北京
Photograph: Angela Ostafichuk / Shutterstock.com
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世界で最も食事がおいしい都市ランキング トップ20

地元住民を巻き込み調査、世界の「食の都」をランキング化

Grace Beard
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タイムアウト東京 > トラベル >世界で最も食事がおいしい都市ランキング トップ20

街を知る近道は食だ。では、「食の都」を定義づけるものとは何だろう。それは、高評価のレビューやミシュランの星の数ではない。答えはもっと単純で、選択肢が豊富にあるということ、つまり質の高い食事が、どれも納得のいく価格で食べられるということだ。そこでタイムアウトのグローバルチームは、実際にその街に住んでいる人々数千人に、外食の充実度やコストパフォーマンスについて聞くことにした。

調査の内容は、訪れるべきレストラン、マストな料理、手頃価格のグルメといったもの。加えて、質と価格の両面から、自分の街のフードシーンを評価してもらった。こうして浮かび上がった候補の中からトップ20を決めるため、それぞれの国において、より最も評価の高い街を選んだ。さらに、タイムアウトのグローバルなネットワークを生かし、各地の編集者やライターからそれぞれの街の食の魅力について、地元ならではの情報を聞き出すとともに、最新のフードスポットを推薦してもらった。

タイムアウトは、何十年にもわたって世界中の優れた街を訪ね歩きながら、食の分野においても常に情報をアップデートし続けてきたエキスパートだという自負がある。その知見はタイムアウトマーケットという形で実を結び、最高のフードやドリンク、カルチャーが一体になったスペースを提供している。この度の調査では、この利点もフルに活用し、タイムアウトマーケットに出店するシェフたちにも、世界の食を牽引(けんいん)する街をそれぞれ3つ挙げてもらった。

こうしてできあがったリストは、世界中の食文化への賛美と言ってもいいだろう。高級レストランから手頃なストリートフードまで、ここには今飲食をすべき世界最高の都市が選ばれている。

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1. ナポリ(イタリア)

マストな料理「マルゲリータ・ピザ」

イタリアで食について話す時に外せないのがナポリだが、ナポリで食について話す時に外せないのはピザだろう。安くてサッと食べられるピザは、19世紀に労働者階級のたの食べ物として登場した。「ピザ通り」の異名を取るトリブナーリ通りにある昔ながらのピザ屋は、今もなおナポリっ子たちの旺盛な食欲に応えている。

物価上昇の波はナポリにも押し寄せているが、ピザは安価なスナックであることに変わりはなく、一切れ1ユーロから手に入る、ナポリが誇る安くて最高の食べ物なのだ。それを裏付けるかのように、ナポリは今回の調査で最もリーズナブルな街にランクインした。

今訪れるべき理由

「ナポリ料理の魅力は、多様性、シンプルさ、そして陸と海の食材に歴史が融合していることです」と語るのはナポリ在住ライターのガブリエラ・プロイエッティ(Gabriela Proietti)だ。「食文化の豊かさは街の至るところで感じることができます。例えば、パスタ・アッラ・ジェノベーゼ、ラグー・ナポレターノ(ナポリ風ミートソース)といった料理に。あるいは、朝に食べるリコッタチーズを詰めたスフォリアテッラ、ラム酒風味のシロップに浸したババといった焼き菓子の中うっとりするような甘さに。16世紀から続くピニャセッカ市場の散策でも、感じることでしょう。

活気あるスペイン地区はここのところ食分野で急成長していますが、よくあるオープンテラス付きのレストランで満足するのはもったいない。マルゲリータ・ピザを食べるなら、ナポリの宝であるピザ、サッカー、ディエゴ・マラドーナ(セリエAのナポリに在籍し黄金時代を築いた)を愛するオーナーによる『Pizzeria Santa Maradona』がおすすめですよ。ナポリ伝統料理にクリエイティブなひねりを加えた『Cu.Qu. / cucinadiquartiere』も、ぜひ訪れてほしいレストランです」

2. ヨハネスブルグ(南アフリカ共和国)

マストな料理「コータ・サンドイッチ」

南アフリカ共和国の都市で、食分野で国際的に注目を集める都市といえば、まずはケープタウンだろう(2023年11月、この地にタイムアウトマーケットがオープンしたこともその証と言えよう)。だが、有力なライバルがいる。国内最大の都市であるヨハネスブルグだ。コーヒー産地として知られるエチオピア風のカフェから、ナイジェリアをはじめとする西アフリカ料理のレストランまで、ここではアフリカ各地の食文化を楽しむことができる。

しかし、今回調査に協力してくれた地元の人々の多くが推薦したのは、南アフリカのローカルフードだ。反アパルトヘイト闘争の歴史を持つ町ソウェトが発祥の「コータ・サンドイッチ」や、インド系住民にルーツがあると言われるカレー料理「バニー・チャウ」、ウシやヒツジのモツを煮込んだ「マラ・モゴドゥ」などである。

今訪れるべき理由

「ヨハネスブルグを南アフリカの魂とするなら、ブラームフォンテーン地区はその鼓動に相当します。街の中心を占めるこの地区には、食事をしたり、行き交う人を眺めたり、踊ったりするのに良いスポットがいくつもあり、食と文化が融合した革新的なスペースもできてきています」と、ヨハネスブルグのフードライターであるサンド・モレケティ=ウィリアムス(Thando Moleketi-Williams)は言う。

「デビアス通りの『Mamakashaka and Friends』では、週末にワインとヒップホップ、カクテルと音楽、月例の読書会、フード食とのコラボレーション企画などのイベントが楽しめます。数ブロック先のリザーブ通りのギャラリー・レストラン『Artivist』では、受賞歴のあるシェフのカトレゴ・ムランボによる日曜限定のブランチ企画が最近始まったところです。あとは、バー兼ライブハウスの『Untitled Basement』も必見です」

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3. リマ(ペルー)

