チームラボ ボーダレス
『追われるカラス、追うカラスも追われるカラス、超越する空間 - 浮遊する巣 / Crows are Chased and the Chasing Crows are Destined to be Chased as well, Transcending Space - Floating Nest』(Photo: teamLab, 2018, Digital Installation, Sound: Hideaki Takahashi)
『追われるカラス、追うカラスも追われるカラス、超越する空間 - 浮遊する巣 / Crows are Chased and the Chasing Crows are Destined to be Chased as well, Transcending Space - Floating Nest』(Photo: teamLab, 2018, Digital Installation, Sound: Hideaki Takahashi)

チームラボボーダレスをディープに楽しむ7のこと

コアなファンが愛するカラスの役割や美しいチョウを生み出せる部屋など

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2018年に開業したお台場にあるチームラボの旗艦美術館、森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス2019年度の来館者が219万8284人を記録し「単一アート・グループとして世界で最も来館者が多い美術館」としてギネス世界記録に認定された世界からも注目を集める施設である。

この素晴らしいアートコレクティブには数々の「ならでは」の作品や仕掛けがある。SNS映えが先行してしまっているが、没入感のある美麗空間というだけで満足してはもったいない。さまざまな「ボーダーレス」なポイントや、知らないと素通りしてしまう場やアートが持つ背景などを7つ紹介しよう。新たな楽しみ方を発見してほしい。

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1. 通はカラスを追いかける。

チームラボ ボーダレス
『追われるカラス、追うカラスも追われるカラス、超越する空間(Crows are Chased and the Chasing Crows are Destined to be Chased as well, Transcending Space)』(Photo: Keisuke Tanigawa)
館名にもなっているボーダレスを象徴する動物が、館内のアートを自由に飛行する光でできたヤタガラスだ。チームラボの初期作品から登場しており、コアなファンの思い入れが強い生き物で、カラスだけを追いかける人もいるほどだとか。
「Borderless World」エリアでは、作品を縦断して廊下に至るまで神出鬼没に出現するため、大抵どこかで目にするだろう。主に『追われるカラス、追うカラスも追われるカラス、超越する空間(Crows are Chased and the Chasing Crows are Destined to be Chased as well, Transcending Space)』という作品名で、「浮遊する巣」「くぼみにある宇宙」「無限の透明」などの場所で観ることができる。
チームラボ ボーダレス
『追われるカラス、追うカラスも追われるカラス、超越する空間 - 浮遊する巣 / Crows are Chased and the Chasing Crows are Destined to be Chased as well, Transcending Space - Floating Nest』(Photo: teamLab, 2018, Digital Installation, Sound: Hideaki Takahashi)

この、一つの作品が固有の場を持たず境界なく連続している性質と、「浮遊する巣」などの場に入り込むことでカラスの作品が始まるという作品同士がコミュニケーションする点が同館の大きな特徴だ。さながらマルチエンディング式ゲームのような自由度があり、観賞者と同じ時間が作品の中に流れている。カラスではなく、魚を追いかければ異なるいくつもの作品の中で美しい魚たちのインスタレーションを楽しむことができるだろう。

2. 蝶を産む人々に注目する。

チームラボ ボーダレス
『境界のない群蝶、人から生まれる儚い命 / Flutter of Butterflies Beyond Borders, Ephemeral Life Born from People』(Photo: teamLab, 2018, Interactive Digital Installation, Endless)
ここでは、観客すら観察すべき対象だ。同館の大きなコンセプトの一つに「インタラクティブな体験」があり、多くの作品は観客が触れたり動いたりすることに連動して音や光、形を変える。なかでも「バタフライハウス」という場から生まれる『境界のない群蝶、人から生まれる儚い命 / Flutter of Butterflies Beyond Borders, Ephemeral Life Born from People』は特徴的な作品である。人々がそれらの空間に入り、立ち止まることで、各々の体からサナギが現れ、チョウになって飛び立ち、群蝶となる。
チームラボ ボーダレス
『境界のない群蝶、超越する空間 / Flutter of Butterflies Beyond Borders, Transcending Space』(Photo: teamLab, 2019, Digital Installation, Endless, Sound: Hideaki Takahashi)
だが、この空間は人がいなければ何も存在しない。何人かの観客が立ち止まることで初めて、美しい群れとなり、チョウたちはディスプレーの枠も部屋も超えて、「ボーダレス」に館内を舞う。それがミュージアム全体に彩りを与えるのだ。「バタフライハウス」を知らないと、この神秘的な作品を素通りしてしまう人も少なくないという。しばし足を止め、新たな作品の目覚めに参加してみよう。

3. 曖昧さを受け止める。

チームラボ ボーダレス
『重力にあらがう呼応する生命の森/ Weightless Forest of Resonating Life』(Photo: teamLab, 2018, Interactive Digital Installation, Endless, Sound: Hideaki Takahashi)
『重力にあらがう生命の森 / Weightless Forest of Resonating Life』という作品は、卵型のような物体がひしめき合う空間だ。それぞれが自立して動き、さまざまな光の色に変化し、押されて倒れそうになると特有の音色を響かせながら変色する。この物体は命をイメージしており、光は何とも名言できない色味を帯びている。「命の色とは曖昧なはず」と、あえてこうしたという。
チームラボ ボーダレス
『Chromatic Light Wall - Pass Through』(Photo: Keisuke Tanigawa)
曖昧さの表現は『Chromatic Light Wall - Pass Through』などでもしばしば見られる、チームラボ作品の密かな特徴の一つだ。「当たり前に普遍的だと信じていること全ては、世界との連続性の中で、本当はもろくはかないと思う」と代表の猪子寿之は公式ウェブサイトで語っている。物事が変わる時、多くはスイッチを入れたようにAからBにガラリと変化するのではなく、季節の移ろいのように徐々に変化していくもの。こうした、世界の中に潜む曖昧さを感じ取ることができるのも同館ならではの楽しみである。

