DTC CREATIVE SESSION 2020
DTC CREATIVE SESSION 2020
DTC CREATIVE SESSION 2020

次世代を担う10〜20代アーティストが生み出す新しいチャレンジの形

『DTC CREATIVE SESSION 2020』参加チームのRossMoody × ermhoiにインタビュー

Hisato Hayashi
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タイムアウト東京 > Things to do > 次世代を担う10〜20代アーティストが生み出す新しいチャレンジの形

代官山ティーンズ・クリエイティブ(以下、DTC)は、次世代を担う子どもたちに寄り添い、さまざまなイベントや施設運営などを行うマザーディクショナリーが手がける渋谷区の児童公共施設。2020年に運営スタートしてから丸5年を迎えた。対象年齢は、小学生から25歳前後の社会に出る前の学生までと幅広く、各分野で活躍する講師を招いた講座を受けることができる。

なかでも年に一度開催されるDTC CREATIVE SESSION』は、子どもたちとクリエーターのコラボレーションによる作品発表をはじめ、毎年豪華な企画やワークショップがめじろ押しのイベントだ。今年は新型コロナウイルスの影響で残念ながら中止となってしまったが、一部のパフォーマンスを映像作品として公開するオンラインイベントを決行した。

リリース情報だけでは伝わらないDTCの魅力やイベントへの思いを、今回参加するコラボクリエーターのermhoi、兄弟ヒップホップユニットのRossMoody、DTC副館長を務める岡磨理絵にZoomインタビューを行った

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届いたトラックを聞いてみたら「イケてんじゃん」って

参加チームのRossMoody × ermhoiは、今回3曲を発表。そのうちの1曲『How Can You』を映像作品化し、公開する。

コラボクリエーターに迎えるのは、ソロアーティストとして、また近年では小林うてな、Julia Shortreedらと結成したBlack Boboiとして2019年に出演したフジロックでの演奏も記憶に新しいermhoi。

対するRossMoodyは、Keita KobayashiとKobamutaの兄弟によるユニット。二人はそれぞれ高校生の頃からDTCに通う常連でもある。ermhoiは二人との出会いを「イベントに呼ばれたからではなく、偶然出会った兄弟と曲を作れたような感覚」でいると語ってくれた。

ermhoi:DTCには関わっている知り合いがいて、元々面白そうだなと思っていました。コラボレーションするRossMoodyの二人の曲を聞いたらイケてんじゃん、普通にかっこいいじゃんって(笑)。

届いたトラックがあまりにも完成度が高かったから、これに手をつけちゃいかんと思ったほど。歌メロを乗せて、返して、ラップが乗って、スムーズに制作が進みました。

やりとりはシンプルにインスタのDMだけ

気になる制作の過程を聞くと、やりとりは全てInstagramのDM(ダイレクトメッセージ)だけ、という驚きの答えが返ってきた。

Keita:俺がトラックを作ってermhoiさんに送り、返って来た音にKobamutaがラップを乗せています。トラックはファイル便などを使って、やりとりはインスタのDMだけ。顔を見て話したのは去年の12月に初めてミーティングした時以来ですね。

ermhoi:それ以降一度も会わずに作るのも面白いなって。歌詞の内容も自由にセッションするようにやりとりして、良い意味で干渉し過ぎないというか、コラージュ的にできたのが良かったかな。

2019年の12月から始まった曲作りは、コロナの影響でストップした時期もあったそう。イベント自体が一度延期になったタイミングで、様子を見つつ、マスタリングが終わり完成を迎えたのは7月に入ってからだという。影響を受けてはいるかもしれないが、そのことで曲作りに何か変化があったわけではないとKeitaは語る。

ermhoi:私はある意味、コロナ禍でもっと自分に対する肯定感が高まったというか、迷いなく向き合うことができた。今回書いている日本語の歌詞にも、それは影響しています。

Kobamuta:曲作りについては、僕は結構自分のことを考えがちなんです。自分の今までの体験と、社会とか環境に対する不自由さ、それに反抗していく、という気持ちで書いた。なので、今現状に不満がある人に聞いてほしいです。

