南阿蘇、絶景に入り込む旅のススメ

地球のエネルギーでパワーチャージする
  1. 上色見熊野座神社
    Photo: Keisuke Tanigawa上色見熊野座神社
  2. 明神池
    Photo: Kisa Toyoshima明神池
  3. 熊本地震震災ミュージアム キオク
    Photo: Kisa Toyoshima熊本地震震災ミュージアム キオク
  4. カミツレ ベイクス アンド ハーブス
    Photo: Kisa Toyoshimaカミツレ ベイクス アンド ハーブス
Written by Time Out. Paid for by NEC・Aso Volcano Museum
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タイムアウト東京 > Things To Do > 南阿蘇、絶景に入り込む旅のススメ

テキスト:小滝詩織

阿蘇という地は、27〜29万年前の大噴火でできたカルデラの中に人々の生活があるという、世界でも珍しい場所だ。1000メートル級の外輪山が作り出す非日常的な絶景に、千年以上前から維持されてきた草原、そして雄々しくそびえ立つ阿蘇五岳……。まさに日本の中でも指折りの「地球のエネルギーが感じられる場所」といえるだろう。

ここでは、南阿蘇エリアにフォーカスを当てて、この大自然を吸収できるスポットを紹介。本来の姿のまま守られ続ける美しい自然を肌で感じ、この大地を味わって、これら自然とともに生きる未来のヒントを得られるような旅を5つの切り口で提案する。

ちなみに、観光で同エリアを訪れる場合、レンタカーや観光タクシーの利用が圧倒的に便利だ。しかし今回は、2023年7月に熊本地震から7年ぶりに全線で運行が再開した南阿蘇鉄道沿いのスポットを中心にピックアップしている。週末はトロッコ列車も運行しているので、もしタイミングが合えば、南阿蘇鉄道での移動を体験してみるのもおすすめだ。

より豊かな「阿蘇旅」にしたい人は、「阿蘇火山博物館」のLINE公式アカウントの「友だち追加」も忘れずに。博物館の最新情報のほか、阿蘇市や南阿蘇エリアのおすすめスポットも多数掲載している。

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1. 美しい自然に溶け込む。

南阿蘇村湧水群

九州北部を潤す水瓶としての役割も担う阿蘇は、「湧水」が多いのも特徴の一つだ。湧水とは、阿蘇五岳や外輪山に降った雨水が地面に染み込み、地層で自然にろ過され地下水となったものが地表へとあふれ出る水のこと。水源を訪れれば、その水の透明さにきっと驚くだろう。

南阿蘇村には11の湧水池から成る「南阿蘇村湧水群」があるので、気になる水源を巡ってみるのもいい。中でも、ひっそりとした竹林に湧き出る「竹崎水源」や、「塩井神社」にあるエメラルドブルーの「塩井社水源」は、水源本来の美しさを感じたい人におすすめだ。水をくむための整備がされていないので水くみにはあまり適していないが、どちらも神秘的なパワーが感じられる。

  • Things to do

南阿蘇鉄道沿いからは少し離れるが、日常の喧騒(けんそう)から離れた大杉の山の中で凛(りん)とした空気をまとう「上色見熊野座神社」も外せない。約220段の石段の両脇には100基もの灯籠があり、一歩ずつ歩みを進めていくと、まるで異世界へと足を踏み入れたような不思議な気持ちになる。

石段や坂道こそあるものの、「山の中にたたずむ」という言葉がぴったりな環境で、参拝するにもなかなかハードな道のり。しかしながら、本来の姿で残る自然と、その中にある神社に赴くからこそ得られるパワーは確実にある。

2. 阿蘇の大地を味わう。

そばの名店が多い阿蘇エリアだが、「水源にあるそば屋」というのはなかなかない。明神池のすぐ近くにあるここ「明神そば」は、熊本名水百選にも選ばれている明神池の湧水を引いており、おいしい水で作った最高のそばを楽しむことができる一軒だ。

同店のそばのうまさを堪能するならば、やはり「ざるそば」をチョイスするのがいい。シコシコとした食感に、するんと喉を通る繊細さ......。一口味わえば、あっという間にざる1枚を平らげてしまうことに驚くだろう。そば粉は、熊本県阿蘇地方で採れたもののみを使用。つゆにつけるのは3分の1程度にして、そば本来の風味も堪能してみてほしい。

