ワシントン、ブエノスアイリス、東京の3拠点生活
マティアスは、同店のほかにもブエノスアイレスでラーメン屋、コロンビアでカフェバー、メキシコシティーで台湾パオとクラフトビールの店をオープンさせたカリスマ経営者である。現在は、妻の出身地であるアメリカ・ワシントンと、故郷のブエノスアイレスを拠点に、ここ東京と3都市を2週間ごとに行き来しているそうだ。
そんな彼が日本を初めて訪れたのは、2008年。旅先で日本食にとりこになった彼が、特に衝撃的だったというのがラーメンの味だ。日本で食べた本場のラーメンのあまりのおいしさに、「このラーメンをアルゼンチンに持っていきたい」という夢ができたという。
帰国後も、度々日本に足を運び、1日に6、7店舗を回って研究を重ねたそう。同時期にワシントンに住む日本人シェフのNaoya Nakamuraから修行を受け、2013年にはブエノスアイレス初となるラーメン屋をオープンした。当時はラーメン屋など1店舗もなかったブエノスアイレスでの出店はチャレンジングな試みだったが、オープンしてまもなく、20時から24時のみという短い営業時間にもかかわらず、週末は1日に200人もの客が訪れる人気店となった。
アメリカのように日系の製麺会社もないので、Naoya Nakamuraに教わった製麺を自分たちの手で行っているという。
その後も、アメリカ、メキシコと異国で見つけた「美味」をテーマとしたカフェやレストランをオープン。「旅行とグルメ、そして学ぶこと。僕がずっと追い求めていたいことです。それらを無我夢中でやっていたら、今の働き方になっていました」。そう話すマティアスが、故郷の味を日本に広めたいと、今年新たに手がけたのが、アルゼンチンを代表する郷土菓子、メディアルナが楽しめるリオコーヒーだ。