マストな料理「セビーチェ」

リマはペルー国内ばかりでなく、南アメリカ全体の食の都である。2023年版「世界のベストレストラン50」で首位を射止めたのはこの街にある「Central」だが、このレストランが提供するコース料理の味わいには、街のあちこちで出合うことができる(しかも格安で)。

ローカルの酒であるピスコにライムジュースや卵白を合わせ甘く味付けしたピスコサワーや、柑橘類の爽やかな風味の魚介マリネ、セビーチェ、牛肉と野菜の炒め物、ロモ・サルタードなどは、調査に協力してくれた人の誰もが太鼓判を押す有名料理だが、値頃感という意味では、「アロス・コン・ポーヨ」、つまりペルー風鶏の炊き込みご飯が票を集めた。

今訪れるべき理由

ライターでリマの食に精通するステフ・ダイソン(Steph Dyson)は次のように語る。「食分野で急速に存在感を示し始めたリマが、その地位を確たるものにしたのは、やはり『Central』が世界のベストレストランの1位に選ばれたことによると思います。それにより、ペルーの食文化に注目が集まりました。

ペルーに古くから伝わる穀類が、ペルー海流の豊富な水産資源に出合い、さらに中国系や日系の移民コミュニティの食文化からの影響を受けたのが、ペルー料理と言えます。アジア料理からの影響が生み出したのが、リマを代表する料理であるセビーチェです。5つ星レストランから港近くの市場に至るまで、あらゆる種類のレストランがこの料理を提供していますが、私のおすすめは気取らない『Punto Azul』です。

リマの食フードシーンは進化を続けています。ベネズエラとペルーのフュージョン料理で高い評価を得ているレストラン『Mérito』も訪れる価値があるでしょう。アンデスのイモ類と、ベネズエラのトウモロコシパン、アレパのマッチングは最高ですよ」

4. ホーチミン(ベトナム)

マストな料理「ホーチミン風フォー」

甘い、辛い、香り高い、魚介系など、さまざまな言葉で味の特徴を表現できるが、いずれにせよ期待を裏切らずおいしいのがベトナム料理だ。そのベトナム料理を味わうのにどこよりもふさわしい街は、ホーチミンをおいてほかにない。

ホーチミンには、植民地時代にフランスからの影響を受けて発祥したサンドイッチのバインミー、タニシ料理、肉と米の定食(コムタム)、モツ煮込みといった料理を提供する屋台や市場がある一方で、伝統料理にひねりをきかせた、ミシュランの星付きやビブグルマンに選ばれたレストランも存在する。

だが、今回の調査で最も多くの人に言及されたのは、フォーだった。ホーチミンの属する南部では、バジルやパクチー、唐辛子、ニョクマムなどをふんだんに使うのが特徴。ベトナム料理の定番で、街の至るところで食べることができる。

今訪れるべき理由

ホーチミン在住ライターのダン・Q・ダオ(Dan Q Dao)は「ベトナム料理発祥の地といえば北部のハノイですが、現在、活気あふれるフードスポットとして注目を集めているのがホーチミンです」と言う。 「街の中心である1区には『Ănăn Saigon』があります。シェフのピーター・クオン・フランクリン(Peter Cuong Franklin)が率いる同店は、新感覚のベトナム料理によって、2023年初刊行のベトナム版ミシュランガイドにおいて、ホーチミンで唯一、の星を獲得しました。そこから徒歩圏内の『Bánh Mì Huỳnh Hoa』は、バインミーの専門店として、30年の歴史を刻む老舗です。

川を渡った2区では、いまモダンなレストランが次々と開店しています。コンセプチュアルな料理を提供する『Tre Dining』や料理にこだわったワインバーの『Little Bear』は、西洋のテクニックを通してベトナム料理の食材や味を新たに解釈している点で、際立った存在です」

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5. 北京(中国)

マストな料理「北京ダック」

肉食の街、北京。地元の人に、北京を訪れたら何を食べるべきかを聞いたところ、多くの人が肉料理を挙げた。宮保鶏丁(鶏とピーナツの炒めもの)、涮羊肉(羊のしゃぶしゃぶ)、そしてもちろん北京ダックが、回答の多くを占めた。だが、ベジタリアンも心配はいらない。肉を含まない炒めもの、蒸しもの、スパイス料理、餃子などの選択肢も、中国の首都たるこの街には豊富に存在する。

北京には食通好みの高級レストランも数多いが、スナックを売る店が連なる通りや夜市もあり、手軽に食事を済ませることもできる。ビール片手に、薄皮で具材を包んだ「中国版クレープ」の煎餅(ジェンビン)にかぶりつけば、満足するに違いない。

今訪れるべき理由

タイムアウト北京のウェンディ・シュー(Wendy Xu)に、北京のフードシーンについて尋ねた。「北京料理に欠かせない料理といえばやはり北京ダック。私の定番スポットは『四季民福(Siji Minfu)』です。予約をしていても1時間以上待つことも珍しくありませんが、皮がパリパリの絶妙な焼き加減には、並ぶだけの価値があります。もう少し贅沢をしたい時は、『曲廊院(Qu Lang Yuan)』へ。新鮮な地元産食材を使用したフレンチと中華のフュージョンが食べられます。

よりディープなローカルフード体験を求めるなら『裕德孚(Yudefu)』の涮羊肉がおすすめです。目先を変えたければ、太陽の光が心地よく降り注ぐ店内でブランチを食べられる『Puzzles』や、ギロスやフムスなどの間違いなくおいしいギリシャ料理を提供する『Greek Freak』を訪れてみては」

6. バンコク(タイ)

マストな料理「ソムタム」

世界でも屈指のストリートフード・シティであるバンコクが、外食の価格の安さで3位につけたのは驚くには当たらない。道端でジュージューと音を立てて焼き上がる肉や、水上マーケットのボートの上で作られる料理は、街のエネルギー源と言える。