  • ショッピング

ほっと一息つきたい人は、焼き菓子とハーブティーが楽しめる「カミツレ ベイクス アンド ハーブス」へ。愛らしい店構えが印象的な同店は、この場所を旅の目的の一つにするという人も多い人気店。農薬や化学肥料を使わずに栽培された国産ハーブと、「ビクトリアスポンジケーキ」や「メープルピーカンパイ」といったイギリスとアメリカの家庭菓子を提供している。

店は夫婦で営んでおり、焼き菓子は妻の江藤​​志帆が、ハーブは夫の江藤弘明が担当。ドリンクメニューには、江藤自らが南阿蘇の畑で栽培したハーブもあり、繊細ながらも力強い、阿蘇の大地を感じられるようなハーブティーが堪能できる。焼き菓子は午前中で売り切れてしまうことも多いので、訪れる際は、事前に電話で取り置きをしておくのが必須だ。

  • カフェ・喫茶店

最近ちょっと元気がないなという人は、「喫茶てのはアン」の「古代米おはぎ」を味わってみよう。「古代米おはぎ」という響きだけで、なんだかものすごいパワーフードのような感じがするが、その勘は間違っていない。古来、中国では不老長寿の米として皇帝に献上されていたという古代米。同店では、阿蘇で育った無農薬の古代米「黒米」「みどり米」「赤米」で作る、6種類のおはぎを提供している。

6個入りのもの(要予約)を注文すると、おはぎの原点ともいわれる「黒米おはぎ」から、「赤米梅おはぎ」や「黒米アーモンドおはぎ」といった新感覚なものまで、一度にいろいろな味わいに出合えるのが楽しい。

ちなみに、おはぎに用いられるあんこは「高森湧水トンネル」でくんだ湧水でじっくりと炊かれたもの。一口食べるごとに、きっと阿蘇という土地ならではのエネルギーをしっかりと吸収できるだろう。

3. 自然との共生を学ぶ。

  • Things to do

その美しい自然を求めて旅に出るというのはもちろん最高だが、「自然に癒やされた」「リフレッシュした」で終わらせてしまうのではなく、この自然を守り、ともに生き続けるにはどうしたらいいかと考えるきっかけも得ることができれば、きっとその後の日常もより豊かになるだろう。

「熊本地震震災ミュージアム キオク」は、2016年に発生した熊本地震の記憶をたどり、豊かな水や農産物をもたらすとともに時に怖い顔も出す熊本の大地を学び、この大地と共生していくにはどうしたらいいかを考える体験ができる施設だ。施設の外に出てグラウンドの上へと上がっていくと、震災遺構として保存された「旧東海大学阿蘇校舎」や、地表に現れた地震断層を見ることもできる。

被害の大きい地震だったため、少しヘビーな展示内容もあるが、一級建築士事務所のo+hが設計と監理を担当した建物自体が柔らかい印象で、未来を担う子どもと訪れ、一緒に学べるような空間づくりがされているのがうれしい。

  • Things to do

もう一つ、自然との共生を学ぶ上で、人々の暮らしと、この自然に住む生き物の暮らしの両方を守る「立野ダム」の存在も知っておきたい。立野ダムは、大雨が降った際、ダムより下流側で川の水位を下げるとともに洪水の到達を遅らせ、住民の避難時間を確保するという効果を持つ「流水型ダム」だ。

ダムと聞くと、自然環境を壊してしまうといったイメージを持つ人も多いかもしれないが、この流水型ダムの特徴の一つに挙げられるのが環境への配慮。例えば、常時水をためないようにするため、ダムの下部には川と同じ高さに放流孔が設けられている。この放流孔があることで、上流からの川の水や土砂がダムを通過して下流へと流れる、川の流れを止めない仕組みを実現させているのだそうだ。

この仕組みは、川に生息する生き物への影響を最小限にする役割も担っているのだという。もちろん、ダム自体は自然を切り開いて作られたというのは事実だが、工事ももともとの自然景観をできるだけ守りながら進められてきた。現在、立野ダム周辺の自然環境も含めてディープに学べるインフラツアーが計画されているので、続報も楽しみに待ちたい。

4. 満天の星空と眠る。

  • ホテル

宿代を節約するという選択肢も悪くはないが、より忘れられない旅にするならば、「どんな場所で眠りにつくか」というのも重要かもしれない。「星とともに暮らす」をテーマにしたこの体験型宿泊施設は、敷地内に「南阿蘇ルナ天文台」もあり、南阿蘇の星空を堪能できる。

