が進むメニューに心が躍る。「ブタカタロースとむかごと千住ネギとで黒酢の(豚の黒酢炒め)」(900円)には、「神亀」の燗を合わせてくれた。黒酢の風味が神亀のうまみを引き立たせている。

一つ一つの料理が安価、かつポーションも小さいので、一人でもいろいろオーダーできるのがうれしい。そもそも料理は「時間はかかるが、材料があれば基本的に何でも作ります」というスタンスだ。

2018年にオープンした同店は、店名に「静かめ酒場」と記載されているように、「居酒屋」というよりは、「酒場」といった方がしっくりくる。一人で、あるいは少人数で日本酒を飲むのには最適だ。日本酒の種類も豊富(半合550~770円)。燗(かん)で飲めるものも多い。

日本酒以外のおすすめは、「生ビール」(880円)。店主は「うちほどおいしいビールを出すところはまずないです」と即答。いれかたにこだわっていて、「あえてメニューに銘柄は記載していませんが、みなさんまずわかりません(笑)」とのこと。

店内では、店主が買い集めた器の販売も。値札は明記されておらず、「価格の折り合いが付けば販売しています」。気に入ったものがあれば、相談してみよう。

営業時間は変更となることもあるので、事前にインスタグラムから確認を。なお、月に一度、不定期で、間借りカレー店「カリー クーシー」のカレーランチを提供することもある。

  • 湯島

ミュージックバー 道

湯島駅4番出口のすぐ横にあるビルの3階にある、ミュージックバー。オーナーの大久保裕文が、「アナログレコードとCDのコレクションがたくさんあって、自宅に収まりきらなくて」と2009年にオープンした。

カウンターの後ろには1000枚以上というおびただしい数のレコードが並び、壁にはアンディ・ウォーホル(Andy Warhol)のシルクスクリーンが飾られている。アーティスティックな雰囲気は、大久保の本職がグラフィックデザイナーであることにも起因しているのだろう。4階にもスペースを持ち、ライブイベントなども開催される。

大久保自身は音楽に耳を傾けながらカウンターで飲んでいることが多く、カウンターに立つのはフリーランスの舞台俳優。2025年1月現在、4人の俳優が交代で担当している。この日の担当は中瀬古健。「サバのリエット」(700円、以下全て税込み、「スパイスキャロットラペ」(600円)といったつまみや、「サングリア」(900円)、「コーヒー焼酎」(800円)などは、彼が主体となって作っている。

ゲストは常連はもちろん「ネットで見た」という外国からの観光客も少なくない。

洋楽がかかっていることが多いが、シティポップも人気で、「先日も『(山下)達郎、ありますか』とリクエストをいただきました」(中瀬古)。「サッポロラガー大瓶」(1,100円)をチビチビやりながら、青春時代の名曲に酔いしれるのも悪くない。居合わせたゲストとのやりとりも楽しい、帰宅途中につい足が向いてしまうそんなバーである。

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  • Things to do
  • 湯島

木村硝子店 直営店

1910年創業のグラスメーカー「木村硝子店」は、今や薄くて軽いグラスの代名詞ともなっている。飲食店で見かける繊細なビアグラスの多くは、木村硝子店のアイテムだ。当たり前のように目にするようになった、飲み口が薄い「極うす」の小さなビールグラスも、同社の定番商品の一つだ。

本社があるのは湯島駅から徒歩数分の閑静な住宅街。2016年にそれまでショールームとして使用していた場所をリノベーションし、本社併設の直営店がオープンした。お馴染みの繊細なグラスはもちろん、他社とのコラボレーションアイテムや分厚いグラス、脚の細いワイングラス、さらにはテーブルウエアなど、さまざまな商品に出合える。オリジナル以外に、​同社が​目利きした​他メーカーの​商品も​扱っている。