そのバンコクの住民が、この街に来たら欠かせない料理として挙げたのは「ソムタム」だ。ほんのり甘い青パパイヤを使ったスパイシーなサラダで、街角の屋台やリヤカーでも見かける。だが、この街の魅力は簡素な食堂や市場だけにはとどまらず、食通をうならせるレストランもひしめいている。ミシュランの星を獲得したレストランは34軒で、最新の「アジアのベスト50レストラン」でも多数の店がランクインしている。

今訪れるべき理由

「バンコクが世界に名だたる食の都の一つとして選ばれたのは、意外なことではありません」そう語るのは、タイムアウトバンコクのエディターであるトップ・コアイソンブーン(Top Koaysomboon)だ。「ストリートフードはバンコクのフードシーンの核で、今、さらに活気づいています。以前からのグルメ通りであるヤワラー通りに、人気上昇中のバンタッドトーン地区が肩を並べつつあります。

ファインダイニングの分野では、ミシュランの星を獲得する店やベスト50にランク入りする店の数がかつてなく増えています。『Baan Tepa』のタム・チュダリー・デバカム(Tam Chudaree Debhakam)や、『Potong』のパム・ピチャヤ・スントゥルニャキージ(Pam Pichaya Soontornyanakij)、『Gaa』のガリマ・アローラ(Garima Arora)といった女性シェフに注目が集まっているのは、妥当なことと言えるでしょう。

そしてバンコクへの旅で決して欠かすことができないのは、『Jay Fai’s』です。長い行列に並ぶことになりますが、絶対に行くべきです」

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7. クアラルンプール(マレーシア)

マストな料理「ナシレマ 」

マレーシアの首都クアラルンプールは巨大な「食のるつぼ」といえ、マレー系、中華系、インド系の文化や数世紀にわたる移民の歴史の影響を受けている。そんなクアラルンプールでマストな料理に選ばれたのは、ココナツミルクで炊いた米に、揚げた小魚、キュウリ、ゆで卵が添えられた香り豊かな料理であるナシレマだ。それ以外にも、タイの伝統料理だがマレーシアでも広く食べられるトムヤムや、サクサクした食感の平たい鉄板焼きのパンであるロティ・チャナイも候補に挙げられた。

今訪れるべき理由

クアラルンプール在住ライターのウン・スー・アン(Ng Su Ann)は、「アジア全体の中で見てもクアラルンプールで食べられる料理は人気があり、街の存在感は増しています」と話す。

「この街を訪れたなら、ぜひゆっくりと時間を確保して、コーヒーや朝食を提供するコピティアムや、インド系イスラム教徒が営む食堂であるママック、活気あふれるナイトマーケットや、呼び声もにぎやかな露天を訪れてみてください。世界的にも広く知られている麺料理のラクサやロティ・チャナイ、ナシレマクといったストリートフードが食べられます。

現在、街のフードシーンはかつてなく多様になっており、カフェから高級レストラン、食事も提供する小規模なナイトクラブから高層ビル群を見下ろすバーまで、予約して訪れる価値のある店が次々とオープンしています。

おすすめは、発酵食とピクルスが人気の「Pickle Dining」、マレー諸島全域の料理にインスパイアされた「Kai」です。友人が来たときに連れて行くのは、バンサー地区の「APW」内にある「103 COFFEE」。ここのコーヒーはこの街で一番かもしれません。それから「Olivia Deli」では、タパスやサングリア、自然発酵生地を使った釜焼ピザ、ナチュラルワインなどが楽しめます」

8. ムンバイ(インド)

マストな料理「ワダ・パーヴ」

調査対象の全都市の中で、クオリティーの面で最も高い評価を得たムンバイ。ムンバイっ子が自分の街の食文化に誇りを持つのも当然である。この街がいかに魅力的な食に満ちているかを示すのが、彼らが好む料理の数々だ。すなわち、激辛のマンチュリアン(中華料理をもとにインドで考案された、粗くカットした野菜や肉を炒めてあんかけにした料理)、クリーミーなバターチキンカレー、そしてストリートフードの代表であるワダ・パーヴといったもの。

ワダ・パーヴは、スパイシーに味付けしたマッシュドポテトを油で揚げ、バンズに挟んだもので、赤や緑のチャツネを添えて提供されるこのスナックが、マストな料理として選ばれた。

今訪れるべき理由

「インド全国土や世界の食材や味覚を取り入れたムンバイのフードシーンは、街の多様性を映し出しています」と語るのは、ムンバイ在住ライターのクナル・バーティア(Kunal Bhatia)。「この街に住む人の誰もが、軽食の屋台から眺めの良いルーフトップまで、自分のお気に入りの店をもっています。

活気に満ちたバンドラやローワーパレルといったエリアには次々と新しい店がオープンしていますが、私が好きなのは、自分のホームエリアであるヴェルソワです。ムンバイから南へ600キロメートルほどの都市、ゴアの料理を提供する『Sorozai』は素晴らしいニューカマーですが、ずっと以前からある『Tanjore Tiffin Room』にも、同じくらい心を引かれます。同店の16品から成るワンプレートセットは、いつ食べても満足感があります」

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9. ドバイ(アラブ首長国連邦)

マストな料理「マンディー」

海に浮かぶ人工島群や目まいを引き起こすほど高い摩天楼に象徴されるドバイが、革新を恐れない都市であることは誰にとっても疑いのない事実だ。こうした傾向は近年フードシーンにも広がっており、新たなトレンドが生まれるとともに、賞を獲得する地元のシェフがあちこちに登場している。

世界最大の外国人コミュニティを持つドバイは、各国の才能ある料理人たちの注目の的で、この街に惹きつけられた世界屈指のシェフたちが腕を振るうレストランは、世界トップレベルの店となっている。そのためドバイでは世界のあらゆる地域の食べ物を食べられるといっても過言ではない。

