開催、その真意は……
しかし、オレゴン州にあるパシフィック大学の准教授で政治学を研究し、オリンピックを激しく批判してきたジュールズ・ボイコフ(Jules Boykoff)は、さまざまな憶測が飛び交う中でも中止が有力な選択肢になるとは思っていなかったという。
「開催都市との契約は、国際オリンピック委員会(IOC)に非常に強い権限を与えています。オリンピックを中止するかどうかは彼らの専権事項であり、絶対に中止するつもりはありませんでした。五輪は彼らの黄金の資金源であり、開催都市の健康問題のためにそれを止めるなどは考えていなかったでしょう」。
オリンピックで披露されるスポーツの素晴らしさは、大会に関わる企業や政治家の行動に対する説明責任の欠如を覆い隠しているとボイコフは考える。
「私がさまざまな面で尊敬する素晴らしいアスリートたちがいるのは確かで、オリンピックのプラスの面は確かにあります。一方で、オリンピックを私利私欲のために利用する勢力が存在し、地元の人々から民主的な選択肢を奪っているのです。私は、オリンピックには本当の意味での民主主義の欠如があると思っています」。