日常を彩るグラスは、やはり実際に手にとって選びたいもの。あなたの生活に寄り添う、機能美とモダンさを兼ね備えたグラスを探し出してみては。

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湯島天満宮

「湯島天満宮」は、「学問の神様」として知られる菅原道真公をまつる神社。受験シーズンには多くの受験生や修学旅行生が訪れる。創建は458年。1355年に道真公が勧請されて以来、学者や文人に崇敬されてきた。

学問だけでなく、縁結びや勝運にもご利益があるとされ、社会人の参拝者も少なくない。現在の社殿は1995年に総ヒノキ造りで改築されたもの。境内へは、「男坂」、「女坂」、「夫婦坂」の3つの坂道を通って行くことができる。

道真公が愛したという梅の植樹が積極的に行われ、名所としても有名。毎年2月から3月にかけて「梅まつり」が行われる。

九州の大宰府に流されることになった道真公が「東風(こち)吹かば 匂いおこせよ 梅の花 あるじなしとて春な忘れそ」と詠んだ歌はあまりにも有名だ。戦時中は荒廃したが、氏子らによって復活。約300本の梅の木が咲き誇る。

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  • 湯島

成吉思汗だるま

札幌すすきのの老舗ジンギスカン専門店「成吉思汗だるま」。2024年7月、湯島の地に進出を果たした。1954年の創業以来、地元で愛され続けてきた名店だ。札幌本店の雰囲気を忠実に再現しており、中でも2階は本店同様、馬蹄形カウンター席を採用している。

ジンギスカンのラインアップは、「成吉思汗(ジンギスカン)」、脂身が多い「上肉」、希少部位の「ヒレ肉」の3種類。新鮮なマトンを使用し、チルド輸送で鮮度を保っている。ぜひ食したいのは「上肉」。穀物飼育された、やわらかく上品な脂が美味だ。

七輪を使用し、羊の脂で焼き上げる調理法も特徴的。秘伝の醤油ベースのたれに付けて食べることで肉のうまみが引き立つ。辛さを抑えた韓国の唐辛子と粗めにすり下ろしたニンニクの薬味も「中毒性高し」との声が多い。ご飯に番茶と秘伝のたれをかけて提供する「〆のお茶漬け」も見逃せない。

  • 湯島
  • 価格 2/4

エスト!

1973年創業の老舗オーセンティックバー「エスト(EST)!」。店名の由来は「日本の酒」「古酒新酒」などの著作がある農家学者で、歌人としても知られる坂口謹一郎によるもの。ラテン語で「ここだ!」を意味する。

ヨーロッパの山小屋をイメージして作られた店内で楽しめるのは、旬を大切にしたカクテル。ホワイトラムをベースに搾りたてのグレープフルーツを加えた「夕顔」など、オリジナルカクテルも多い。「サイドカー」や「ジンフィズ」などといった定番のカクテルや、「ハイボール」などでもその質の高さを存分に実感できる。

同業者も憧れる湯島の路地裏の名店で、至高の1杯に酔いしれよう。

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  • 中華料理
  • 湯島

レジェンダリー香港

中国とシンガポールで展開してきた香港料理の人気店「レジェンダリー香港」が、2020年に湯島で東京1号店「レジェンダリー香港(Legendary Hong Kong)」をオープン。香港のシェフと日本のシェフのタッグにより生まれた同店では広東語が飛び交うことも多く、一瞬ここが日本の下町であることを忘れてしまいそうになる。

メニューは「エビ蒸し餃子(蝦餃)」「中華風蒸し春巻き(腸粉)」「大根餅(蘿蔔糕)」「チャーシューまん(叉焼包)」など定番の点心はもちろん、「香港式ミルクティー(港式奶茶)」、「香港のメロンパン」として知られる禁断のおいしさの「パイナップルパン(菠蘿油)」といった「茶餐廳(香港大衆カフェ)」的なメニューも充実している。