だが、街の人々が必食の一品に挙げたのは、中東の伝統的な料理である「マンディー」。チキンなどの肉を地下に掘った炭火オーブンでじっくり蒸し焼きにに、ライスに載せた、絶品料理だ。

今訪れるべき理由

タイムアウトドバイのフード担当エディター、ユースラ・ザキ(Yousra Zaki)は次のように語った。「私はドバイで育ったので、この30年間にこの街のフードシーンが劇的に変わってきたのを目の当たりにしてきました。

今、ドバイの食は、かつてなく多様でクリエーティブになっており、あらゆる既成概念を打ち破るような、シェフ主導の食体験が広がりを見みせつつあります。例えば『Moonrise』では、12品のおまかせコースでオリジナリティーあふれる新しいドバイ料理を提案していますが、例えばそのうちの一品はイタリアのアルフレードパスタにインスパイア源されたものです。

別の例として、タイムアウトドバイが選ぶ2024年のベストアジアンレストランとなった『Jun’s』があります。中華料理、インド料理、北アメリカ料理の影響を受けた新世代のレストランですが、この店のアプローチはドバイの多文化的な環境をまさに反映したものと言えるでしょう。

シェフとレストランオーナーが協力しあい、店舗間の健全な競争性と興味深いコラボレーションがうまく溶け合っている現在のドバイの状況は、活力に満ちています。次の5年間に何が起こるのか、楽しみで仕方ありません」

10. ポートランド(アメリカ)

マストな料理「ピザ」

オレゴン州のポートランドは、ボストンのクラムチャウダー、ニューオリンズのガンボのような「これぞ」という名物料理ではなく、むしろフードシーン全体で知られている。リラックスしたムードが漂うこの街は、アメリカの中でも飲食分野が盛んな都市の一つと見なされてきた。

ここでおいしい食事に出合える場所は、レストランだけではない。屋台やファーマーズ・マーケット、ブルワリーもまた、見逃せないフードスポットとなっている。街の住人がこぞって名前を挙げる『Gado Gado』のような定評のある店も存在する一方で、大多数の人がポートランドで最も安くておいしい食べ物として挙げたのはピザだ。中でも、タコスの主な具材をトッピングした「メキシカンピザ」が票を集めた。

今訪れるべき理由

「ポートランドは、コメディドラマ『ポートランディア』や『ブードゥー・ドーナツ』のピーナツバター・ベーコン・ドーナッツに象徴されるような、ひと昔前に抱かれがちだった『ヒップな街』というイメージから脱却しました」とは、ポートランドのライター、アリス・ウルフ(Alice Wolfe)の言葉だ。

「この街の良いところは、おいしい食事が必ずしも高いわけではないことです。もちろん、洗練された高級レストランで食事がしたい場合にも、その選択肢に事欠くことはありません。そういうシーンでは、ハイチ料理の『Kann』や韓国料理の『Han Oak』が良いでしょう。でも、ポートランドの食文化を際立ったものにしているのは、この街の住民にとって昔から変わらず重要な譲ることのできない『手頃さ』です。

例えば2023年にオープンした『Ki’ikibáa』は、ユカタン半島の料理をリーズナブルな価格で提供する店で、ここで食べられるパヌーチョ(豆を挟んで揚げたトルティーヤにさまざまな具材をトッピングした料理)は私のお気に入りです。街の南東にあるベルモントエリアの『Annam VL』はベトナム料理店で、も同じく2023年にオープン。曜日替わりのメニューを1人あたり20ドル以下で提供しています」

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11. リバプール(イギリス)

マストな料理「スカウス」

ロンドンに迫る勢いを見せるリバプール。タイムアウトが2024年に公開した「ベストシティ50」では7位に選ばれた。そしてこの度の調査では、外食を楽しむのに最高のイギリスの都市として、リバプールを選んでも差し支えないだろうとの判断に至った。

大流行のストリートフード店からコンテンポラリーな小皿料理のレストランまで揃うこの街に暮らす人々が、自分たちのフードシーンを称賛するのに不思議はない。では必食の料理は? それは肉がたっぷりと入った煮込み、「スカウス」だ。リバプール住民に「スカウサー」というあだ名までつくほど、地元で愛されている料理である。

今訪れるべき理由

リバプールに拠点を置くライターのアリス・ポーター(Alice Porter)は、「リバプールはおそらく食べ物以上にナイトライフで有名ですが、新進気鋭の料理界のベンチャーによって、食の分野で新たな名声を獲得してきました」と言う。

「これは、地元出身の才能ある料理人によるところが大きいと思います。ミシュランに掲載された『Manifest』を2022年にオープンさせたポール・デュランド(Paul Durand)や、小皿料理店の『Belzan』、メキシコ料理店『Madre』のオーナーであるサム・グレインガー(Sam Grainger)がその一例です」

12. メデジン(コロンビア)

マストな料理「バンデハ・パイサ」

熱々でチーズたっぷりのアレパ(トウモロコシパン)にかぶりつくにせよ、トウモロコシなどの野菜や肉の煮込みであるサンコチョ(トウモロコシ、野菜、肉で作るシチュー)をすするにせよ、メデジンで食事をすると、シンプルな調理と味付けという点において、学ばされることが多い。例えば「バンデハ・パイサ」。住民一押しのこの料理は、地元食材の定番である米、赤インゲン豆や黒豆、アボカド、揚げた豚の皮、アレパ、調理用バナナ、チョリソーなどを使った炒めもの。

また、メデジンには影響力のあるシェフがおり、『Carmen』や『El Cielo』といったレストランの存在が、高級料理の分野においても、この街の存在感を確かなものにしている。

