性別とジェンダーにまつわる長年の疑問
ー始めに、お二人について教えてください。
エリン:私たちは結婚22年目の「婦婦(ふうふ)」です。二人でセックスポジティビティーを文脈としたオールナイトの野外レイブ『SLICK』、クィア&フェミニズムをテーマとするパーティー『WAIFU』をオーガナイズしています。今年2月、私たちの家族の形について綴った著書『エリンとみどり ジェンダーと新しい家族の形』を出版しました。
ーさまざまな活動をされているお二人ですが、今回本の出版を決めたきっかけはありますか?
みどり:今までさまざまな活動を通して、マイノリティーとされている人たちが「少数派だけど少数ではない」ということを発信してきました。今の社会では、トランスジェンダーの人権を守る法律はなく、存在しないものとして認識されています。ですが、私たちのように生活している当事者は世の中にはたくさんいるんですね。
今回本の出版のお声がけをいただき、今までとは異なる層の人たちにも私たちのメッセージが届けられると思い、承諾しました。
ー本では自身の経験をベースに、「ジェンダー」をテーマにしています。自身のジェンダーについてはどのようにお考えですか?
みどり:私のジェンダーは昔から女性と捉えていて、それに対して疑問はありません。しかし、「女性」って何だろうとは思います。私はいわゆる「女性らしい」服装を好み、恋愛対象は男性。ステレオタイプであるような、女性にして喜ぶとされていることに対してもうれしいと感じる。
けれど、エリンと自分を比べると、私の方が性格はサバサバしていて、世間でいう「男らしさ」に当てはまってると思うんです。なので、男/女で分ける「性別」が何かということはわからないんですよね。
ー一言では表せないということですね。
みどり:そうですね。本人の自認が大事なのかなと思います。私は、相手が「自分は女」だと言うなら女だと思っています。それはジェンダー以外にも当てはまると思うんです。
例えば、生理痛がひどくて体育の授業を休みたいと言う人に対して、第三者が「私はつらくないと思うから出席すべき」と言っても、個々によって感じ方や痛みの度合いというのは異なりますよね。このように他人にはわからないこともたくさんあると思うので、自分がどのように認識しているかが尊重されるべきだと思います。