台熊祭々 2024 in 合志市
Photo: Takashi Gomi
Photo: Takashi Gomi

日台交流イベント「台熊祭々 2024 in 合志市」イベントレポート

2日間で1万5000⼈以上が来場、文化を分かち合い未来を創造する場へ

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台湾の半導体メーカーTSMCが工場「JASM」を熊本県菊陽町に建設したことで、熊本県合志市を含む周辺の都市に台湾からの移住者が増えている。文化や食など、台湾に関連するコンテンツが増えていき、地域の景観にも一定の影響を与えるだろう。周辺に根付き始めるだけでなく、間接的に地域住民の台湾への関心も高まっている。

今後は台湾からの移住者や観光客の増加が期待されており、地元住民との相互理解の醸成や共生、多言語対応、友好的な環境づくりなどの受け入れ環境の整備が急務となるだろう。同時に、台湾と日本の文化やビジネスの交流を活性化させ、現地の日本企業と台湾企業が連携すれば、新たな生活圏や共栄市場も創出されていくに違いない。

台熊祭々 2024 in 合志市
画像提供:初耳 / hatsumimiタイムアウト東京と東京小日子の会場内ブース/2024年2月に熊本県とリリースしたガイドマップ『熊本空港周辺でしかできないこと』の日本語版と繁体字版を配布した

こうしたニーズから生まれたのが、地元に密着した日台文化交流プロジェクト「台熊祭々 2024 in 合志市」だ。 ウェブメディア「タイムアウト東京」「東京小日子」などを運営するORIGINAL Inc.代表取締役の伏谷博之と、台湾カルチャーイベント「TAIWAN PLUS」のマーケット部門のコーディネーターを5年連続で務める、台湾メディア「初耳/hatsumimi」代表の小路輔という2人のエキスパートが企画し、2024年5月18・19日に開催された。

イベントは合志市(市長・荒木義行)が後援し、福岡市を拠点とする三好不動産(三好周代表取締役)が特別協賛。熊本初上陸となる15ブランドを含む、38ブースが出店した。

※本記事は、「初耳/hatsumimi」に2024年5月30日付けで掲載された「相互共榮多方交流的台灣文化活動台熊祭祭 2024 in 合志市,熊本登場全記錄!」を翻訳したものを転載

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同イベントの主な目的は、台湾のコンテンツを一方的に紹介するだけでなく、日台双方の視点や背景を通して相互理解に基づく交流に焦点を当てることだ。 第1回目の「台熊祭々 2024 in 合志市」は、地元住民を対象とした台日セミナーを皮切りに、地元の図書館に台湾関連の書籍や漫画を集めた多言語読書コーナーを開設するなど、徐々に認知を高めていった。

さらに、農業が盛んな合志市で、台湾ブランドの産地視察ツアーを実施したほか、台湾と日本の産業界が対話を深める体験型ワークショップを開催した。

体験型ツアーに招待された参加者で、台湾の農業・水産業に長年注目しているメディア「不二味」が事前に「うさぎ農園」についてリサーチしたところ、地元の小規模農家がソーシャルメディアをうまく活用し、自然農法の情報をユーモラスかつ面白く発信している点が非常に目を引いたという。より多くの消費者が、体に入れる栄養素が実際にどこから来るのかに関心を持つきっかけになると感じたようだ。

また、「緒方エッグファーム」の複合型経営とブランディングのコンセプトにも共感し、現在の台湾の若い世代による卵ブランドにも同様の新しいトレンドが台頭していることに言及した。

「うさぎ農園」は、かつて祖父と父が経営していたウマの牧場跡地を月野夫婦が譲り受け、自然農法にこだわって再生させた。インターネットを使った宣伝や実店舗での販売を通じて、直売の果物や野菜のセットは人気商品となっている。

化学肥料や農薬を使わない自然農法では、作物が本来の姿で成長する様⼦が⾒られる。収穫されずに茂ったアスパラガスは花を咲かせ、⼟地を休ませて次の豊作に備えることもあるという。また、通常は⾼級スーパーなどでガラス瓶に入って油漬けの状態で販売されているアーティチョークも、ウサギ農園では⻘空の下で思い切り育っている。

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「緒⽅エッグファーム」は、のどかで⽵林に囲まれた⼩⾼い丘の上に位置する。優れた地理的環境で、熊本の澄んだ良質な地下⽔をくみ上げ、⽵林を通過した⾵が優しく吹き抜け、空気が⾃然に流ること、また、飼料と鶏の健康に配慮した飼育⽅法により、卵はより栄養価が⾼くなる。