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恥ずかしいという気持ちを忘れて挑戦してみて

最後に、DTCに来る子どもたちに伝えたいこと、DTCでやってみたいことなどを聞いてみた。

ermhoi:今家に興味があって、建築関連のワークショップが楽しそうだなって。DTCはそういう普通だったら出会えない人と出会えるような場所だと思う。子どもたちには後になって良い経験になると思うので、恥ずかしいという気持ちを一旦忘れてチャレンジしてみようと伝えたいです。

聴きやすさや決まった定型文とか、本当は音楽を作る上でそれを一切無視して好きなように曲を作っていいし、私は元々そういう風に曲を作っていたことを思い出せた。まずは思ったように作ってみたらいいかもってエネルギーをもらいました。

keita:俺は大学1年生からDTCで桑原茂一(音楽プロデューサー、選曲家)さんのワークショップに通いつめていて、ほかでああいう体験をさせてくれる場所はないからありがたかった。音楽に興味があって行っていても、それに関係ないこともやらせてくれる。自分が興味ないことでもフラットに体験させてくれる場所だなと思います。

Kobamuta:DTCの良いところは、まず卓球台があるところかな(笑)。高校生で通っていた頃は、自分より年下の小学生と対戦したり、予測しない出会いがありました。その時はなんで子どもと卓球しなきゃと思ったけど、今考えると異なる世代との交流って大事だなと思う。

年に一度開催される『DTC CREATIVE SESSION』。副館長で、このイベントを統括する岡はイベントの意義を次のように話してくれた。

岡:子どもだけではできない表現に、プロのクリエーターが関わることで次のステージへと進む手助けになる。新しい表現にチャレンジできる場を毎年更新しています。今回それを感じてもらえたこと、発見や新たな表現が生まれたことがうれしいです。

DTCは幅広い年齢層の若い世代が集まり、日々さまざまな出会いや交流が生まれ成長していく場だ。まずは最先端で活躍するクリエーターと、未来の可能性を秘めた10〜20代の表現が詰まったオンラインイベントを楽しんでみてほしい。

「DTC CREATIVE SESSION 2020」

参加クリエーター
GEN YOSHIDA、ermhoi、pennacky、久保田リョウヘイ、君島大空、櫻井香純、おさげ、CHIKAKO

10〜20代の次世代アーティスト
FROLIC、Ross Moody、与謝野久璃子、Roots、conoa、アベミ、23×16=〜Thank you〜

映像公開日
公式YouTubeチャンネルで毎週水曜13時に順次公開予定

7月15日(水)FROLIC(ダンサーチーム)× GEN YOSHIDA(フィルムディレクター)
7月22日(水)RossMoody(ヒップホップユニット)× ermhoi(トラックメーカー、シンガー)× pennacky(フィルムディレクター)
7月29日(水)与謝野久璃子(タップダンサー)× 久保田リョウヘイ(ハンドパンアーティスト)
8月5日 (水)Roots(band)× 君島大空(音楽家)
8月12日(水)conoa(ダンサー)× アベミ(ダンサー)× 櫻井香純(ダンサー)
8月19日(水)23×16=〜Thank you〜(ダンスグループ)×おさげ(スタイリング)× CHIKAKO(ダンサー)

公式YouTubeチャンネルはこちら

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ウィズ原宿ビジョンにて6週連続放映決定!

今回制作した映像作品が、渋谷区神宮前にオープンした新複合施設ウィズ原宿(WITH HARAJUKU)の屋外ビジョン、地下ビジョンにて1週間に1作品ずつ、計6週に渡り放映されることが決定。原宿に出かける際はチェックしよう。

場所:ウィズ原宿WITH HARAJUKU

〒150-0001 東京都渋谷区神宮前1丁目14−30 

映像放映期間:2020年8月26日〜10月6日(火) 

2020年8月26日〜9月1日(火) 
ermhoi(シンガー)×ross moody(ヒップホップユニット))

2020年9月2日(水)〜9月8日(火) 
与謝野久璃子(タップダンス) × 久保田リョウヘイ(ハンドパンアーティスト) 

2020年9月9日(水)〜9月15日(火) 
HD23 (ダンスグループ)× chikako(ダンサー) × おさげ(スタイリスト) 

2020年9月16日(水)〜9月22日(火) 
FROLIC(ダンサーチーム)× GEN YOSHIDA(フィルムディレクター)

