「消去法でいうと女性を自認しています」
雅咲(シスヘテロ女性/25歳/接客業/Zine制作)
Instagram /Atem(ウェブマガジン)/Un ( ). (Zine)
ーシスヘテロだと思ったきっかけは?
今まで「敷かれたレールを歩んでいる」感覚があるのと、おそらく自分を形容するときにかけられる言葉が女性であることが影響して、シスヘテロ女性を自認しています。女性にはなりたくないけど、「ノンバイナリー」(性自認を「男・女」といった性別の枠組みに当てはめないこと)かといわれるとそうではない感覚があるので、消去法的にも私は女性です。
ヘテロセクシュアルだと思うのは、性的な欲求を満たすときに求める相手が男性だからです。ただ、自分のことを女性だと思っていても、世間から女性であることを意識させられることは苦手で、その分男性性を強く求める傾向があると思います。
ーカミングアウトはしましたか?
ジェンダーやフェミニズムを発信するときに、シスヘテロの視点として意見を述べる文脈で伝えたことはあります。シスヘテロが多い社会構造の中で、いわゆる同性愛者のように隠してきたアイデンティティーを公言する経験はありません。
ーシスヘテロとして生きづらさを感じたことはありますか?
私はマジョリティーなので生きづらさといっていいのかは分かりませんが、女性であることにモヤモヤすることはあります。例えば、結婚式がすてきだとか、子どもを産むと人生が変わるような語られ方をしているとつらく思います。
あとは、過去に建設現場で働いていたことがあり、その会社の面接で「男ばかりで寂しいけど、女性がいると華があって和む」と言われました。今でも女性はケアする存在のように語られることが多く、スキル面ではない側面で雇われていることには納得できません。
ヘテロセクシュアルとしての生きづらさは、今のところ感じたことはないかもしれません。
ーシスヘテロとして感じられる幸せはありますか?
世の中には、映画や広告など、シスヘテロを前提としたコンテンツがあふれているので、それに対して違和感を覚えることはありません。マイノリティーの問題を無視してしまっていますが、シスヘテロにはロールモデルがあるので、それに乗ってしまえばある程度努力しなくても権利が与えられるとは思います。
ー今後どのような社会を願っていますか?
シスヘテロがいかに特権を持っているかを自覚する社会になってほしいです。シスヘテロが不自由なく生きている一方、同じ社会でほかのセクシュアリティーやジェンダーの人たちが差別を受けています。想像力を働かせて違う側面をみることで、シスヘテロの持つ特権をうまく利用できるのかなと思います。