1. 日本に残っている伝統的な側面に衝撃を受けた
ー日本に赴任されてから10年がたちますが、日本の印象はどのように変わりましたか。
日本に来る前は、私も妻も日本全体、特に東京は近代的だと思っていたのです。しかし、日本の文化や宗教、自然、環境と結びついた伝統的な側面が多く残っていることを知り、とても驚きました。
赴任したばかりの頃、日本の人々や日本社会に対して、私は何を期待すれば良いかすらも分かりませんでした。一例を挙げましょう。私がコーヒー連合会の代表になった時、ボゴタの日本大使公邸に昼食会に招待されました。実はその日、私は遅刻してしまったのです。大使はとても親切に私の事情を理解してくれましたが、それと同時に、約束の時間を守ることの大切さを教えてもらいました。
堅苦しいと思われる日本の習慣の多くは、ここでの生活に入っていくための鍵です。それ以降、私にとっても時間を守ることは大切なルールの一つになりました。我々ラテン系の人々にとって、このような習慣を生活に取り入れるのはとても新鮮なことです。コロンビアでもこのような価値観を取り入れられるといいですね。
ー風習と言えば、コロンビア人は早起きと聞いたことがありますが本当ですか。
うーん......どうでしょうか(笑)。もちろん、本当のこともありますよ。私は日本に来たばかりの頃、(コーヒー連合会で)朝9時から仕事をしようと決めました。今となっては当たり前のことなのですが、当時は2011年3月の東日本大震災の影響で、節電や、そのほかのいろいろな困難が重なってしまい、オフィスに人が出社するのは10時半ごろだったそうです。
しかしそれでは、出勤してコーヒーを飲んだらもう昼食の時間で、午前中は何もしていないことになりますよね。だから私たちは9時に始めるように定めたのです。コロンビアでは一日の始まりが早く、私が大学に通っていた頃は朝7時からの授業もありました。田舎では朝早くから畑仕事もしていますよ。