今訪れるべき理由

「メデジンは、どんな予算でも食べる喜びを堪能できる街です」と、この街に住むライターのマギー・クラーク(Maggie Clark)は説明する。

「バックパッカーなら、『Central Mayorista』(中央卸売市場)へ行き、果物を買えばでぜいたくをするのも良い。素晴らしい眺めを楽しみながら、外国風にアレンジされたローカルフードを楽しみたいなら、地中海の要素を取り入れた『Cannario Rooftop』が良いでしょう。最先端のメデジンを贅沢に楽しみたければ、数カ月前にオープンしたばかりの『Mal de Oj』へ。魅力あふれるナイトライフの雰囲気とそれに合ったフュージョン料理が味わえます。

カスエラ(ポトフに似た鍋料理)、サンコチョ、バンデハ・パイサといった必食の定番料理はどのエリアでも見つけられますが、ちょっと格上の体験がしたければ、『Alambique』や『El Cielo』に行ってみてください。 『Alambique』は定番にひねりを加えた値頃感のある店で、『El Cielo』は最高峰のモダンレストランです。

アマゾンの食を体験したい人は『La Chagra』を訪れましょう。それから、サトウキビから作られる蒸留酒のアグアルディエンテを飲むのも忘れずに。メキシコの酒と言えばメスカルですが、コロンビアの酒と言えばアグアルディエンテ。特に『Antioqueño』という銘柄がおすすめです」

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13. セビリア(スペイン)

マストな料理「セラニート」

スペイン・アンダルシア地方の中心都市、セビリアには、3000軒を超えるバルがある。これらのバルをハシゴして1軒で1皿ずつ小皿料理のタパスを楽しんで回るのが、この地方の食を知るのに最適な方法だ。

地元の食べ物として知られているものに、ハモン・イベリコ(イベリコ豚の生ハム)や、豚肉を酒でマリネしたソロミージョ・アル・ウイスキー、冷製トマトスープのサルモレホなどがある。だが、今回の調査で地元の人々がマストな食べ物に挙げたのは、豚肉、ハモン・セラーノ(スペイン産生ハム)、ピーマン、トマトの入ったシンプルなサンドイッチ、「セラニート」だった。セビリアで最も愛されていて、最も手軽な食べ物だ。

今訪れるべき理由

セビリア在住のライター、アンナ・カミンスキ(Anna Kaminski)によれば、セビリアは近年、スペイン国内でもフードシーンが活発な地域の一つとして注目されてきたそうだ。

「セビリアの中でも独特な雰囲気を持つ下町、トリアナ地区の路地を歩き回るのが大好きです。ここの市場で新鮮な食材を探したり、『Bodeguita el 24』や『Bar Casa Ruperto』といった昔ながらのタパスバルがまだ健在であるのを見たりするとうれしくなります。

街の中心部では、最近見つけた『Manzil』が気に入っています。グラナダ出身の花形シェフ、フアン・アンドレス・モリージャ(Juan Andres Morilla)が2023年にオープンした同店は、まだ歴史は浅いですが、豊かなイマジネーションのもと、オープンキッチンで作られるアンダルシア料理が評価され、すでにミシュランの星を獲得しています」

14. ポルト(ポルトガル)

マストな料理「フランセジーニャ」

さまざまな文脈で評価されてきたポルトガルの都市と言えばリスボンだが、その独走に「待った」がかかっている。漁業の盛んな第2の都市ポルトが、食の分野でトップに躍り出たのだ。

名物は、シーフード、ドウロ渓谷産のポートワイン、そしてボリューム満点のB級グルメ「フランセジーニャ」だ。これはフランスのクロックムッシもとに着想を得て作られたサンドイッチで、分厚い食パンの間に、ポルトガル風ソーセージ、ハム、ローストビーフやステーキを挟んだ上にチーズを載せ、さらにトマトとビールをベースにしたソースをたっぷり掛け、目玉焼きを添えて提供される。ポルトを訪れたならば食べないわけにはいかない一品で、『Brasão Cervejaria』のものが最高だ。

今訪れるべき理由

「ポルトのフードシーンには、2つの側面があります」。そう語るのは、タイムアウトポルトのエディター、モライス・ピンヘイロ(Morais Pinheiro)。「一方には、昔ながらのやり方で料理を作る食堂やレストランがあり、もう一方には、若手シェフが主導するアバンギャルドな店があります。

慣れ親しんだ昔ながらの料理が食べたい時には、『Cervejaria Gazela』へホットドッグを、『Casa dos Presuntos ’Xico’』へサンドイッチを、『Cozinha da Amélia』へ伝統料理を食べに行きます。ファインダイニングならば、例えば『Euskalduna』『The Yeatman』『Casa de Chá da Boa Nova』が素晴らしいですね。

でも、全部を満喫する時間がないのであれば、一つ屋根の下に街の魅力を凝縮した場所へ行くのがベストでしょう。つまり、オープンしたてのタイムアウトマーケットポルトのことです。そこでは、ミシュランの星を獲得したシェフたちが、地元でよく知られたレストランの料理人たちと肩を並べて作る料理を食べられます」

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15. マラケシュ(モロッコ)

マストな料理「タジン」

マラケシュで食事をすることは、五感で楽しむご褒美のようなものだ。マグレブ地域産の甘いミントティーを高い位置からグラスに注いでくれる、ウェイターの姿を見るのも楽しいカフェ。搾りたてのオレンジジュースや串焼きを競い合うように売る露天が並ぶ、にぎやかなジャマ・エル・フナ広場。路地で売られている羊の丸焼き。豪華な建物の中庭で食べる、風味豊かな鍋料理のタジン。そして近年では、若い世代の革新的なモロッコ人シェフや、寿司からビーガン料理まで多種多様な各国料理のレストランも現れている。言うまでもなく、この北アフリカの食の都を訪れるなら、今が旬だ。