そのほか、「雲呑麺」や「海南チキンライス」「チャーシューチキンライス(叉焼切雞飯)」など麺やご飯のメニューもあり、飲茶だけではないさまざまな楽しみ方ができる。「濃厚なカスタードクリームがたっぷり入ったブタ形のまんじゅう」など、映え系メニューも見逃せない。

湯島で、本格的な香港の味を堪能できる貴重な一軒だ。

  • 湯島

アトリエデリー

「アトリエデリー」は、1956年に創業したインドカレーの先駆け的存在である「デリー」が、2021年12月に湯島の路地裏にオープン。主にオンライン直販向けの加工品製造を行う工房と、レストランを兼ねたスペースだ。

同店は「本場の味を多くの人たちに」というポリシーのもと、時代に即したカレーを生み出してきた。オンラインにも積極的に対応しており、レストランの味を家庭で味わえる商品を心を込めて手作りしている。

マスタードイエローを基調とした店内では、週替わりの限定メニューが味わえる。詳細は公式ウェブサイトでアナウンスされるのでチェックしてほしい。なお、席数が少ないため整理券方式で、9時30分から配布している。

アトリエならではのユニークで個性的なカレーをぜひ賞味したい。テイクアウトも可能だ。

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  • カフェ・喫茶店
  • 湯島
  • 価格 1/4

自家焙煎珈琲みじんこ

2011年にオープンした「自家焙煎珈琲みじんこ」。

木を基調とした店内では、産地や農園、精製方法にこだわった厳選豆を使用し、1杯ずつ丁寧にハンドドリップ。コーヒーとともに、軽食やコーヒーに合う自家製のスイーツが楽しめる。自家焙煎(ばいせん)のスペシャルティコーヒーをベースにした、アレンジドリンクも多彩だ。

看板商品は、専用の銅板で焼き上げる「ホットケーキ」と、ねっとりとした舌触りが印象的な自家製「プリン」。厚切りのフランスパンの上に、濃厚なマスカルポーネチーズと、キャラメリゼした松の実を添えた「鉄板フレンチトースト(ハニー&マスカルポーネ」も人気だ。

そのほか、キーマカレーに季節野菜を挟んだ「キーマカレーと季節の彩り野菜サンド」や、ドイツ直輸入の熟成ソーセージを挟んだ「ジャーマンソーセージのホットドッグ」など魅惑的なメニューが並ぶ。

「湯島天満宮」と「神田明神」の中間に位置し、参拝の前後に小腹を満たすには最適なスポットだ。

もっと東京を探訪するなら……

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東京各地のディープな街情報を発信してきたタイムアウト東京と、テンションあがる『街ナカ』ホテル「OMO(おも) by 星野リゾート」がコラボレーション。街の見え方が変わる「新ご近所ガイドシリーズ」第2回をお届けする。このシリーズでは、地域に精通したナビゲーター「OMOレンジャー」がすすめるローカルスポットを、タイムアウト東京が独自の切り口で紹介していく。

第2回の「ご近所」は、品川区・五反田。ソニー発祥の地であり、ビジネス街として知られている街だ。

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港区・赤坂。江戸時代には大名屋敷が建ち並び、明治時代には政財界の邸宅街として発展した由緒ある街である。彼らが通った料亭街の趣が今も色濃く残っているが、近年は新たな都市開発プロジェクトが立ち上げられ、進化の動きは止まらない。きらびやかで華やかな印象を抱くが、その根っこには人と人を結ぶもてなしに満ちている。

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東京各地のディープな街情報を発信してきたタイムアウト東京と、テンションあがる「街ナカ」ホテル、「OMO by 星野リゾート」がコラボレーションする「新ご近所ガイドシリーズ」第4回をお届けする。

今回の舞台は、台東区・浅草。昔ながらの下町の雰囲気を残し、訪日外国人にも人気がある。浅草は大正、昭和初期にかけては、東京屈指の先端をいく街だった。東京一の興行街として活況を呈し、新しもの好きが集まった。

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