オランダと日本の歴史が感じられる場所10選

オランダ名画を所蔵する美術館、有田焼の専門店、ディック・ブルーナが想いを込めて手がけた絵本にフォーカスをあてたテーマカフェなど
出島和蘭商館跡
画像提供:国指定史跡 出島和蘭商館跡
Written by Time Out. In partnership with Embassy of the Kingdom of the Netherlands in Japan
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九州に流れ着いたオランダ船「リーフデ号」の航海士ヤン・ヨーステンが徳川家康と謁見(えっけん)した1600年を原点とし、日蘭交流は425周年を迎えた。

鎖国時代には、出島のオランダ商館での貿易が国内唯一の世界の経済、文化とつなぐ窓口となり、8代将軍徳川吉宗の治める江戶中期には、医学、生物学、天文学などを学ぶ蘭学塾が各所で開かれ、オランダを通じて⻄洋の知識や技術を得るようになった。

今でも各地に残る日蘭交流の軌跡をたずね、歴史をひも解こう。

English version here:10 places to experience Dutch history in Japan

  • Things to do

1992年に長崎県佐世保市に開園した「ハウステンボス」は、風車や運河などオランダの街並みを再現したテーマパーク。152ヘクタールの広大な敷地には5軒の直営ホテルはもちろん、分譲住宅やマンションまであり、それ自体が小さな町のようだ。

カナルクルーザーやゴンドラ、4人乗り自転車など、移動そのものもアトラクションになる。色鮮やかな花畑やさまざまなショー、世界一のきらめきと規模を誇るイルミネーションなど、その美しさに圧倒され、絵葉書の世界に入り込んだような気持ちになれるだろう。

  • アート
  • 箱根

富士箱根伊豆国立公園の緑の中に佇む箱根の「ポーラ美術館」は、オランダの巨匠フィンセント・ファン・ゴッホ(Vincent van Gogh)の絵画3点を含む、印象派から20世紀美術、そして現代アートまでの優れたコレクションを誇る。

2025年5月31日(土)から11月30日(日)まで開館以来初となるゴッホをテーマにした展覧会「ゴッホ・インパクト―生成する情熱」が開催。情熱にあふれたゴッホの作品や存在が、さまざまな時代においてどのようなインパクトを与えたのかを検証する、興味深い展示だ。

  • Things to do

1664年以降、佐賀県の有田焼が出島より輸出されると、日本の磁器産業は急速に延び、ヨーロッパの貴族がこぞって収集するほどの人気を誇った。有田で作られ、伊万里港から各地に運ばれた磁器は、オランダのデルフト陶器などにも影響を与えた。

今でも有田には多くの窯元が残り、複合施設「アリタセラ」には22店舗が連なっている。なかでもオランダを中心とする8ヵ国16組のデザイナーと伊万里・有田の16組の窯元とのコラボによる新ブランド「2016/」の店舗はモダン。ギャラリーの中で過ごすようなカフェはアーティスティックだ。

アリタセラ内には「アリタハウス(arita huis)」、窯元が点在する有田内山にはオランダ人女性が経営する「ケラミックアリタ(KERAMIEK Arita)」などのユニークな宿泊施設もある。ぜひゆったりと滞在してほしい。

  • カフェ・喫茶店
  • 原宿

1927年にオランダ・ユトレヒトに生まれ、絵本作家・グラフィックデザイナーとして世界的に活躍したディック・ブルーナ(Dick Bruna)。2017年に89歳でその生涯を閉じるまで、120冊以上の絵本を創作した。

2023年に代官山にオープンした「ミッフィーカフェトーキョー(miffy café tokyo)」はその世界観を進化させ、日本を代表するクリエイター佐藤可士和がロゴや店舗をデザイン。ハンドタオルやポーチ、クリアファイルなど、キュートで実用的な限定グッズも多く、世界各国からミッフィーファンが訪れている。

ドリンクをオーダーした人だけが手に入れられるグラスやマグカップも人気だ。

Illustrations Dick Bruna Ⓒ copyright Mercis bv,1953-2025
www.miffy.com

  • Things to do

「出島和蘭商館」の歴史は1609年にオランダが江戸幕府から貿易を許され、長崎県平戸にオランダ商館が設置されたことに始まる。当初、土蔵に付属した住宅1軒だった商館は順次拡大され、1641年に平戸から長崎の人工島である出島に移された。

この時からオランダは西洋諸国の中で唯一、日本との貿易が許された国となり、218年間に及ぶオランダ商館の時代が幕を開けた。出島は日本と西欧を結ぶ唯一の窓口となり、経済や文化の交流拠点として、日本の近代化に大きく貢献したのである。