今訪れるべき理由

「マラケシュのフードシーンは、タジンに代表される素朴なモロッコ料理から、より国際的な美食へと拡張を遂げてきました。例えば、360度を見渡せるルーフトップで日本食を提供する『Nobu』や、オーストリア人オーナーが新鮮なシドニーの雰囲気やクリエイティビティを持ち込み、この街に新風を吹き込んた『Plus61』などが好例です」と語るのは、マラケシュ在住のライター、サリー・カービー(Sally Kirby)だ。

「2023年には 、ミシュランの星を保持しているシェフのロヒット・ガイによるインド料理店『Rivaya』がオープンしました。斬新なメニューを、歴史的で豪華な美しい館という舞台で食するのは、魅惑的な体験になることでしょう。

一方で、旧市街の『Le Trou au Mur』では、モロッコ料理の中でも忘却されてしまいかねないもの、例えばラクダの肉を壺で蒸し焼きにしたタンジーア、細切りにしたパンケーキの上に鶏肉やレンズ豆の煮込みを載せたトリーデなどが、現代に伝えられています」

16. リヨン(フランス)

マストな料理「ソーシソン・ブリオッシュ」

伝説的シェフのポール・ボキューズの故郷で、ジューシーなブランド鶏のブレス鶏の産地、そして18世紀以降に「リヨンの母たち(Les Mères Lyonnaises)」として腕を振るった女性料理人たちの活躍の舞台。それがリヨンという街であり、フランス随一の「美食の街」と呼ばれていることにも何ら不思議はない。

ソーセージが特産のこの街で、住民が必食の一品として指名したのは「ソーシオン・ブリオッシュ」、つまりピスタチオ入りソーセージのパンだ。では、もっと手軽なリヨン発のスナックはと言うと、トルティーヤにフライドポテトとチーズ、肉を詰めたリヨン風タコスがある。

今訪れるべき理由

「リヨンが美食の街であるという評価は揺るぎないものです。でも、その理由は皆さんがイメージしているのと少し違うかもしれません」と、リヨン在住のライター、アンナ・リシャール(Anna Richards)は分析する。「時代遅れになったのは、旧市街に山ほどある、リヨン伝統のビストロ(ブション)をうたう、肉料理一辺倒のツーリスト・トラップ。それに代わって、先駆的な若いシェフによるフュージョン料理やベジタリアン料理のレストランが台頭しています。

私が特に気に入っているのは、6区にあるフレンチとレバノン料理のフュージョン『Ayla』と、クロワルース地区のフレンチとメキシコ料理のフュージョン『Alebrije』です。ファインダイニングの分野でも変化が起きています。ミシュランの星付きが18軒と、いうリヨンへの評価は相変わらず高いとはいえ、私なら、ブレス鶏を何度も食べるよりも、「Jérémy Galvan」で五感を楽しませてくれる食体験をする方を、間違いなく選ぶでしょうね」

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17. シドニー(オーストラリア)

マストな料理「オーストラリア風ステーキ」

シドニーは間違いなく、世界でも有数のおいしいブランチが食べられる街だ。世界的に朝食ブームが訪れるよりも早く、90年代にアボカドトーストが生まれたのはこの街だし、エスプレッソにミルクをたっぷり注いだフラットホワイトが生まれたのも、一説によればシドニーだ(ニュージーランドには別の言い分があるかもしれないが)。

だが、「イートストリート」として知られる安価な食堂群から世界レベルの高級レストランまで、シドニーのフードシーンはアボカドトーストの遥か先へ行っている。シドニーで食べるべき料理として住民から名前が挙がったのは、Tボーンステーキからシドニーロックオイスター、寿司、タイ風焼きそばパッタイまで多種多様で、この街のフードシーンの懐の深さを物語っている。最近発表された「世界のベストステーキ」ランキングが信頼に足るものなら、シドニーはステーキでも世界屈指の街として名乗りを上げられるだろう。

今訪れるべき理由

「輝く金色に輝く砂の美しいビーチや純白のオペラハウスで知られるシドニーですが、多文化的な食こそ、私がこの街に夢中になった理由です」と言うのは、タイムアウトシドニーのフード&ドリンクを担当するライターのアヴリル・トレジャー(Avril Treasure)だ。

「太平洋のような深みのある激辛カレーが食べたいなら『Little India』に直行しましょう。タイ料理なら『Porkfat』がおすすめです。ボンダイ・ビーチを眺めながらゆっくりとランチを楽しみたければ『Sean’s』が完璧ですし、上質な食事を楽しみたいのなら、湾を臨む『Quay』が間違いない選択肢でしょう。シーフードは『Josh Niland』で。

人は、まずは外から見た美しさでシドニーに恋するかもしれませんが、多面的で、楽しく、おいしい食べ物に魅了されて、リピーターになってしまうに違いありません」

18. モントリオール(カナダ)

マストな料理「プーティン」

カナダ・ケベック州のモントリオールで有名な食べ物は、フライドポテトにソースとチーズカードをかけた「プーティン」や、ベーグル、スモークミートといったところだ。ジャンタロン市場で売られているガレットから、マカロンやペーストリーが積み上げられたパティスリーまで、この街の食文化には、至るところに旧宗主国であるフランスからの影響が見いだせる。

だが一方で、モントリオールは北米大陸で指折りのレストラン密集都市であり、さらに住民の4人に1人はカナダ国外からやって来た人たちだ。そのため、世界各国の料理が食べられるのもこの街の特徴で、文化の混交がフードシーンにも明白な特徴を与えている。

今訪れるべき理由

タイムアウトカナダのエディター、ローラ・オズボーン(Laura Osborne)は次のように語る。「2024年版の『注目すべき新規オープンのレストラン』で世界ベスト50にカナダから唯一選ばれた店がモントリオールにあること、人手不足やコスト増に直面しながらも老舗レストランが食のレベルを上げていることを踏まえると、今この街に来て心ゆくまで食を堪能するのは正しい選択と言えるのではないでしょうか。

