渋谷駅のすぐ横、宮益方面の線路沿いに位置する、のんべい横丁。はじまりは1950(昭和25)年、東急本店通りにできたのが、国の区画整理で現在の場所に移転した。戦後すぐの屋台で人気だった焼き鳥や大きな具のおでんが食べられる名店が今もあり、昭和の時代を知る「おかあさん」 が現役として立つ店もある。3代にわたってなじみ客として足を運ぶ人も少なくない。一方で、本格ビストロやバーなど、時代を反映した店もあり、若い女性やクリエイター、業界人など幅広く客が訪れる。場所柄、外国人も多いが、多種多様な人々が肩を寄せ合い、垣根を越えて打ち解けられるのも、この横丁の良さだろう。
表通りから横へ入った町筋に小さな店が連なる横丁。ルーツを敗戦後の闇市マーケットにさかのぼるものもあれば、町おこしの一環などで比較的最近作られたテーマパーク的なところもあるが、いずれも安く飲み食いできて、人と人との距離が近く、気取らず楽しめるのが醍醐味。ひとつのエリアにさまざまな店が集まっているので、気分に合わせてはしご酒ができるのもいい。外国からの友人に日本文化を満喫してもらうのにも格好の場所だが、数人入ると満席になってしまう小さな店も多いので、少人数で行くことをおすすめする。新しいものが溢れる東京にあって、今も昭和の面影を残す横丁を紹介する。