MANON
Photo: Kisa Toyoshima
Photo: Kisa Toyoshima

インタビュー:MANON

無限の可能性秘めた次世代カルチャーアイコンに聞いたインスピレーションの源やお気に入りスポット

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次世代カルチャーアイコンとの呼び声も高いMANON。音楽とファッションを横断した活動はもちろんのこと、最近はNHK総合で放送されたテレビドラマ「生理のおじさんとその娘」への出演など、どんどんその活躍の場を広げている。

そんなMANONは普段からどんなことを考え、どんな未来を思い描いているのだろう。曲作りから行きつけのスポット、遊び続けたい理想の街の姿や今後の展望まで、等身大の彼女を知るべく幅広いトピックで話を聞いた。

なお、タイムアウト東京が制作を担った渋谷エリアの定期観光バスツアー「SHIBUYA STREET RIDE」の公式パンフレット内にもMANONへのインタビューを掲載。こちらでは、渋谷に抱く印象なども聞いているほか、渋谷という街を深掘りできるコンテンツも多数あるので、より豊かな探索体験をしたい人はぜひチェックしてみてほしい。20234月以降に発売を予定している。

ブログから始まった自分自身を表現するということ

──アーティストやモデルをはじめ、最近ではお芝居にも挑戦したりと幅広い活動が印象的です。「表現する」ということを始めたきっかけは何かあったのでしょうか。

性格は人見知りなんですが、幼少期から「学芸会の主役のオーディションは絶対に受ける」みたいに表に立つことは好きなタイプでした。特別な何かがあったということはないのですが、こういう性格と、小学生の頃にきゃりーぱみゅぱみゅさんに憧れてブログを始めたということは一つのきっかけになったかもしれません。

──ブログではどんなことを発信していたのですか?

きゃりーさんのブログの中で、金髪を隠すために黒のウィッグをかぶって高校に登校する姿が投稿されていたんですが、派手な格好をして友達と原宿で遊ぶ姿と、真面目な高校生として学校に行く姿。ブログを読んでいくうちに、こういう二面性のある暮らしに憧れたんです。

あとは、好きなことを表現するということがめちゃくちゃかっこいいなと。私も学校の外では自分の好きな格好をしたり、その写真をブログにアップしたりして、ブログの中で自分自身を表現するようになりました。

日常のささいな出来事がインスピレーションとなる

── 表現でいうと18歳からは作詞にも挑戦されています。楽曲制作のインスピレーションはどういったところから得るのでしょうか?

私は18歳の時に上京したのですが、上京当時はコロナ禍真っただ中で、大学生活も仕事面の活動もこれからいろいろできるぞって時に外にもなかなか出られない状況でした。マネージャーさんから「kmさんからトラックがきたけど自分でやってみない?」と提案があったのはそんな時で。それまではトータルプロデュースという形だったので、私が担うのはボーカルのみだったのですが、この提案をもらって初めて作詞に挑戦したんです。

何もできない葛藤や、子どもでも大人でもない18歳という年齢特有の感情をリリックに乗せてみたら、自分の中でしっくりくるものがありました。ずっと家にいて何も刺激がないと思っていたけれど、それが逆に刺激になっていたのかなとも思います。

20歳になってお酒が飲めるようになって、友達と夜中も遊べるようになって、髪色をピンクにしたらマインドがパリピになって(笑)。気持ちに変化があってからは、作詞を始めた当初とはまた違った明るい曲が書けるようになりました。その時々の環境で自分の中から出てくるものは変わってくるので、どこでどういう時間を過ごすかということは、意識せずとも楽曲に反映されているような気がします。

── 日常の中でいつの間にか、自分の中に吸収したものがインスピレーションの源になっているのですね。

曲を作る際に、日常のささいな出来事からインスピレーションを得ることは多いですね。それこそ「GALCHAN MODE」という楽曲は、ハイパーポップというジャンルに渋谷のギャルカルチャーをミックスさせました。

── なぜハイパーポップにギャルカルチャーをミックスさせたのでしょうか。

単にハイパーポップで楽曲を作っても、そこにオリジナリティーがないと勝負できない。どうしたら自分らしさをミックスできるか……と考えていた時に、よく遊びに行く渋谷のギャルカルチャーを思い出したんです。曲調の速いハイパーポップとの親和性も高いと思ったし、ほかの国にはない日本らしさもある。また、私自身が通ってきたファッションとも交わり合っていて、ギャルカルチャーに「自分らしい要素」を見つけました。

ハイパーポップというベースに「自分らしい要素」をミックスさせた「GALCHAN MODE」は、「MANONらしい」と言ってもらえることも多くて、新しいハイパーポップが作れたと手応えも感じています。

音楽やファッションってカテゴライズされることが多いですが、私の楽曲においては「このジャンル」とはっきり分類しなくてもいいんじゃないかなと思っているんです。要素としてはハイパーポップが強い場合も、ヒップホップやエレクトロミュージックなど、これまでに聞いてきた音楽が「私らしさ」としてその中に宿っている。あえてカテゴライズしない自由さのようなものが現代的であり、ミクスチャー的な面白さかなと。

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遊び続けたい理想の街の姿

──  なるほど、MANONさんならではのフィルターで「自分らしさ」や「日本らしさ」を発見し、それらを楽曲と組み合わせることでオリジナリティーを出しているのですね。そういった発見を得るという意味でも「街に繰り出す」ということは一つのポイントになると思いますが、よく遊びに行くスポットはありますか?

