ジンボウチョウヤキソバ ミカサ
Photo: Yoko Asano
Photo: Yoko Asano

東京、焼きそば6選

もはやB級グルメとは言わせない、無限に広がる都内の焼きそばワールド

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テキスト:浅野陽子(フードライター)

※2020年9月30日 新型コロナウイルスによる営業時間の変更などを更新

2016年あたりから、東京の飲食業界で静かなブームが起きている焼きそば。中華麺を少々の野菜と肉と合わせて炒めた非常にシンプルな料理で、縁日の屋台や休日の昼ごはんなど、ちょっと小腹が空いたときに食べるもの、というイメージが強い。その手軽さからB級グルメにカテゴライズされがちだが、作り方によっては非常に奥深い料理に変貌する。実は都内には、専門店や居酒屋、バルまで独自の焼きそばレシピで真剣勝負を賭けている店がいくつもある。

もちもちの自家製麺とスパイスのきいたソースが大評判の神保町の焼きそば専門店、具材やソース、天かすまでこだわり抜いた鉄板焼き店の無添加焼きそば、はたまたペヤングをデコレーションして人気メニューに仕立てている店など……。都内で無限に広がる焼きそばワールドを、一度体験してみては。

  • 神保町

神保町駅から徒歩2分の場所にある焼きそば専門店。繁盛店の多い飲食店激戦区、神保町でも強い人気を誇り、ピークタイムを外しても客が並び続ける光景は名物になっている。 メニューは焼きそば1品のみで、味付けをソースまたは塩のどちらかを選ぶシステムだ。トッピング(イカ、エビ)の追加や、ネギ増しまたはネギ抜きにできるオプションもある。店いわく、2種類の味わいで断然人気があるのはソース味で、半数以上がソースを選ぶという。10種類以上のスパイスをブレンドしたまろやかでうま味があるソースに、うどんのようなもちもちした食感の自家製麺がよく絡む。濃厚だが後味がさっぱりして食べやすく、一度体験するとなんともハマる味だ。海外からも客が訪れている。 常に行列ができているが、店長の永原淳(ながはら・じゅん)によれば14時半以降が比較的入りやすいとのこと。

  • 立川

JR立川駅構内にある焼きそば専門店。ぼっかけ入りの焼きそばとそばめしを提供している。ぼっかけとは牛スジ肉とコンニャクを甘辛く煮込んだ神戸市長田区の郷土料理で、同店の各種メニューにたっぷり混ぜ込んである。

一番人気の『ふわとろぼっかけオムそば』は太めの麺に時折感じるぼっかけの食感、一人分卵3個を使用したトロトロのオムレツ、さっぱりしたネギの複雑な組み合わせが非常においしい。

焼きそば、そばめしともに並盛りでもかなりボリュームがあるが、若い男性客に混ざってシニアの客も多く、皆ペロリと平らげているのを見ると驚く。駅構内にあるため、地元住民は酒を飲んだ帰りについ寄ってしまうというのも納得だ。テイクアウトも可能。週末のランチが意外と空いているので狙い目だろう。 

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  • 新宿

歌舞伎町の新宿東宝ビル近くにある焼きそば専門店。細めでパリパリの食感の麺にモヤシとネギ、ニラがたっぷり混ぜ込まれ、上に乗せた生卵を豪快に混ぜて食べる。濃厚そうだが意外とさっぱりしていて腹にたまらない。女性でも大盛りをさらっと完食できる、不思議なボリューム感だ。 歌舞伎町という土地柄、24時間営業し、英語、中国語、韓国語メニューも完備。客は男性の一人客中心で、外国人客も多く訪れている。店内に窓がないので暗く、滞在中にやや圧迫感を感じる点が惜しいが、焼きそばはおいしい。

  • ビストロ
  • 三軒茶屋

※営業時間短縮中、17時30分~24時(土・日曜日・祝日は16時30分~24時)

三軒茶屋駅前から徒歩1分、居酒屋やバルなどが立ち並ぶ三茶3番街にある。 ビールや一律2,800円のボトルワインと、オーダー率98%の人気メニュー『塩煮込み』や、名物『ドライトマトのパテと地鶏レバーパテの合い盛り』、『ごまだれ水餃子』、などの酒が進むつまみが楽しめる。 またありそうでなかったシメ料理、『野菜たっぷりペヤング』もユニークでおいしい。

カップ焼きそばのペヤングに、大ぶりのウィンナー、キャベツ、モヤシ、ニラ、ニンジン、紅ショウガを加え、店のメニューとして提供。ボリュームたっぷりで、なおかつインスタント麺ながら家では決して食べられない不思議な満足感がある。男性客を中心に大好評で、半分以上の客が注文するそうだ。