2020年9月23日(水)〜9月29日(火) 
Roots(バンド)×君島大空(音楽家) 

2020年9月30日(水)〜10月6日(火) 
アベミ(ダンサー)×conoa(ダンサー)×櫻井香純(ダンサー)

ermhoi/トラックメーカー、シンガー

日本とアイルランド双方にルーツを持ち、
独自のセンスで様々な世界を表現する、トラックメーカー、シンガー。
2015年1stアルバム『Junior Refugee』をSalvaged Tapes Recordsよりリリース。
以降イラストレーターやファッションブランド、演劇、映像作品やTVCMへの楽曲提供、ボーカルやコーラスとしてのサポートなど、ジャンルやスタイルに縛られない、幅広い活動を続けている。
2018年に小林うてなとJulia Shortreedと共にBlack Boboi結成。
2019年よりmillennium paradeに参加。

RossMoody /ヒップホップユニット

東京を拠点に活動するKeita Kobayashi(兄)とKobamuta(弟)による兄弟ヒップホップユニット。
ヒップホップ・ラップをベースに、ロック、エレクトロ、ファンク等々オルタナティブな要素もふんだんに感じさせるサウンドを放つ。
2020年6月26日より新曲8曲を収録したニューアルバム『Without Schools・The Mixtape』を配信中。

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  • 子どもと一緒に
  • 代官山
代官山ティーンズ・クリエイティブ
代官山ティーンズ・クリエイティブ

マザーディクショナリーが運営する渋谷区の児童公共施設。対象年齢は、小学生から25歳前後の社会に出る前の学生までと幅広い。利用者は近隣の学校の生徒のほか、渋谷区外から訪れることもあり、日々さまざまな子どもたちが集いにぎわう。

多感な年頃の子どもたちが「可能性を生み出し、夢を描く」場所として、居場所やレンタルスペースを備え、クリエイターと出会える講座を開催。感性を刺激しながらふれあう場所づくりを行っている。

音楽インタビュー

  • 音楽

ニューアルバム『Closer』を2019年7月12日に発表し、初めてのスペインツアーを終えたばかりのシンガーソングライター、マイカ・ルブテ(Maika Loubte)。スペインという異国の地でも驚くほど堂々としたライブパフォーマンスを披露し、オーディエンスを圧倒した。幼少期から10代までを、日本とフランスの地で過ごしてきた彼女は、「小さい頃からどこにいてもちょっと浮いている存在だった」と語る。英語とフランス語、日本語で歌われる彼女の音楽は、エレクトロニクスでもロックでもない。もしくは、その要素を全て兼ね備えた良質なポップス、と表現するのが正しいのかもしれない。シンセサイザーをメインに織りなされるみずみずしくコズミックなサウンドと、透き通ったボーカル。繊細なのに、どっしり聞き応えの楽曲たち。「本物の音楽ファン」を魅了し、日本のミュージックシーンではちょっと特殊な存在として注目を集めるマイカ・ルブテを、ツアー先のバルセロナでキャッチした。

  • 音楽
対談:いとうせいこう × xiangyu
対談:いとうせいこう × xiangyu

かつて東京には、今では伝説と呼ばれるアーティストたちが集うアンダーグラウンドな場があった。S-KENが率いたクラブイベント『東京ソイソース』にはTOMATOS、JAGATARA、MUTE BEATといったバンドを筆頭に、若き日の藤原ヒロシ&高木完(TINNNE PUNX)、そしていとうせいこうといった今では誰もがその名を知るようなアーティストたちが集っていた。出演者だけではなく、観客からも、ミュージシャンやデザイナーといったさまざまなクリエーターたちが羽ばたいていく場であった。東京という街が持つ新旧混合、秩序と混沌といった要素を体現したかのような、音楽ジャンルだけではなく表現方法の壁をも飛び越え、全て混ぜ合わせたかのようなイベントが『東京ソイソース』だった。その伝説的イベントが、『東京ニューソース』として生まれ変わり、11月23日(土・祝)、青山CAYを舞台に『女性解放運動』をテーマに掲げ、第2回目となるイベントを行う。なぜ今『女性解放運動』なのか、芸術における差別的な表現の対極にあるものについて、さらにはアーティストとして人として、型にはまらず自由に生きることについて、主宰のいとうせいこうと、当日出演が決定している気鋭アーティストのxiangyu(シャンユー)に、話を聞いた。

