GOGOボーイになるまでの道のり
ーTAIGAさんの活動について教えて。
GOGOボーイとして活動して9年目です。主にゲイイベントのステージで踊ってフロアを盛り上げるほかにも、シャンパンボーイやイベントのフライヤーモデル、アプリや企業のアンバサダーとして活動しているよ。
GOGOといえば、素肌を見せて踊る男性といったイメージがあるかもしれないけど、必ずしもそうであるとは限らない。というのも、最近増えてきたビジュアルに特化したクィアイベントではファッションやメイクにフォーカスしたり、下着ブランドが協賛しているイベントではそのブランドが制作した衣装を身に付けてショーをしたり、それぞれのイベントに合わせて表現を変えることもある。
ファッショニスタたちが集まるクィアパーティー「fancyHIM」にて。GOGOボーイのYUHEIと出演した時の様子(Photo: YURI HORIE)
ーGOGOボーイを志したきっかけは?
今のルーツをたどると、小学生の頃。学校のイベントでバンドグループが来てくれた時、目の前で演奏してくれているのに周りは冷静に座って見てたんだよね。その時「こんなに楽しく盛り上げてくれてるのに、なんで座ってるの!?」と思って、500人以上の子どもたちがいる体育館で、居てもたってもいられなくなって自分一人で踊り出しちゃったの(笑)。
そしたら、バンドの人がステージに上げてくれて、それを見た全校生徒は立ち上がって、体育館内がダンスフロアみたいに盛り上がった。その時の喜びやうれしさは大人になってからも覚えていて、いつか人前に立つ仕事がしたいと強く思うようになったかな。
メンズ下着ブランドGX3のランウェイモデルとして登場(Photo: SHINYA)
ーもともと目立つのが好きな性格だったんだね。
そうかも。少なくともシャイではなかったね(笑)。学生時代を経て初めてレインボープライドのアフターパーティーに行った時、GOGOボーイという存在を知った。間近で見て「この人みたいになりたい!」と思うと同時に「自分ならもっとこういう風に盛り上げられるかも」という妄想も湧いて。
一般的には、「GOGO」になるためにはイベントの関係者やオーガナイザーに声をかけてもらうケースが多いんだけど、自分の場合、X(旧Twitter)のプロフィール欄に「GOGOボーイになりたいです」と書いて自ら志願したんだよね。それがきっかけで、とあるオーガナイザーさんと会うことになって、テキーラボーイ(フロアでテキーラをショット売りして回る男性のこと)から活動を始めてみることになった。テキーラボーイを2年間経験して、2014年にGOGOデビューしたよ。今にして思えば結構無謀だったと思う(笑)。
ーGOGOボーイになるには、テキーラボーイの経験が必要なの?
当時はGOGOボーイになる前の段階として、テキーラボーイからスタートして顔を広めたり、クラブでの立ち回りや振る舞いを修行する風潮があった。個人的にはGOGOボーイとテキーラボーイに優劣はないと思うし、それぞれの役割を生かして支え合っているイメージがあるけど。
コミュニケーション能力に長けていてお話しが上手だとか、お酒が売れる人ならテキーラボーイに向いているし、ルックスに秀でていて魅せ方がうまい人ならGOGOボーイが向いてると思う。だから今思えばGOGOになるまでの2年間はオーガナイザーがその素質を見極めるための試用期間だったのかもしれないね。