明治維新後、出島周辺の海は埋め立てられ、海に浮かぶ扇形の原形を失ったが、当時の様子を再現すべく、復元整備事業が長崎市によって進められている。

現在、出島は一般公開されており、2017年には出島表門橋が完成。当時と同じように、橋を渡って出島に出入りできるようになった。商館長が暮らしたカピタン部屋は和洋折衷のインテリアで、当時のオランダとの交流を想像しながら歴史を学べる。

一方「平戸オランダ商館」は、オランダ商館が閉鎖されてから約370年余りの時を経て、復元され、当時の趣を感じられる施設となっている。

  • Things to do

大阪の淀屋橋・北浜エリアのオフィス街に、江戸時代にタイムトリップしたような古建築がある。この建物には、江戸時代後期の武士であり蘭学者、医師でもあった緒方洪庵(こうあん)の開いた学問所「適塾」がそのまま保存されており、若き日の福沢諭吉や大村益次郎など、後の日本史に大きな影響を与える偉人が学んだ場や塾長の書斎が見学できる。

なかでも塾に1冊しかなかったオランダ日本語辞典を所蔵していた「ゾーフ部屋」は必見だ。塾生たちが昼夜を問わずこの辞書で調べ、学び、一晩中部屋の明かりが絶えなかったと言われている。歴史の1ページを目撃しよう。

  • Things to do
  • 青山

機能性と美しさを両立させたオランダ家具は世界的に評価されている。なかでも伝統と革新的なデザインをモダンに融合させたインテリアブランド「モーイ(Moooi)」はマルセル・ワンダース(Marcel Wanders)とキャスパー・フィッサス(Casper Vissers)により、2001年に設立され、世界的な著名デザイナーとコラボレーションするなど、独創的なコレクションで注目の的だ。

なかには幾何学的でモダンな照明の「コッペリア」などを手掛けた三宅有洋のような日本人デザイナーもいる。球形で存在感のある「レイモンド」など、ラグジュアリーなホテルやレストランでも存在感を放つ、ユニークなデザインには定評がある。

  • Things to do
  • 京橋

東京都中央区にある八重洲の由来はなんとオランダにあり。1600年に日本に漂着したオランダ商船「リーフデ号」で航海中だったオランダ人航海士ヤン・ヨーステン・ファン・ローデンステイン(Jan Joosten van Lodensteyn)にちなんで名付けられた。乗組員の中には三浦按針ことウィリアム・アダムス(William Adams)もいた。

その後、ヤン・ヨーステンは江戸に定住することを許され、外交顧問として将軍に仕え、外交顧問として海外との交易にあたった。その時住んでいたのが現在の八重洲であり、ヤン・ヨーステンの和名「耶楊子(やようす)」が転じて「八重洲(やえす)」になったそうだ。

ヤエチカ」の外堀地下1番通りにはヤン・ヨーステン像があり、地下街のイメージキャラクターとしても愛されている。

  • Things to do

1800年代後半、日本が開国し外国貿易を開始すると、神戸港には多くの外国人商人が訪れるようになった。彼らが住み着いたのが、現在も西洋風の邸宅が建ち並ぶ「北野異人館街」である。

その一つ「香りの家オランダ館」は大正中期に建てられた木造寄棟造りの建物で、元オランダ総領事邸として長く使用された後、ロシア人移住者の宿泊施設となった。その後1987年に「香りの家オランダ館」として開館した。

現在はオランダのアンティーク家具や、オランダ王国元公使夫人が描いた作品が展示されており当時の生活をうかがい知れる空間となっている。見学者は、花の国オランダにちなんでオリジナル香水が調香できたり、オランダ・ヴォーレンダム地方の民族衣装を着て写真を撮ったりすることができる。

  • Things to do

豊臣秀吉が天下統一の拠点として築城した大阪城。城内には、大坂の陣で落城したのちに徳川幕府によって築きなおされた石垣や古建造物が現存している。

中央にそびえる天守閣は豊臣時代・徳川時代に続く 3 代目のもので、1931年に市民の寄付金によって復興された。内部は博物館施設となっており、秀吉や戦国時代、大阪城の歴史に関わる豊富な文化財を収蔵し、随時入れ替えを行いながら公開している。

最上階からの展望、黄金の茶室、兜・陣羽織の試着体験コーナーなど、親しみやすい見どころも多く、国内外の観光客に人気の観光スポットだ。

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