Eat Pray Love
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世界の名作グルメ映画10選

海外渡航が難しい今、脳内からグルメ旅に出よう

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テキスト:浅野陽子(フードライター)

緊急事態宣言が解除され、飲食店やカラオケ店も営業再開している。東京の街も自粛以前の姿を取り戻しつつあるが、元通りになるにはまだまだ遠いのが旅、特に海外旅行だろう。

もうすぐ夏休みも始まり、本来なら多くの人が毎年計画を立てている時期だった。どうもモヤモヤしてしまうが、ここは気持ちを切り替えて、脳内トリップに出てみてはいかがだろう。

今回紹介するのは世界の映画。しかも各地のグルメを脳内で楽しめる「観るとお腹が空いてくる世界の映画」だ。旅する場所はパリの三つ星レストランをはじめ、イタリア、アメリカ、アジア、キューバ、インドまで。おいしそうな世界の食を思いっきり目で堪能しながら、作品内で流れる悲喜こもごもの人間ドラマも楽しんでほしい。

体はずっと東京にいるままだが、2時間後、本当に旅に出て帰って来たかのように、妙に充実した気持ちになることができる。映画は不思議なエンターテインメントだと実感するだろう。

1. クレイジーリッチ(2018年)

タイトル通り、シンガポールの超リッチな不動産王一家の御曹司と、ニューヨーク在住の中国系キャリアウーマンとの結婚を、笑いあり涙ありのストーリーで描いた作品。

「ハリウッド映画ながらキャストは全員アジア人俳優」というユニークな点が注目され、さらにスピーディーな展開と見応えのある内容で世界的に大ヒットした。

単なるラブストーリーでなく、西洋社会で生きるアジア人の葛藤、貧富の差、現代におけるチャイナ・マネーの壮大な力など、深いテーマを扱っている。

シンガポールの屋台で飲み食いする風景や、御曹司ニックの生家、ヤン家の豪華なホームパーティーの料理、ヤン家秘伝の餃子を一家総出で手作りするシーンなど、おいしそうな場面が随所に出てくる。「クレイジーリッチ 餃子」と検索する人や、「映画館を出て餃子を食べに直行した」とSNSでつぶやく人も続出したほどで、まさに観ていてお腹が空いてくる映画だ。

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2. ピザ!(2014年)

インドのスラム街に住む幼い兄弟が、自分たちの街に突然やってきた最先端のピザ店に仰天。今まで見たこともない、チーズがとろけるおいしそうなピザをなんとか小遣いを貯めて食べようと奮闘するストーリー。

兄弟が暮らすのは貧しく衛生環境も良くないバラック小屋だ。そこでの生活や食事と、外国資本のキラキラしたピザ店との対比が観ていて切ない。が、少年たちが工夫を凝らして大人をやり込める様子など、物語の展開は爽快だ。

スカッとした気分になると同時に、普段ほとんど意識しない貧富の差や、おいしい食事がワンコインや1,000円以下で食べられる東京の食の豊かさに気付き、ハッとさせられる。 

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3. ジュリーアンドジュリア(2009年)

50年前に名もなき主婦から成功したアメリカ人の料理研究家と、現代のニューヨーク在住の料理ブロガーという二人の女性を巡る物語。

ブロガー女性がその料理家の著書のレシピを、不器用ながらも再現して次々とブログで発表していく。メニューのベースになっているのは、難易度の高い伝統的なフランス料理。彼女が苦労しながら再現する姿がコミカルかつほほ笑ましい。

そして会社員としてくすぶっていた毎日から脱却し、アクセスが上がって注目され、夢をかなえていくサクセスストーリーは痛快。

彼女の料理を試食した友人たちが、おいしそうに顔をほころばせるのを観て、毎回自分も食べている気分になるのが不思議だ。グルメ気分と生きる勇気、両方を堪能できる作品。 

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4. 食べて、祈って、恋をして(2010年)

離婚と失恋でボロボロになったニューヨーク在住のキャリアウーマンが、世界を放浪する旅に出て少しずつ自分を取り戻す物語。

あらすじだけならドラマでよくある凡庸な印象を受けるが、ジュリア・ロバーツ演じるヒロインや周りの登場人物たちが魅力的なのと、彼女が旅するイタリアやインド、インドネシアの風景がとても美しく、見応えがある。

また食事のシーン、特にイタリアで食べるパスタ、ピザ、ジェラートなど美食の数々が本当においしそう。まさに「観ていてお腹が空く映画」と呼べるだろう。海外に行きたくてウズウズしている旅好きは、まずはこの作品から脳内旅行をしてみては。

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5. シェフ 三ツ星フードトラック始めました(2014年)

ロサンゼルスの一流レストランのシェフが問題を起こしてクビになり、やむなくフードトラック(車での移動販売)を始める。そこで提供するサンドイッチが大評判となり、料理への情熱を取り戻し、家族の絆も深めていく話。

映画の冒頭、シェフがTwitterで有名料理ブロガーを中傷したことで炎上し、失職するのだが、その後シェフの息子が投稿するTwitterによってフードトラックが評判を呼んでいく。グルメ部分だけでなく、SNSの力や怖さも丁寧に描いていて面白い。

ちなみにここで言う「サンドイッチ」とは、日本人がイメージするものでなく、キューバンサンド(ピクルスやハム、チーズをパンで挟んで焼くキューバ式のホットサンド)だ。画面に何度も登場する、熱々のトーストにチーズがとろける様子が毎回とてもおいしそう。ビールやモヒートなど、南米の酒を飲みながら観たくなるだろう。

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6. シェフ!〜三ツ星レストランの舞台裏へようこそ(2012年)

