「男・女」が前提の世の中で
ーノンバイナリーを自認したきっかけは?
生まれた時からノンバイナリーだったと思うけど、その言葉に出合ったことはなかった。虎鉄のジェンダーアイデンティティーが明確になったのは、2019年にサム・スミスがノンバイナリーであることをカミングアウトした時。
記事を読んで、自分の持つ男女二元論ではない考え方は「ノンバイナリー」という言葉が一番近いと感じた。今は「自認する」というよりは「ノンバイナリーな状態である」感覚の方が強いかも。
ーノンバイナリーにもさまざまな定義があるけど、虎鉄さんにとってのノンバイナリーについて教えて。
虎鉄は自分のジェンダーについて、男性でも女性でもないと感じている。「性はグラデーション」という言葉があって、端と端が男性と女性、その中間がノンバイナリーという考えはあるけど、個人的には円形のスペクトルの一部だと捉えてる。男性、女性、ノンバイナリー、そのほかのジェンダーがあちらこちらに点在しているイメージだね。
ー規範的なジェンダーに関する考え方が世間に広く根付いているように感じる?
洋服や髪形、化粧などが、直接ジェンダーと結びついてしまっていると感じる。今、エクステを付けて髪を伸ばしているんだけど、ロングヘアだから女性と判断されることもある。逆にショートヘアの時は男性として話しかけられることが多い。男女二元論が前提となるコミュニケーションは、まだまだ世の中にあふれている。
ー「男・女」の前提で話しかけられたら、相手にはなんて言うの?
「虎鉄はノンバイナリーというジェンダーで、男女どちらでもないんですよね〜」ってカジュアルに伝える! セクシュアリティーについては「マセクシュアル(*1)」と答えているけど、場合によっては「男性が好き」と言うかな。教科書モードじゃなくてパーティーモードの時もあるからね(笑)。
*1性自認を問わず恋愛感情や性的欲求が男性に向いているセクシュアリティーのこと