そして、モントリオール史上でも屈指のラグジュアリーレストラン『Le 9e』のオープニングに、デレク・ダマン(Derek Dammann)とリアム・ホプキンス(Liam Hopkins)という意欲に満ちた2人のシェフが携わっている今が、まさにこの街の旬と言えます」

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19. 大阪

マストな料理「たこ焼き」

日本から選ばれたのは、食い倒れの街、大阪だ。回転寿司から黒門市場での買い食いまでが楽しめるこの街を訪れる人には、空腹でやって来ることを勧めたい。必食の食べ物として挙げられたのは、やはりたこ焼きやお好み焼き。満腹まで食べたとしても、財布が痛まないのもこの街の魅力で、今回の調査では全都市中2番目に安く食事ができる街であることがわかった。

今訪れるべき理由

「たこ焼きやお好み焼きに代表されるように、大阪では小腹を満たすスナックに事欠きません。でも、この日本第二の都市は食のあらゆる分野において大きな存在感を持っており、ロンドンやニューヨークよりもミシュランの星の数は多いのです」そう語るのは、ライターで大阪に精通するトーマス・オマリー(Thomas O’Malley)。

「大阪の食文化を牽引(けんいん)する料理人には、22年間の修行の末に、女性スタッフのみの『西天満 中村』をオープンした中村明美や、柔軟な感性でフレンチと和食に大阪の文化を織り交ぜる、ミシュラン2つ星レストラン『ラ・シーム(La Cime)』の高田裕介らがいます」

20. コペンハーゲン(デンマーク)

マストな料理「スモーブロー」

コペンハーゲンでは、主にファインダイニング分野がフードシーンの中心だ。同市が主要都市の一つとなっている新北欧料理において鍵を握るのはサステナビリティであり、この街で最高峰のレストランはどこも、今が旬の地元の食材を使うということに、執拗なまでにこだわっている。新北欧料理の先駆けとして世界のレストランへ影響を与えてきた「Noma」は残念ながら間もなく閉店するが、その精神を受け継いだ新たな店が続々とオープンしている。

ところで、今回の調査では、街の人々のソウルフードは「スモーブロー」と呼ばれるオープンサンドだということが明らかになった。デンマークではランチの定番であり、北欧の食の簡素さが現れている。バンズは酸味のあるライ麦パンで、燻製(くんせい)の魚やニシンのオイル漬け、卵、肉などいろいろな具材を載せる。街のあちこちでランチメニューとして提供されているが、ワンランク上のバージョンは、ビブグルマンに選ばれた「Selma」で食べられる。

今訪れるべき理由

「コペンハーゲンは料理人の遊び心を刺激する街です。街角のパン屋やアイスクリーム屋さえ、新しいことを試みる心意気があります」というのが、コペンハーゲンのライター、ローラ・ホール(Laura Hall)の意見だ。

「この街が高級レストランの選択肢の豊富さという点で称賛を受けているのは、妥当なことだと思います。2024年の『Alchemist』と『エル・ブリ』とのコラボレーションでは、協働がどれほど素晴らしいものになりえるかを再確認しました。

一方で、もっと手の届きやすい価格帯で、くつろいだ雰囲気の中、独創的な料理を提供するレストランも増えつつあります。例えば、イタリアン・トラットリアの『Paesano』、アジア系レストランの『Goldfinch』、ビーガン向けの『Ark』『Baka d’Busk』など。コペンハーゲンという街は、活気に満ち、躍動的で、常に変化し続けています」

Chef's Pics

1. ロサンゼルス(アメリカ)

タイムアウトマーケットボストン内の「Ms. Clucks Deluxe」シェフ、ティム・カシュマン(Tim Cushman)によるチョイス 「ロサンゼルスやその近隣地域は、味わい深いエリアです。食のバラエティーが豊かなので、いつ訪れても探索のしがいがあります。家族経営の昔ながらのレストランもあれば、新進気鋭のシェフやレストランオーナーによる、伝統に興味深いアレンジを加えたレストランもあるという環境が素晴らしい。ここで紹介するのは私が気に入っているスポットのうちの一部で、アクセスしづらい場所もありますが、訪れるだけの価値はあると思います。

巨大な屋外フードマーケットの『Smorgasburg LA』でのおすすめは、ヨルダンの焼肉料理シャワルマを提供する『Miya Miya』と、イタリア・リグーリア州由来のフワフワのフォッカッチャを提供する『Glad』です。フォッカッチャはプレーンも良いですが、ビーフやカプレーゼをはさんだバージョンも試してほしいです。

シルバーレイク地区では、ペルシャ家庭料理の『Azizam』が安定のおいしさです。スタジオシティ地区で行くべきは、週末限定の『Smogen』。ちょっと変わったベーグルのオープンサンドを出していて、ハマチとワサビクリームチーズとシソのベーグルは、定番商品になっています。

ロサンゼルス中心部のバンカーヒルエリア内のオフィスビルに店を構える『Danny Boy’s』は、ニューヨークとシチリアのスタイルのピザを提供しています。一切れ単位でも、ホールでも注文できます。近郊都市アルハンブラにある『Yang’s Kitchen』は伝統的な中華料理をカリフォルニア風にアレンジしています。同じく近郊の街ローズミードの『Sea Harbour Seafood』は点心の専門店。

1929年開業の『Ercoles』は趣あるローカルの老舗バーで、マンハッタン・ビーチに位置しています。同店で提供しているチーズバーガーは、ぜひ食べてみてください。最後に、テンプルシティの台湾料理店『Ahgoo’s Kitchen』を紹介します。牛肉捲餅(ビーフロール)と葱抓餅(ネギ餅)が絶品ですよ。

料理するのが好きなら、チャイナタウンにある『Now Serving』という名前の素敵な専門店へ足を運んでみてください。オーナー夫妻がキュレーションした素晴らしい料理本のコレクションと小物が並ぶ、こぢんまりとした店内では、著者を招いてのイベントも開催されています。日本の調理器具や器を見つけたければ、近郊都市トーランスの『つきじ常陸屋 USA店』やウェストハリウッドの『Toiro』を訪れましょう」