もうなくなってしまったのですが、20歳になってからは「コンタクト」や「サウンド ミュージアム ヴィジョン」によく遊びに行っていました。あとは「山下本気うどん」がめっちゃ好きです。24時間営業の店舗もあって、朝の4時とか5時に行ってもお店の中がすごくきれいなんですよ。うどんはおいしいし、居心地もいいから、友達と「渋谷で何食べる?」ってなったら「とりあえず山下本気」となるくらい安心感があります。

ファッション系だと「イチミ」というショップがお気に入り。もともとは大阪にあったお店なんですが、ビンテージアイテムのセレクトや扱っているブランドが最高なんです。特に、中国出身のデザイナーの方がロンドンを拠点に活動している「ノードレス」というブランドは、ユニークなデザインの中にギャルっぽさもあって大好きです。

ほかには、この前友達に連れて行ってもらった「ラドラウンジ」というショップが面白かった。2000年代に熱かったブランドのビンテージアイテムだけでなく、当時の雑誌やレコードなども置いてあったりして、つい長居してしまう空間でした。それから、このピンクの髪色をキープしてくれているのは渋谷にある「シャチュー」です!

── ありがとうございます。ちなみに「こういう街だったら遊び続けたい」というような理想の街の姿ってありますか?

現実的ではないですが、バーチャル空間と現実世界がシームレスにつながる街になっていったら面白いなと思います。今もバーチャルライブやバーチャルのオンラインイベントなどはありますが、現実世界とちょっと乖離(かいり)しているので、「とあるクラブのドアを開くとその向こうがバーチャル空間になっている」くらい自由に行き来できる世界ができたら最高ですね。

現実世界の自分とは別に、バーチャル空間に行く時のアバターもいて。髪色を自由にしたり、浮いてるシューズが履けるようになったり、リアルな羽を付けられたりしたら、ワンステージ上のファッションも楽しめそう。

── もし実現したら、どんなファッションを楽しみたいですか?

目をぐわっと大きくしたり、フィルターみたいに光沢がある質感の肌にしたり、ファッションだけじゃなくて全く違う自分になりたくなっちゃうかも。ツノを生やしたりもして。

そのツノにはBluetoothのスピーカーが付いてて、好きな曲を友達にシェアする時に「この曲聞いてよ」みたいな感じでツノから音楽が流れるみたいな(笑)。全然現実味がないですけど、私がおばあちゃんになる頃にこんな世界になっていたら、オンライン上の自分は18歳のままで遊ぶこともできるし、めっちゃ楽しそうって夢が膨らみますよね。

── 何歳になっても思い切り遊べる、そんな未来に期待したいですね。最後に、これからの活動についての目標やビジョンをお聞かせください。

さっきの話から急に現実的になってしまうんですけど、海外でライブがしたいです! ロサンゼルスで「SUBCULTURE party」という、ハイパーポップやエレクトロミュージックのアンダーグラウンドなパーティーが開催されているんですが、ファッションや音楽、出演者、お客さんの全てが自分の大好きな感じなので、ここに出るということを一つの目標として掲げています。

また、自分の音楽のスタイルを変え始めた2020年以降、海外のアーティストとのコラボレーションも増えてきました。基本的にはオンライン上で一緒に楽曲を制作をしていて、例えばsix impalaというプロデューサー集団とはもう何年もやりとりをしています。でも、一度も会ったことがないし、実は6人全員顔も見たことがない(笑)。みんなに会いたいし、一緒に作った楽曲を近い将来、同じステージで演奏したいですね。

最近チャレンジした演技もそうですが、初めてのことに挑戦するというのがすごく楽しくて。チャレンジの幅が広がることで新たな化学反応も生まれると思いますし、今の自分のフィールドにないことにもどんどん挑戦していきたいです。

MANON(まのん)

次世代カルチャーアイコンとの呼び声が高いアーティストでモデル。dodoやLEXといった新鋭アーティストをはじめ、藤原ヒロシやケロ・ケロ・ボニト、話題のプロデューサー集団six impalaなど、多岐にわたるコラボレーションも話題。音楽とファッションを横断した活躍で注目を集めている。

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