「カミングアウトの必要がない社会へ」
カリメロ(シスヘテロ女性/32歳/通訳・翻訳者)
ーシスヘテロだと思ったきっかけは?
私の出身は台湾で、親戚にゲイのおじやレズビアンのおばがいます。そのため、幼少期からLGBTQ+が当たり前の存在としてありました。大学で好意を寄せてくれた女性がいたのですが、お付き合いに発展することはなかったので、私はシスヘテロなのだと思いました。自分と同じ女性の体より、男性の方に惹かれることの方が多いです。
ーカミングアウトはしましたか?
したことはないです。告白された女性は当時レズビアンだったのですが、現在は男性と結婚しています。このように常にセクシュアリティーは流動的なものなので、カミングアウトする必要性はないと思っています。
ーシスヘテロとして生きづらさを感じたことはありますか?
以前勤めていた会社で飲み会に参加し、帰り道に同僚の男性とタクシーで帰りました。すると知らぬ間にラブホテルへ向かっていて、急いでタクシーを降りた経験があります。異性愛者で女性という前提があることで、苦労する場合もあると知りました。
同性婚が認められている台湾の中でも私の家族は寛容な方なので、全ての人に当てはまるとはいえないのですが、周りにLGBTQ+が多いからこそシスヘテロの私が少数派と感じることがあります。レズビアンの方に「なんでそんなに男好きなの?」と言われたこともあります。特殊かもしれませんが、これはマジョリティーならではの生きづらさかもしれません。
ー逆に、シスヘテロとして感じられる幸せはありますか?
私は在日台湾人として日本で結婚しているため、同性婚が法律で認められていなくても結婚できること、国際結婚では夫婦別姓が認められていることは、シスヘテロならではの特権だと感じます。
ー今後どのような社会を願っていますか?
カミングアウトしなくても、ありのままで生きていける社会、同性婚が認められる社会を願っています。人を尊重する前に自分を尊重することは大切です。自分はどういう人なのか、本当に男性が好きなのかなど、自分と向き合うことができる空気感になるとうれしいです。