支援においてネットワークを大切にする
―アーキエイドの目標はなんですか。
私たちの目的の一つは、支援においてネットワークを大切にすることです。復興についての議論で地元の人々との対話を大切にするだけでなく、建築家相互の緊密な連携を重視したかったのです。1995年の阪神・淡路大震災の時も建築家たちは支援を試みましたが、比較的単独の行動が多かったと思います。もちろん個々のアイデアも大切ですが、過酷な状況下ではむしろ集合知こそ必要ではないか、そうした教訓を糧に、今回はコミュニティーに寄り添い、建築家同士で協力して活動できるようにしました。
ー被災地には直接訪れましたか。
はい。実は震災直前に足を骨折していたので、容易に動き回れなかったのですが、とにかく現地に行って、何が起こっているのかをこの目で見るべきだと思いました。石巻から牡鹿半島まで行ったのですが、街は壊滅的でした。インフラにも甚大な被害が出ていましたから、道路を車で走ることも困難だった。しかしその傷ましい光景の陰に隠れた地域の人の営みや自然の美しさは、容易に想像することができました。その美しさをまた見たいという想いが、私を復興支援へと大きく突き動かしたのです。
―大きな被害を受けた地区で、どのように再建プロセスを実施しましたか。
復興過程にはいくつかのフェーズがあります。家を失った人々は、避難所生活の後に仮設住宅に移ります。それは通常大手プレハブ会社に依頼されるので、建築家はなかなか関与できません。しかしそうした仮設住宅は応急的なものですから、コミュニティーや空間の質などが考慮されていない。それでも仮設住宅暮らしは長い年月に渡ることもしばしばなので、少しでもお互いに見守りながら快適に過ごせるよう、人が集まりやすい配置や軒下空間などの提案を行うメンバーもいました。