4. 上海に親しみが湧く。

チームラボ ボーダレス
『空間を越えて共有する巨石 / Sharing Rock Mass, Transcending Space』(Photo: Keisuke Tanigawa)
上海にもチームラボボーダレスがあるのを知っているだろうか。実はいくつかの作品は、ここ東京と空間を共有している。『空間を越えて共有する巨石 / Sharing Rock Mass, Transcending Space』は、「岩塊」と呼ばれる浮遊する巨石の作品だ。上海の展示会場の通路を浮遊し、壁の中にめり込んでいくと同時に、その分だけ東京のチームラボボーダレスの壁から姿を表す。
東京の人々が触れると、作品である巨石は青く光り、その光は上海の壁にめり込んでいる巨石まで流れていく。逆に上海の人々が触れると巨石は赤く光り、その光はこちら側の巨石まで流れ込んでくる。目の前の巨石が赤く輝いたなら、それは上海で誰かが触れたことを示す。
チームラボ ボーダレス
『世界とつながったお絵かき水族館 / Sketch Aquarium: Connected World』、「From Shanighiai」という旗を持った魚群は上海から泳いできたマグロたち(Photo: Keisuke Tanigawa)
『世界とつながったお絵かき水族館 / Sketch Aquarium: Connected World』では、観客が描いたマグロが上海とサンフランシスコと東京の同じ作品内を回遊している。今後マカオともつながる予定だ。言葉も文化も違う誰かと同じ作品でつながっていると知るだけで、不思議とうれしくなるのはなぜだろうか。

5. 食物連鎖はアートで学ぶ。

チームラボ ボーダレス
『グラフィティネイチャー 山山と深い谷 レッドリスト / Graffiti Nature - High Mountains and Deep Valleys,Red List』(Photo: Keisuke Tanigawa)

『グラフィティネイチャー 山山と深い谷 レッドリスト / Graffiti Nature - High Mountains and Deep Valleys,Red List』という作品は、観客自らが描いた生物によって作られる自然界だ。

文化庁の「記念物100年事業」と連携したもので、自分が絵に描いたチョウやヘビやカエルをスキャンしてアートの中に取り込むと、動き回り、増殖し、ほかの生きものを食べ、そして食べられたりする。アートの中に自然の食物連鎖が再現されているのである。また、観客が色や模様を付けて命を吹き込む生物は、ギフチョウやシュウダ、オオサンショウウオなど全て国内で絶滅の恐れがある「レッドリスト」に指定されている野生動物たち。

ヘビはチョウを食べ、そのヘビはオオサンショウウオに食べられる。全ての生物は観客に踏みつけられるとまるで体液をまき散らすように色を吐き出し、少しずつ薄くなっていく。生物同士が役割を持って関わり合うことで成り立つ生態系が、気候変動や人間の活動によって乱れてしまうという環境問題を自分で描きアートの世界に投入することで体感し、考えることができる作品なのだ。

6.公式アプリをダウンロードしておく。

チームラボ ボーダレス
チームラボのアプリを開くと、近くの作品が表示される(Photo: Keisuke Tanigawa)
同館はボーダレスな性質上「地図のないミュージアム」であり、作品説明もほとんど館内に存在しない。しかし「直感的に感じるしかない」と割り切るのはまだ早い。もし作品を深く理解したいなら、事前に公式ガイドアプリをダウンロードしよう。位置情報を読み取れるように設定しておけば、作品に近づくとアプリ内にその作品名と説明が表示される。

7.ペットボトルフリーの理念に共感する。

チームラボ ボーダレス
アルミ缶入り飲料水(480ミリリットル入り)(Photo: MORI Building DIGITAL ART MUSEUM teamLab Borderless)

チームラボボーダレスの自動販売機にはペットボトルは並んでいない。ミネラルウォーターでさえ、アルミボトルを販売している。これは、アルミ缶の回収率がペットボトルよりも高く、素材の特性を失うことなく、ほぼ100%再利用できるためだ。日本では、まだ水をアルミ缶で販売するのは一般的ではないが、アメリカではペプシコーラでおなじみのペプシコ社とコカ・コーラ・カンパニーの大手2社はいずれも提供している。

チームラボについてもっと知る

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お台場にある森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス(以下、チームラボボーダレス)が、2023年に東京都心部に新たなチームラボボーダレスを開館することが分かった。同館準備のため、現行施設は2022年8月31日(水)に閉館する。

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自然とデジタルが融合した新たな境地にチームラボが到達した。開業3周年を迎える豊洲のチームラボプラネッツ トウキョウ DMMは、2021年7月2日(金)から、2つの大型庭園作品を加えた新エリア『Garden Area』をオープンする。

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茨城の水戸市にある偕楽園は、1842年に開園した歴史ある庭園だ。日本有数の梅の名所としても知られており、毎年2月から3月にかけて約100種、3000本の梅が咲く。梅の開花に合わせて行われる『水戸の梅まつり』には毎年多くの人が訪れるが、今年は同時期にチームラボの特別企画展が開催される予定だ。

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ところざわサクラタウンに隣接する東所沢公園にチームラボが常設展を展示する。『チームラボ どんぐりの森の呼応する生命』と名付けられたこの作品は、東所沢公園の一部にオープンする武蔵野樹林パークに展示される。

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