2016年に発生した熊本地震の記憶や経験、そして教訓を未来へとつなぐ回廊型フィールドミュージアム「熊本地震 記憶の廻廊」の中核拠点施設。2023年7月に、大きな被害を受けた「旧東海大学阿蘇キャンパス」のグラウンド跡地に開館した。
建物の設計と監理を担当したのは一級建築士事務所のo+hで、この土地と交わるような建築デザインが印象的。施設内には3つの展示スペースが設けられており、地震が発生した「その時」をたどり(展示室1)、豊かな水や農産物をもたらすとともに時に怖い顔も出す熊本の大地を学び(展示室2)、この大地と共生していくにはどうしたらよいかを考える(展示室3)を順に体験できるような構成になっている。
また、施設の外に出てグラウンドの上へと上がっていくと、震災遺構として保存された「旧東海大学阿蘇校舎」や、地表に現れた地震断層を見ることもできる。倒壊防止のための補強が行われた校舎は、地震発生当時のままの姿で展示保存されており、見学通路から間近で見ることも可能だ。
被害の大きい地震だったため、少しヘビーな展示内容もある。しかし、建物自体が柔らかい印象であったり、熊本の豊かな自然をクイズや実験形式で知ることのできるかわいらしい展示があったりと、未来を担う子どもと訪れ、一緒に学べるような空間づくりがされているのがうれしい。まずは熊本地震を知って、自然と生き続ける術を考えるきっかけを得てみては。