ポリティカルなことをラップする
ーREINOさんのヒップホップとの出会いについて教えてください。
小学5年生の頃、YouTubeで「LOW HIGH WHO?」(LHW?)というレーベルのチャンネルと出会い、ヒップホップを聞き始めたのがきっかけです。そこで当時、LHW?に所属していたラッパーのJinmenusagiさんやDAOKOさんの音楽と出会い、自分の持っているヒップホップの印象がガラリと変わりました。
ーヒップホップの印象はどのように変わりましたか?
ヒップホップ=ギャングスタイルというイメージがあったんですけど、彼らの作る音楽は自分のメンタルと向き合い、心の内を包み隠さずにラップする内省的な側面が特徴でした。そこからヒップホップにのめり込み、中2の頃にラップを始めました。
ーREINOさんの音楽は、LGBTQ+差別、入管(入国管理)法改悪、Colaboへのヘイトクライムなど、あらゆる社会問題をテーマとしているのが印象的です。曲を作る際のインスピレーションはどこから得ているのでしょうか?
自分の経験や周りの人からインスピレーションを得ることが多いです。入管法改悪を受けて制作した「Get」のアートワークを元SEALDsのメンバーの長谷川唯さんに提供してもらったり、シンガーソングライターをしながらでも活動に多く活動しているのhirano taichiさんの楽曲「monologue(feat.REINO)」でラップさせていただいたり。周りを巻き込んだり巻き込まれたりして、音楽と関わっています。
ー海外ではポリティカルなメッセージを伝えるアーティストが増えていますが、日本だとREINOさんのように社会問題をラップするアーティストは珍しい気がします。
YGの中指を立ててドナルド・トランプをディスる「FDT(Fuck Donald Trump)」、N.W.Aの警察に対するプロテストソング「Fuck the Police」など、ポリティカルな内容でラップをする曲はたくさん出ています。カニエ・ウェストやドレイクもそうですよね。ですが、日本ではそれが珍しいこととされています。多分、「入管」というワードをストレートに使ったラッパーは俺が初めてなんじゃないかな。
ーまだ日本にはポリティカルな内容をラップする文化はないということですか?
あとは、ポリティカルなことを日本語ラップに乗せるとダサくなるんですよ。けど、それってメッセージを生理的に伝えたいという気持ちが先走ってしまっているから、音楽として聞けるラップではなくなっているだけで。NORIKIYOという日本人ラッパーは、政治をクールにラップしているのでおすすめです。