「出島和蘭商館」の歴史は1609年にオランダが江戸幕府から貿易を許され、長崎県平戸にオランダ商館が設置されたことに始まる。当初、土蔵に付属した住宅1軒だった商館は順次拡大され、1641年に平戸から長崎の人工島である出島に移された。
この時からオランダは西洋諸国の中で唯一、日本との貿易が許された国となり、218年間に及ぶオランダ商館の時代が幕を開けた。出島は日本と西欧を結ぶ唯一の窓口となり、経済や文化の交流拠点として、日本の近代化に大きく貢献したのである。
明治維新後、出島周辺の海は埋め立てられ、海に浮かぶ扇形の原形を失ったが、当時の様子を再現すべく、復元整備事業が長崎市によって進められている。
現在、出島は一般公開されており、2017年には出島表門橋が完成。当時と同じように、橋を渡って出島に出入りできるようになった。商館長が暮らしたカピタン部屋は和洋折衷のインテリアで、当時のオランダとの交流を想像しながら歴史を学べる。
一方「平戸オランダ商館」は、オランダ商館が閉鎖されてから約370年余りの時を経て、復元され、当時の趣を感じられる施設となっている。