2. ソウル(韓国)

タイムアウトマーケットドバイ内の「REIF」シェフ、リーフ・オスマン(Reif Othman)によるチョイス

「ミシュランの星付きレストランや、高級志向の食体験の選択肢が豊富なことで知られるソウルですが、明洞(ミョンドン)地区や弘大(ホンデ)地区には、隠れた名店も数多くあります。伝統に斬新なアレンジを加えた素晴らしい現代韓国料理を提供し続けている『Jungsik』『Mingles』『Gaon』といった有名店がひしめくソウルは、上質な韓国料理を食べられるという点で、並ぶもののない都市です。

ストリートフードでは、明洞市場や広蔵(クァンジャン)市場といったスポットがあり、食に特化したイベントやフェスティバルも開催されています。『Seoul Food Festival』は、世界中から集められた才能ある料理人による料理が食べられる、体験型のイベントです。また、2024年に「アジアのベスト50レストラン」の会合がソウルで開かれたことは、この街が世界において存在感を増し、料理大国の仲間入りをしたことを示しています」

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3. マドリッド(スペイン)

タイムアウトマーケットニューヨーク内の「Fornino」シェフ、マイケル・アユブ(Michael Ayoub)によるチョイス

「マドリッドにおけるハモン・セラーノとハモン・イベリコの選択肢の豊富さは、ほかに類を見ないものです。これほどの豊富さには、世界のどの街でも遭遇したことがありません。パエリアを除いて、ハモン・イベリコはほぼ全ての料理でうれしい驚きを与えてくれます。

スペイン最高のレストランと称されることの多い『DiverXO』がマドリッドにあるというのも納得です。そこでの食事は一生ものの経験でした。シェフのダビス・ムニョス(Dabiz Muñoz)は世界屈指の創造性を持った料理人で、彼の作る料理は革新的であると同時に、スペイン料理の伝統に深く根ざしたものです。

食分野に限らずマドリッドは、豊かな文化と深い歴史的遺産に恵まれた、人間の営みがもたらす驚異の宝庫です。食においてもそれ以外においても、マドリッドが世界有数の優れた街であることは間違いありません」

世界に誇る食の都・東京でグルメを巡る……

  • ラーメン

テキスト:メンチャック

東京駅から高尾までの東西を結ぶ中央線沿線には、ローカルの飲食店や古着屋、雑貨屋、書店、ライブハウスなどが特異な文化圏を形成していることでも知られているが、ラーメン好きにとっても、神田、新宿、中野、高円寺、荻窪、吉祥寺、武蔵境などラーメンの激戦区であり、重要なエリアが並んでいる。

今回は沿線ガイドとしてその中から、東京駅から八王子駅までの老舗から新店までの18駅で行くべき20店舗を厳選した。ぜひ中央線ラーメンツアーの参考にしてほしい。

  • ラーメン

テキスト:メンチャック、Time Out Tokyo Editors

いち麺ジャンルとして定着し、さらなる細分化が進むつけ麺。その中でも「昆布水つけ麺」は注目を浴び、広がりを見せている。このメニューの特徴は、昆布のうま味が染み込んだとろとろの昆布水に麺がつかった状態で提供されること。麺本来の小麦の味わいと、黄金色の昆布水の風味、喉越しの良さ。そこに各店が工夫を凝らしたつけだれの味が混ざり合い、味のハーモニーを生み出している。

提供しているお店もかなり増えてきているが、2024年に押さえておきたい20店舗を厳選した。暑い季節に食べたい、さっぱりとした一杯を堪能しよう。

※メニュー、料金、営業時間は変動があるため、詳細は出かける前に確認を

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東京の「カレーの街」と聞いたら、神田や神保町をイメージする人が多いかもしれない。しかし、昨今は池袋もカレーマニアから注目されている。渋谷、新宿とともに東京を代表する繁華街である池袋は、海外からの観光客からも人気が高く、多国籍料理が多く集まる街でもある。

池袋で味わえるカレーは、インド、ネパール、バングラデシュといった異国情緒を味わえる多国籍カレーのほか、ジビエ肉をトッピングしたカレーや、エディブルフラワーをあしらったフォトジェニックなカレーなど、実に幅広い。さまざまな世代や人種が行き交う、にぎやかな街らしいラインアップだ。

ここでは、池袋でしか楽しめない5つの個性豊かなカレーを紹介する。一度味わえば、あなたもきっと池袋のカレーカルチャーのとりこになるだろう。

  • 日本料理

今年も冷やし中華の季節がやってきた。最近では定番のしょうゆだれ、ゴマだれだけではない、ユニークな冷やし中華も生まれている。

本記事では、定番から変わり種まで、東京の冷やし中華シーンの裾野の広さを感じることができる店を紹介。「冷やし中華はじめました」の貼り紙を探して蒸し暑い東京の街をさまよう前に、ぜひチェックしてほしい。

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東京で食べるべきものと言えば、真っ先に挙がるのはラーメンや寿司だろう。だが、手軽かつ選ぶ楽しさがある「おにぎり」もまた、必食のグルメに加えても良いのではないだろうか。

おにぎりには、急いでいるときに手近なコンビニでサッと買い、手早く小腹を満たせる食べ物というイメージがある。しかし、東京には最近、米の品質にこだわり、ほかにはないグルメな具をたっぷりと入れたおにぎりを提供する店が増えているのだ。

こうしたおにぎり屋の多くではイートインもできる。注文してから握ってくれるおにぎりに、漬物や味噌汁、唐揚げなどのおかずをセットにした、バランスの良い定食を食べられるのもうれしいポイントだ。タイムアウト東京英語編集部が日本の伝統的なファストフード、おにぎり店を選んで紹介する。

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