注目は、毎日実施されている「星のコンシェルジュ®」による「星空体験ツアー」。巨大望遠鏡の先にある宇宙をのぞいたり、草原に寝転がって星空を眺めたりといった体験ができるもので、星好きにはたまらない内容だ(宿泊の場合、「星空体験ツアー」付きのプランで部屋を予約しておけば必ず参加できる)。

まさに五感を解き放つような豊かな時間が過ごせる場所なので、「泊まれる天文台で眠る」という選択をしてみては。

5. 絶景と走る。

この土地ならではの移動を楽しむならば、南阿蘇鉄道が運行するトロッコ列車「ゆうすげ号」に乗ってみるのもいい。2023年7月に熊本地震から約7年ぶりに復活し、現在は週末を中心に運行(12〜2月は運休)。キャンセル待ちをする人も多数いるほどの人気ぶりだ。

車内では、スタッフのガイドを聞きながら、阿蘇五岳をはじめとした雄大な景色をのんびりと眺めることができる。車両には窓がないため、時折、綿毛がふわりと車内に飛び込んできたり、草木に触れてしまいそうな距離を走ったりと、まさに「大自然を走る」体験が楽しい。ちなみに、車両は旧国鉄時代に砂利や土を運んでいた貨物列車が用いられているので、乗り心地には期待しないで、とのこと。

トロッコ列車は、南阿蘇鉄道の始発終着駅である高森駅から立野駅間で走行。途中下車することもできるが、乗車区間に関わらず座席の指定料金(1,010円、3歳~小学生は750円)が必要となる。せっかくなので終点までトロッコ列車での旅を楽しみ(乗車時間は約1時間)、その後、普通列車に乗り換えて周辺を散策するのがおすすめだ。

もっと阿蘇でしかできないことを知りたいなら…

  • Things to do

27〜29万年前の巨大噴火でできたカルデラの中という、世界でも希少な環境にある「阿蘇火山博物館」火山博物館と聞くと、一見マニア向けの施設のように感じられるかもしれないが、ここは一味違う。

もちろん、火山にまつわる展示はかなり充実しているので、火山を深く学びに行くにはうってつけだ。しかしそれだけでなく、好奇心をじわじわと広げてくれるユニークなガイドスタッフがいたり、この環境ならではの雄大な自然を舞台にしたフィールドワークを企画していたりと、ふらっと訪れても、火山をあまり知らなくても、不思議と楽しめる面白い場所なのである。

ここでは、遊び心とチャレンジ精神にあふれる阿蘇火山博物館の魅力を10の切り口で紹介する。「こんな楽しみ方ができるのか」というポイントもしっかり押さえているので、興味を持った人は、ぜひ阿蘇旅行のプランに加えてみてほしい。楽しみながら新しい発見と学びが得られるこの博物館を訪れれば、きっとより豊かな「阿蘇旅」となるだろう。

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  • Things to do

美術館や博物館など、その場所ならではの個性が光るオリジナルグッズはどうしても手に取ってしまうもの。この「阿蘇火山博物館」もまた、遊び心にあふれるアイテムを多く取り揃える博物館だ。

ここでは、20〜30種類あるオリジナルグッズの中から、ぜひ手に入れたい商品を5つ厳選して紹介。自分用や誰かへの土産として、お気に入りを手に入れよう。

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  • Things to do

阿蘇神社」のある一の宮町という場所は、おいしい地下水が噴出する「清泉の町」として知られている。神社に湧き出る「神の泉」をはじめ、この辺りの家ではそれぞれに湧き水を持っているというから驚きだ。

全国的にも珍しい阿蘇神社の「横参道」へと続く「阿蘇一の宮門前町商店街」には、それぞれの湧き水を訪れた人々へおすそ分けしようと設置された「水基(みずき)」という湧水の水飲み場が点在する。今でこそ多くの観光客が訪れる阿蘇一の宮門前町商店街だが、数十年前までは地元の人のみが利用するような静かな商店街で、商店街を盛り上げようと誕生したのがこの水基なのである。

ここでは、阿蘇神社の参拝前後に楽しみたい5つのコンテンツを紹介。水基巡りをはじめ、この土地ならではの食べ歩きフードや、ほっと一息つけるノスタルジックなカフェなど、清泉の町を堪能してほしい。

より豊かな「阿蘇旅」にしたい人は、「阿蘇火山博物館」のLINE公式アカウントの「友だち追加」も忘れずに。博物館の最新情報のほか、阿蘇市や南阿蘇エリアのおすすめスポットも多数掲載している。

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