フランスの名優、ジャン・レノ演じるパリの三つ星店の大御所シェフ(しかし今は落ち目)と、腕は抜群だが勤め先で毎回トラブルを起こし、クビになってばかりの若い料理人が、工夫を重ねて店や自分の家族関係を立て直すまでのストーリー。ケンカしながらもいつも最後は協力する、二人の掛け合いがユーモラスだ。

2012年の作品なので、三つ星でも最先端の料理とは言えないが、グランメゾン(最高級クラスのフレンチ)で提供される、おいしそうな美食メニューは観ていてうっとりする。

作品中に一部日本人を揶揄するようなシーンがあり、日本のメディアでは物議をかもしたことも。それでも、料理好きやフランス料理の世界を堪能したい人にはおすすめの作品だ。

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7. 大統領の料理人(2013年)

パリ市内にあるフランス大統領の官邸(執務を行う官舎)のエリゼ宮で、女性として史上初めて厨房を任された料理人のストーリーだ。

大統領に、豪華絢爛(けんらん)なフランス料理ではなく「祖母や母親が作ってくれたような、素朴な家庭料理を食べたい」とリクエストされた彼女が、大統領の体調に合わせた味付けやメニュー作り、素材選びに奔走する姿は料理好きなら観ていてとても楽しめる。

また古い男性社会の中で、高評価を受け突出するキャリア女性は、いつの時代もどの国でも辛酸を味わう。女性の立場から観ていると、男性シェフや大統領付きの官僚たちと衝突し、闘う主人公をつい応援してしまう。

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8. 恋するベーカリー(2009年)

メリル・ストリープ演じる人気ベーカリー店の女性オーナーが、人生後半を迎えての大人の恋愛や家族関係にユーモラスに葛藤する話。

原題は『it's Complicated』で、最後まで観終わると『恋する』と付くだけの日本語のタイトルは、いささかシンプル過ぎる印象だ。人間いくつになっても根本的にはさほど成長せず、若者と同じことに悩み、間違いもしてしまうものだと気付かされる。

舞台が「ニューヨークタイムズ紙で全米ナンバーワンと評価されたベーカリー」なので、サクサク、カリカリに焼き上がったパンやパイが登場するシーンがおいしそうで、観ていて食べたくなる。

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9. 二ツ星の料理人(2015年)

最高の腕を持っているが問題を起こして逃げ出したパリの二つ星シェフが、ロンドンで昔の仲間とまた出会い、再起をかけて三つ星獲得を目指す物語。

厨房のシーンが多く、画面に星付きフレンチの美食メニューが何度も登場する。ソースや食材などの盛り付けがすべて繊細で、魅力的だ。

話の展開や登場人物が、先日日本で放送され人気だった料理ドラマに酷似しており、観ていてちょっと気になるが、グルメ好きには楽しめる映画の一つだろう。

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10. 幸せのレシピ(2007年)

マンハッタンの高級レストランの女性シェフが、仕事だけに没頭していた日々から、突然幼い姪を引き取って母になることに。順調だった仕事にも横やりを入れる人物が現れ、激変する日常に奮闘する。

女性が30代以降、仕事とプライベートの両方が突如急展開し、立て直さざるを得ないことはよくあるが、その葛藤を丁寧に描いている。

レストランの厨房のシーンが多いため、どの料理もおいしそうでグルメ好きの女性はたっぷり楽しめるだろう。またタイトルの「レシピ」は料理だけでなく、「女性が幸せに生きるためのレシピ」という意味も含んでいる。

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フードライター。食限定の取材歴20年、「dancyu」「おとなの週末」「ELLE a table(現・ELLE gourmet)」「AERA」「日経MJ」「近代食堂」など食の専門誌を中心に、レストランや料理人への取材多数。テレビのグルメ番組への出演実績もある。「NIKKEI STYLE」(日本経済新聞社)の人気コーナー「話題のこの店この味」で毎月コラム連載中。

この夏は東京で思いっきり映画漬けに……

  • 映画

今観るべき映画といったわけでもなく、全くもって自由に、東京をテーマに10の映画を選ばせてもらった。とは言え、東京の括りでは膨大な数の作品が対象になるので、ここでは「東京で実際に撮影されていること」「比較的近年の作品」そして主に「海外の監督の作品」を中心に紹介する。

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  • ドキュメンタリー

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 新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大防止による緊急事態宣言を受け、渋谷と吉祥寺の都内2カ所と、京都にも映画館オープンさせる映画会社「アップリンク」は、オンライン映画館アップリンク・クラウド(UPLINK Cloud)にて、配給作品60本以上が見放題となるサービス(3カ月2,980円)を開始した。 ここでは、配信作品から10本をセレクトし、前編と後編に分けて紹介する。今もなお外出自粛の状況が続く中、自宅をはじめとした環境での鑑賞の一助となるだけでなく、街の映画館を失わないための一支援として、過去の作品を観ることで生まれる映画の「(再)発見の場」となれば幸いだ。 アップリンク クラウド公式サイトはこちら

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銭湯を舞台にした映画4選
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2020年は新しい10年が始まるだけではなく、多くの大作映画が公開される年でもある。昨年『スターウォーズ』のスカイウォーカー サーガは完結してしまったが、SFファンは物足りなさを感じることはないはず。 映画『ブレードランナー2049』を手がけたドゥニ・ヴィルヌーヴは、フランク・ハーバート原作で数々の監督が挑戦したSF小説のリブート『デューン 砂の惑星(第1部)』を発表、クリストファー・ノーランによるタイムトラベルを題材にした『TENET テネット』も公開予定だ。 そしてSFばかりではなく、誰もが大好きなイギリスのスパイ映画シリーズもカムバックする。ここでは、タイムアウトロンドンが発表した注目作品に、邦画も加えて紹介したい。 ポップコーンを食べながらリストをチェックしてみよう。 原文はこちら

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