農場内には、鶏の飼育スペースだけでなく、⾃家製スイーツのキッチンと売店もあり、新鮮でおいしい卵プリンや卵⽩を使ったアイスクリームなどのデザートも提供。また、不定期で料理教室やワークショップを開催し、生産所を⼀般に公開することで、⾷の安全と⾷育を両⽴させている。

⽣産地を訪れた後は、いよいよ料理の出番だ。「緒⽅エッグファーム」と⻑年協⼒しているレストラン「Jicca」では、遠⽅からやってきた台湾ブランドのために、「緒⽅エッグファーム」の⽣卵を使った卵かけご飯、ゆで卵、メインディッシュの蒸し鶏のセットメニューを⽤意。記憶に残るおいしさに、炊きたての⽩い米と卵があっという間になくなった。

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メインイベントに話を戻そう。「台熊祭々」はより幅広く⽇台の友好関係を築くために、気軽に楽しめるマーケット形式で開催された。台湾のブランドと地元の日台ブランドを招待し、2⽇間のマーケットには1万5000⼈以上が来場。2024年に園内で開催されたイベントの来場者数の最⾼記録となった。これは、街の住⺠の6分の1以上が訪れたことになる。

初開催の「台熊祭々」は、台湾をテーマにしたほかのイベントと⽐べると規模は⼩さいが、業界のリーダーが集まったことで、市⺠や地元メディアの注⽬を集めた。注⽬は、世界チャンピオンのジャム「Keya Jam」が発表した、熊本の柑橘類と台湾のミカンを組み合わせた⽇台の友情を象徴するジャムだ。

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TSMCのスイーツブランド「MANO MANO」は、ユニークな職人技とクリエーティビティーを発揮して、同イベント限定のマカロンギフトボックスを発売した。台湾をイメージした、タピオカミルクティー、「茄⼦袋」、ビーチサンダルなどの愛らしいデザインのマカロンに、来場者からは次々と「カワイイ」という声が上がった。

低温長時間製法でカカオエッセンスを抽出し、コーヒーや茶のフレーバーを織り交ぜたチョコレートを提供する「COFE 喫茶咖啡」は、看板商品である台湾各地の茶を使用したチョコレートで、⽇本⼈を味覚の台湾旅⾏へと誘った。

人気の台湾ブランドによる限定商品だけでなく、「台熊祭々」にはさまざまな体験ゾーンも設けられた。

その一つが「臺灣印事TAIWAN IMPRESS」が企画した「⽇常の台湾⽂化の、最も美しい時代の印象を残す」体験コーナー。デザインチームが台湾の都市や町を体で感じ、通りや路地を歩き職⼈を訪ね美しさを探索した後、イラストで表現した台湾の⽇常を、台湾のトップスタンプブランドと協⼒して、簡単に押印でき、台湾の美しさを再現できるスタンプを作成した。

会場内ではスタンプ体験を通じて、台湾を訪れたことのない⼈でも、美しいデザインを通じて台湾の⽣活⾵景が知れる。また、以前に台湾を訪れたことのある⽇本⼈は、「台湾旅⾏の素晴らしい思い出がよみがえったかのようだ」と感動し、スタンプを押した自分だけの世界に⼀つだけの記念ポスターを家に持ち帰ることで、思い出になると述べた。

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人気テレビ番組「マツコの知らない世界」で「台湾夜市」の魅⼒を熱く語った、台湾夜市ゲーム研究者の三⽂字昌也も会場に駆けつけ、本場を再現。体験ゲームと分かりやすい説明を通じて、⼦どもから⼤⼈までが⽬を輝かせ、楽しんでいた。

また、長年にわたり台湾料理や世界の料理、地元の食材に注目してきた飲食マーケティングチーム「Zwhy」によるブース「⼤⼤の台所」も好評を博した。食前酒は、台湾・台東の「鉄観⾳茶酒」と、今回出店していた「胭脂⾷品」の梅酒と梅果実リキュールのスパークリングドリンクを提供。茶と果物の⾹りが、暑さを和らげてくれるようだった。

台湾と熊本の保存食という名にふさわしい料理とともに、熊本の食材を使って作った台湾の「魯⾁飯(ルーロウファン)」「鶏の唐揚げ」「茶葉卵」は本格的な味わいで、「ここが日本なのか台湾なのか分からない」と口を揃えていた。

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台湾と熊本の架け橋として、「台熊祭々」には多くの見どころがある。イベントの好評を受けて、今後も継続され、将来的にはより多様な形でさまざまな体験を通して互いの文化を知り、ともに未来を創造する場へと変化していくことが期待される。不定期開催だからこそ、次回の開催が待ち遠しい。

台湾についてもっと知るなら......

