飯田橋駅から新小川町を歩くこと10分。ひっそりとした雰囲気の住宅街の一角に現れる中華料理店がパイロン(PAIRON)だ。定番の「白龍餃子」は、あんにニラやニンニクは入っておらず、具は豚肉のみ。「マル秘香辛料」(おそらくシナモンなど)のほのかな甘い香りが、ジューシーなあんをなんともまろやかでくせになる味に仕上げている。極厚の皮はヒダのない密閉型の包み方が特徴で、気をつけて食べないと肉汁が勢いよく飛び出す。カリッと焼きあがった表面と、もちもちとした歯ごたえがたまらない。 そのほか、あんにニラをたっぷりと入れた「青龍餃子」、しょうゆ漬けのニンニクが粒ごと入っている「黒龍餃子」、皮に唐辛子が練りこまれた「レッドドラゴン」、同じくセロリが練り込まれた「セロリ餃子」など、味の種類も多く、焼き餃子、水餃子、スープ餃子、蒸し餃子などの食べ方のバリエーションと組み合わせるとかなりの選択肢がある。デザートには小豆あんこの入った「あんこ姫」もおすすめ。
中国では皮が薄い餃子を「日式餃子」と称することからもわかる通り、日本の餃子は薄皮のものが主流とされている。一説によると、日本では白米のおかずとして餃子を食べることから、ボリューム感を抑えた薄皮スタイルが発展したそうだ。しかし、いかに日本人といえど、厚皮の餃子の魅力に目覚めないままではあまりにもったいない。本記事では、もっちりとしてコシのある「皮厚め」のおいしい餃子を出す店を紹介する。薄皮では味わえない、あの幸せな歯ごたえを堪能してほしい。