「ウォーホル×京都」という斬新な組み合わせ
ーお2人はアンディ・ウォーホルのどんな作品が好きですか?
チェン・ボーリン(以下 ボーリン):僕は初期の「ゴールド・ブック」シリーズや、特に「金色のマリリン・モンロー」が好きですね。一般的にアンディ・ウォーホルといえば、トマト缶に代表されるポップアート作品の印象が強いですが、今回の「アンディ・ウォーホル・キョウト」は、そうではない作品も楽しめるのが魅力だと思います。
おおうち おさむ(以下:おおうち):彼はもともとドローイングが上手で、いわゆる絵描きとしての一面も持った人なんですよね。鳥や猫の絵なんかも可愛くて、大学生の頃の僕はそっちのウォーホルばかりが好きでした(笑)。だから、チェンさんの好きな作品がゴールド・ブックのシリーズなのがとてもうれしいし、ウォーホルの魅力を深く理解していらっしゃるなと感じます。
ーおおうちさんは「アンディ・ウォーホル・キョウト」のロゴなどのデザインをされていますが、制作にあたってどんな思いを込められたのでしょうか?
おおうち:今の若い人たちが感じている、ウォーホルに対する固定観念を崩してくれる展覧会になるといいなと思っていました。ウォーホルは誰もが知るアーティストですし、図録やデザインもやり尽くされています。でも今回は京都でしか開催されない特別な展覧会であり、だからこそ、京都でしかやれない価値みたいなものをまず作りたかったのです。
例えば今、三十三間堂に展示してあるポスターは、有名なウォーホルの牛の壁紙と千手観音の写真を合わせています。そもそもウォーホルは初めて来京した際、三十三間堂に居並ぶ観音像を見て、マリリン・モンローなどで有名なリピート柄を思いついたともいわれているそうなんです。
ボーリン:へぇ~。彼は京都の仏像にインスパイアされてたんですか!
おおうち:そうそう。そういうことを伝えたくて、今回はウォーホル作品と京都という街のマッチングをずっと考えてたんです。「アンディ・ウォーホル・キョウト」のロゴに使用しているのは、三角をつないだ京都の伝統的なうろこ柄なのですが、もともと魔よけの意味を持つうろこ柄をベースに、アンディ・ウォーホルのAとWのロゴを作りました。
ボーリン:うろこ柄のロゴにはそんな意味が込められていたのですね。初めて知りました。
ーチェンさんは「アンディ・ウォーホル・キョウト」のアンバサダーに任命された時、どんな感想を持たれましたか?
ボーリン:(僕は)以前ニューヨークに滞在していたことがあるのですが、そこで開催されたウォーホルの展覧会も見ていて、常に身近な存在だと感じていました。僕自身アートが好きなのはもちろんですが、ウォーホルのコレクションを所有しているアート好きの知人がいたり、今から4~5年前に北京で開催されたウォーホルの展覧会の主催者が友人だったりと、何かと縁がある気がします。
特に今回は、「ウォーホル×京都」という斬新な組み合わせで開催される唯一無二の大回顧展であり、そのアジア圏に向けたアンバサダーを務めるという貴重な機会を頂けてとても光栄です。