つるや
Photo : Keisuke Tanigawa
Photo : Keisuke Tanigawa

東京、名建築カフェ7選

文化財や有名建築家が手がけた建物で贅沢な時間を楽しむ

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都内にはかつての巨匠が遺した歴史的建造物や、現代の力ある建築家たちが造り出す建物の中で、カフェとして利用できる場所がある。美しい意匠を眺めながら、ゆったりと食事などを味わう時間はとても豊かだ。名建築の中で楽しめる魅力的なカフェを紹介しよう。

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  • 小金井

2024年3月、「小金井市立はけの森美術館」に隣接する附属喫茶棟に、「はけの森、コマグラ」がオープンした。建築したのは、かつて政財界など要人の住宅を多数手がけた建築家 佐藤秀三だ。1959年に日本近代洋画家 中村研一の邸宅として建てられ、現在は国の登録有形文化財に指定されている。

同店は、吉祥寺で人気の「コマグラカフェ」や東京都写真美術館にある「フロムトップ」などの姉妹店だ。系列店舗で評判のスイーツのほか、食に造詣の深かった中村研一が遺した寄稿やレシピをもとに地場野菜を使って作る料理など、ここでしか味わえないメニューを提供する。

「庭師のクリームリゾット」は優しい味わいでありながら、うまみとコクをしっかりと感じる一品。窓の外でそよぐ木々を眺めながら味わうと、当時の暮らしを追体験しているかのような気分になる。

庭から湧き出ている水は東京都の「名湧水57選」に指定されており、美術館の一帯はスタジオジブリの映画「借りぐらしのアリエッティ」の舞台イメージにもなっている。カフェの帰りに庭を散策するのもいいだろう。

  • 中野

1969年創業の老舗喫茶店「Coffee&Lunch つるや」。現在は3代目の渡部みゆきと娘夫婦の三人が店を切り盛りしている。

建築を手がけたのは旧西武ライオンズ球場や西武園ゆうえんちなどを設計した建築家 池原義郎だ。細い木材を並べ優美なアーチを描いた天井や、縁取られたカウンターの丸み、鶴や灯籠を配した中庭などに建築家の意匠を感じる。創業当時から使用される座り心地の良い椅子は、1940年創業の家具メーカー「天童木工」のものである。

看板商品は、創業時から代々受け継いできた「オムライス」。卵の中には一般的なケチャップライスの代わりに、知人のフレンチのシェフから作り方を伝授されたカニピラフが包まれている。本物のカニ身を使ったり、大量のタマネギを3時間以上炒めるなど、専門店レベルの味わいが楽しめる。

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  • 世田谷区

物語から飛び出してきたような、鮮やかな水色の外壁が印象的な「旧尾崎テオドラ邸」。「憲政の神様」と呼ばれた尾崎行雄の妻、尾崎テオドラ英子がイギリスから日本へ渡る際に父から贈られた建物とされる。明治21年に建てられ、昭和8年に現在の地へ移築された。

2020年に解体危機にあったところを、漫画家の山下和美と笹生那実が発起人となり保存プロジェクトが発足。19世紀後半に日本に伝わったとされる下見坂コロニアル様式が基盤となっており、趣のあるスイッチや木製の床などは当時そのまま。開閉の仕組みすらわからなかった窓枠も、数寄屋や寺社建築をおもに手がける建築家の手によって無事修復された。

建物内はギャラリーと喫茶室、ショップの3つで構成されている。喫茶室では専属パティシエが作るスイーツやアフタヌーンティー、紅茶などが楽しめる。喫茶室の利用については、入館チケットの事前購入が必要なので注意してほしい(席予約付きギャラリー入場券1,000円、アフタヌーンティー付きギャラリー入場券5,950円、税込み)。

  • 浅草橋

2024年4月、浅草橋にオープンしたスペシャルティコーヒー専門店。原宿で人気のカフェ「ドットコムスペーストーキョー(dotcom space Tokyo)」の姉妹店で、設計はいずれも家具ブランド「石巻工房」を運営する芦沢啓治建築設計事務所が手がけた。

店舗の内装は、公園の目の前というロケーションに合わせて白色と木を基調にし、公園とシームレスにつながるようなデザインになっている。家具は全て「石巻工房」と「カリモク家具」で統一した。

提供するコーヒーは「スペシャルティコーヒーを知るきっかけを作る」をコンセプトに、豆の個性を感じやすい浅いりから中いりまでの豆を常時3〜5種類用意。スペシャルティコーヒーだからこそ味わえる、爽やかな酸味やフルーティーな味わいを持つものを中心にラインアップしている。ハンドドリップコーヒーに加え、カフェラテなどのエスプレッソドリンク、自家製スイーツなどが楽しめる。

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  • 経堂

グッドデザイン賞を始め数々の受賞歴を持つ「成瀬・猪熊建築事務所」が建築設計を手がけた、実力派ロースタリーカフェ。築50年を超える一戸建てをリノベーションし、1階を店舗、2階を居住スペースにした。

