リアス・アーク美術館
気仙沼の高台にあるこの人気の美術館に並ぶ全てのアート作品を鑑賞しようと思ったら、ゆうに数時間はかかる。地域の伝承や沿岸の生活に関する展示にも興味をそそられるが、時間がたっぷり取れない場合は、2011年の東日本大震災を特集した一階の展示室に行ってほしい。
痛ましい震災のがれきや残骸を中心とした展示構成に、思わず感情が揺さぶられるだろう。破壊された子どものおもちゃや、冷蔵庫といった日常の品々からは、人々の営みにもたらされた破壊の跡が見てとれる。
鋭くも繊細な視点で構成された展示品や地元在住の同館学芸員が撮影した写真は、悲劇の後で人々の肉体面と精神面にもたらされた被害の大きさを伝えるという意味で、優れた成果を上げている。