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  • 六本木

横浜中華街に本店を構える中華料理チェーンの六本木ヒルズ店。目玉は『梅蘭やきそば』というオリジナルのかた焼きそばだ。パリパリの香ばしい麺が具材を覆うようにドーム状にかぶせてあり、それをほぐしながら、中から出てくる熱いあんと混ぜながら食べると非常においしい。ふと思い出し、また食べたくなる焼きそばだ。 六本木ヒルズ店オリジナルのランチセットメニューやディナーコースもあり、大人のグループ利用やビジネスランチにも使えるだろう。 

  • 五反田

※営業時間短縮中、予約のみ

五反田駅から徒歩2分の場所にある鉄板焼きバル。長らく白金高輪で営業していたが2018年11月に現在の場所に移転した。五反田の人気肉料理店、ミート矢澤のすぐ近くにあり、ともに同じ精肉卸会社が運営する。 ビール、ハイボール、ワインと一緒に、レバーコンフィやパテといった肉のバルメニューと、黒毛和牛や銘柄豚の鉄板焼き料理を提供。さらに長年のファンを中心に大評判の名物料理が、『無添加 焼きそば』だ。 厳選した国産キャベツと千葉産のブランド豚で作るソース味の焼きそばと、シーフードがたっぷり入った海鮮塩焼きそばの2種類がある。どちらもシンプルだが非常に美味。

もちもちした弾力のある太麺に3時間かけて作る秘伝のソース、カツオやイワシの節をブレンドした魚粉、エビとイカをローストした上品な天かす、自家製の甘酢で漬け込んだ刻みショウガなど、メインの具以外のあらゆる材料にも細かく手をかけている。あっさりしているが後を引く、家では絶対に作れないプロの焼きそばだ。 酒とバルつまみ、鉄板焼きのメインを一通り味わった後に、焼きそばで締めるという新しい楽しみ方ができる同店。五反田に移転後も、変わらずワインや料理の味にうるさい大人が集まっている。

2019年12月よりランチメニューを開始し、昼もこの無添加焼きそばが食べられるようになった。ランチではヤザワミートオリジナルの餃子もセットで提供している。

ライタープロフィール

フードライター。食限定の取材歴20年、「dancyu」「おとなの週末」「ELLE a table(現・ELLE gourmet)」「AERA」「日経MJ」「近代食堂」など食の専門誌を中心に、レストランや料理人への取材多数。テレビのグルメ番組への出演実績もある。「NIKKEI STYLE」(日本経済新聞社)の人気コーナー「話題のこの店この味」で毎月コラム連載中。

東京の麺を探求するなら…

長崎県発祥のローカルフード、ちゃんぽんは、明治時代中期に長崎市の中華料理店、四海樓で誕生した。福建料理である「湯肉絲麺」をアレンジしたもので、豚骨と鶏がらをあわせたスープに、キャベツやもやし、豚肉、魚介類をラードで炒め、そこに太くてやわらかい、独特の食感が特徴の灰汁麺を使用して作られる。長崎ではいたるところで食べられるちゃんぽんだが、東京で美味しいものを食べるとなると、なかなか難しい。もちろん長崎でも人気のリンガーハットも選択肢として挙げられるが、ここでは長崎県民も認める正統派から、独自のアレンジが光る個性派まで10軒を紹介する。ちなみに長崎ではちゃんぽんや皿うどんを食べるときに、ウスターソースをかけるのが一般的。長崎県民の中でも好みは分かれるが、カウンターにウスターソースが置かれた店では一度試してみてほしい。

  • ラーメン

国民食とも言えるラーメン。昨今、様々な味やスタイルがある中で、灼熱の夏でも極寒の冬でも異様に欲してしまうのが激辛ラーメンではなかろうか。今回は特に「口から火を吹く熱さ」をもたらしてくれる激辛ラーメンを厳選し、紹介しよう。チェーン展開で人気の老舗店から話題のニューフェイスまで。胃腸と翌日の代謝管理に気をつけつつ、ぜひ各店の辛さと接してほしい。

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  • 日本料理
東京、冷やし中華13選
東京、冷やし中華13選
今年も冷やし中華の季節がやってきた。最近では定番の醤油ダレ、ゴマダレだけではない、ユニークな冷やし中華も生まれている。本記事では、王道から変わり種まで、東京の冷やし中華シーンの裾野の広さを感じることができる店を紹介。「冷やし中華はじめました」の貼り紙を探して蒸し暑い東京の街をさまよう前に、ぜひチェックしてほしい。関連記事:『東京、讃岐うどん15選』『東京、ちゃんぽん10選』
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