吉祥寺駅北口の目と鼻の先にある横丁。縦に横に走る路地に小さな店が連なる様子がまるでハーモニカのようだと名付けられた。そのルーツは戦後の闇市までさかのぼるが、昭和の趣をそのままに60年ほどの歴史を持つ。
90年代後半より、ハモニカキッチンをはじめとしたモダンな店がオープンし、それまで横丁とは縁遠かった若い層が足を運ぶようになる。アパレルや雑貨店など昼間から空いている店も多く、特に週末には羊羹やとんかつ、たい焼きを求めてあちこちに行列ができる。
ほかにも、昭和22年創業の干物専門店のなぎさや、うなぎの蒲焼きの串の坊など、老舗のたたずまいは横丁には欠かせないもの。夜になるとさらににぎわいを増すが、どの店も間口がオープンでカウンターメインの店が多く、一人でも入りやすい。隣の人とはご近所感覚で誰彼ともなく会話が始まり、その昭和的な距離感がなんとも心地よい。個性的な店が100軒ほどもあるので、1品、1杯頼んだら次の店へ…と横丁巡りができるのも醍醐味だろう。