店内が狭く感じないよう天井から採光する工夫や、店舗前に緑豊かな飲食スペースを設けるなど、こだわりが感じられる。

店主の近藤剛は国際焙煎(ばいせん)大会で優勝、日本エアロプレスチャンピオンシップで3位を獲得するほどの腕前と、日本でも数少ない「Qグレーダー」というコーヒー鑑定士の資格を持つ、いわばコーヒー界の実力者だ。スペシャルティコーヒーの中でも、「フルーティーさと甘み、おいしさにつながる複雑性を兼ね備えるコーヒー」にこだわり、常時20種類ほどの豆をラインアップしている。

不定休があるため、訪れる際は公式SNSで確認してほしい。

  • カフェ・喫茶店
  • 表参道

オランダ・ロッテルダムの建築家集団MVRDVが設計した、表参道の複合ビル「ジャイル(GYRE)」にあるシックなカフェ。

ビルには、シャネル、デルヴォー、コムデギャルソンなどのファッション・ブティックが軒を連ねる一方で、4階はフード専用フロアとなっており、カフェ、グルメ食料品店、2つのレストランに分かれている。

「ユニ(Uni)」はスペースの半分を占め、高さの異なる木製キューブで構成された見事な座席エリアが特徴的である。

手がけたのは、建築家の田根剛。土からインスピレーションを得て設計され、床や壁はさまざまな種類の土で覆われている。周囲の緑が自然な空間を演出し、カフェに森のような雰囲気を与えている。

禅的な雰囲気が漂うこのカフェは、街中の喧騒(けんそう)を忘れさせてくれる最高の隠れ家だ。

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  • カフェ・喫茶店
  • 多摩地域

板金の折り鶴や壁掛けオブジェを展開する「ウチノ板金」が手がけるカフェ。国内外で人気の高い、美しい折り鶴などの作品も購入できる。

デザインは隈研吾が監修し、印象的な外壁には神社の緑青銅板が再利用されている。銅板の位置や角度、並べかたも一つ一つ隈が細かく指定したそう。陽の当たり具合で色の濃淡が異なるだけでなく、西日に照らされたコントラストに至るまでこだわり抜いたファザードは、ぜひ一度見てほしい。

内装は黒の漆喰壁を基調とし、柱や梁(はり)などは元の建築をそのまま生かしつつ補強。カウンターやランプシェードは、熟練の板金職人の技術で真鍮(しんちゅう)板を加工したものだ。テーブルや椅子、食器も、さまざまな職人による手仕事が光る。

隈のデザインと、日本が誇る板金の技術を掛け合わせた同店を訪れてみては。

東京をカフェで巡るなら……

  • カフェ・喫茶店

日本で古くから愛される、抹茶。以前は日本茶専門店でしか味わえなかったが、最近では街中のカフェで気軽に楽しめるようになった。都内には抹茶専門店も登場し、抹茶を使用したスイーツやドリンクのバラエティーが一気に増えたとともに、驚くほど高いクオリティーの商品も生まれている。

今回は都内で味わえる数多の抹茶メニューの中から、特におすすめの商品を厳選して紹介する。

  • カフェ・喫茶店

東京にいながら、緑豊かな空間にほっと心ほぐれる公園周辺のカフェ。井の頭恩賜公園にある隠れ家から昭和記念公園内の最新カフェまで、ルクスを感じてゆったりくつろげる店を厳選して紹介する。

穏やかな風を感じながらオープンエアのテラスで食事を楽しむもよし、テイクアウトした入れたてのコーヒーを片手に公園で物思いにふけるもよし。少しだけ足を延ばして、自分だけの特別な時間を過ごしてみては。

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  • カフェ・喫茶店

数えきれないほど多くのカフェが存在する東京。もちろん、行きつけの一軒を持っている人も多いだろう。

目当てのドリンクやフードを味わう、友人とおしゃべりを楽しむ、ちょっとした作業をする……。カフェに行く目的は人それぞれだが、「癒やされに行く」というのもまた一つの選択肢。ここでは、一人でゆったりと過ごしたくなるような植物のあふれるカフェを5つ紹介する。

話題のホテルにあるコーヒーショップに、一人の読書時間を堪能するのにうってつけのカフェ、はたまた奥多摩の大自然を背景に優雅なひとときを過ごせる一軒など、同じ植物でもそれぞれに個性の際立つ5軒をラインアップ。普段とは一味違ったカフェ時間を楽しんでほしい。 

  • カフェ・喫茶店

美術館に行った際は、写真を撮ったりグッズを買ったりするが、近くのカフェで一休みをしながら余韻に浸るのも醍醐味(だいごみ)の一つだろう。美術館の中には、作品をモチーフにしたメニューを味わえたり、四季折々の景色が楽しめたりと、特徴的なカフェが備わっている施設もある。

ここでは、近代的な美しい建築や芸術作品に囲まれた店など、魅力的な美術館併設カフェを8つ紹介。アート巡りの時間をより充実させてほしい。

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