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インタビュー:SHOKO
インタビュー:SHOKO

どこかノスタルジックで、サイケデリックな匂い漂うフォークミュージックを奏でる、シンガーソングライターのSHOKO。 国内外で数々のライブを重ね、2018年からは「トライバル オリエンタルドリームサイケバンド」KUUNATICのメンバーとしても活躍中だ。 ギターだけでなくベースも弾きこなし、ドラマーでもあったという彼女は学生時代からガレージパンクやデュームロック、サイケデリックなどの音楽と携わりながら、その世界観をさまざまな手法で表現してきた。ソロ活動では、包容力のあるボーカルやメロウなグルーヴの残響など、聴き手の心に深く刻まれる美しいアシッドフォークサウンドを各地で披露している。彼女が持つ圧倒的な存在感と音楽性はKUUNATICにも受け継がれ、今年夏に決行されたヨーロッパツアーは、各地で大きな反響を呼んだ。 音楽制作やライブ活動に打ち込む一方で、昼間はアルバイトを掛け持つなど休みのない生活を続ける彼女のエネルギーは、一体どこから生まれてくるのだろうか。2020年からは拠点をイギリスに移すSHOKOに、学生時代のエピソードやヨーロッパツアーでの出来事、ミステリアスなガールズバンド、KUUNATICでの活動について話を聞いた。 

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イギリス出身のnewsynco(ヌシンコ)は、ロンドンのアンダーグラウンドシーンをベースに活動する、若干20歳の新進気鋭アーティスト。現代を生きる若者たちに向けて音楽や衣服デザイン、映像などを取り入れた新たなアプローチで自らの「表現」を極め続けている。 今回、2019年11月にリリースした、ポップやオルタナティブロック、映画音楽、グライム、テクノなどさまざまな音楽の要素を取り入れて作られたアルバム「war in the pocket 」をひっさげ、世界ツアーの一環として2月上旬に来日。ローカルなライブヴェニュー晴れたら空に豆まいてとフォレストリミットで2公演行った。少ない公演数ではあったが、集まったオーディエンスに強い印象を残した。 彼は東京で何を感じ、何を吸収したのだろうか。自由奔放なパフォーマンスや、ライブで披露したアルバムのコンセプトなどを聞いた。

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坂本慎太郎、アメリカ再訪記
坂本慎太郎、アメリカ再訪記

2019年10月、坂本慎太郎のアメリカツアーが行われた。ゆらゆら帝国を率いていた2000年代にも4度のアメリカ公演は行われていたが、当時はニューヨークやボストンなど東海岸の一部のみ。今回はロサンゼルス郊外の絶景を舞台に開催されるフェスティバル『Desert Daze』を皮切りに、サンフランシスコ、サンラファエル、シカゴ、ニューヨークと、北米大陸を横断するスケジュールが組まれた。 渡米すること自体、坂本自身にとってはゆらゆら帝国以来10年ぶり、ソロとしてはもちろん初めてとなる。バンドメンバーは、ソロでのライブ開始後から演奏を共にするベースのAYA(OOIOO)、ドラムスの菅沼雄太、そしてサックスの西内徹。PAは、ゆらゆら帝国からの坂本のライブを支えてきたサウンドエンジニア佐々木幸生が全会場を担当した。 左から、西内徹、AYA、坂本慎太郎、菅沼雄太 2017年10月、ドイツ東部のケルンで行われた『WEEKEND FEST』出演から始まった坂本のライブ活動。それまでかたくなにライブを拒んでいた坂本だが、このときのドイツ2公演(ケルン、ベルリン)以降、日本国内に限らず、中国、オランダ、イギリス、メキシコと、興味深いシチュエーションでのライブに臨んできた。 観客にとって、ある種のエキゾチックで見知らぬ存在としてステージに立っていた面もあるそうした土地に比べ、ゆらゆら帝国時代の坂本を少なからず知るアメリカのオーディエンスは、現在の坂本をどう聴き、どう見るのだろうか。また、坂本自身には今の自分と今のアメリカの関係性はどう映ったのだろうか。それを坂本自身の言葉で聞くべく、インタビューを行った。

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