「ご飯食べた?」を意味する「呷飽没?」があいさつになってしまうほどおいしいものであふれる台湾。気軽に旅ができない今、台湾ロスに陥っている人も多いだろう。

そんな人の願いをかなえるべく、ここでは「東京の台湾」をピックアップ。本場の味が楽しめる料理店はもちろんのこと、現地感のある内装でプチ旅行気分に浸れる一軒や話題の新店、隠れた名店などをタイムアウト東京の台湾出身スタッフ、ヘスター・リンとともにセレクトした。台湾の豆知識も時々交えたヘスターのコメントとともに紹介するので、台湾の情報収集としてもぜひ活用してほしい。

鹹豆漿(シェントウジャン=塩っぱい豆乳スープ)や蛋餅(ダンビン=台湾式クレープ)をはじめ、飯糰(ファントゥアン=台湾式おにぎり)、三明治(サンミンチー=台湾サンドイッチ)、肉包(ロウパオ=肉まんなど本格的な台湾朝食を提供する店が、ここ最近、東京でも増えてきている。

現地の味を忠実に再現した本格メニューが楽しめるとあって、台湾ラバーや在京台湾人が足しげく通う店も多い。ここでは、そんな本格的な台湾朝食が楽しめる都内の店を紹介しよう。

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  • 音楽

渋谷「デュオ ミュージック エクスチェンジ(duo MUSIC EXCHANGE)」で、2023年9月7日(木)、8日(金)に「Emerge Fest : Japan」が開催する。同イベントは台湾・台中で2024年2月24日(土)、25日(日)の2日間開催される音楽フェスティバル「浮現祭 Emerge Fest」のプロモーションイベントという位置付けになっている。

本イベントはもちろん、来年のフェスティバルにもブッキングや制作で関わっているデュオのスタッフ、マーチェリン(馬緁羚)にインタビューした。日本と台湾の音楽シーンの違い、人気のバンドについてなど、日台両方に住み、働いている人の視点は貴重なのではないだろうか。コロナ禍も落ち着きを見せ、台湾をはじめとするアジア圏のミュージシャンたちの来日公演が盛んな今、新たな音楽との出合いの参考になれば幸いだ。

  • カフェ・喫茶店

2022年12月、台湾で買いつけた置物や飾りを配し、香の匂いや台湾の音楽などで幻想的な空間に仕上げた自家焙煎(ばいせん)コーヒーショップ「アジュラ(ajura 、翹璹欏)」が新宿御苑近くにオープンした。店を手がけているのは、高田馬場で人気のコーヒーショップを営む台湾出身のリウェイ(李維軒、29歳)と、妻で日本人のハルコ(29歳)の2人だ。

リウェイは、ラテアート技術を競うバリスタの選手権大会で多数の受賞歴を持ち、2022年には世界大会「フリーポアー・ラテアート・グランプリ2022」で優勝を果たした。妻のハルコも、2022年に台湾で開かれたラテアートの大会で準優勝に輝いている。

東京で活躍する外国人にインタビューをしていくシリーズ「International Tokyo」。第9回は、台湾人であるリウェイと妻のハルコに、台湾から日本に移り住んだ経緯や、1号店が人気店となるまでの裏側、将来の展望について話を聞いた。

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  • Things to do

2024年5月18日(土)と19日(日)、熊本県合志市の「熊本県農業公園カントリーパーク」で、台湾との文化交流イベント「台熊祭々(たいくまさいさい)2024 in 合志市」が初開催。台湾の半導体メーカーTSMCが工場「JASM」を熊本県菊陽町に設立し、現地で台湾への関心が高まっていることから実施が決定した。

同イベントでは、協賛関係者のブースをはじめ、台湾の食や生活文化を伝える飲食ブースや物販ブースなどを設置する。加えて、熊本の地元事業者のとの交流プログラムを行う予定だ。本記事では、同イベントの見どころを紹介する。

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