香りを楽しむ。
JR仙石線の終点である石巻駅は、仙台駅から電車で約1時間ほど。街中には、石巻を愛した漫画家、石ノ森章太郎のキャラクターが点在し、微かに潮の香りを含んだ風が吹いている。
そんな石巻市街地エリアは、東日本大震災以降、使われなくなった建物がアートスペースとして利用され、再生が進む。RAFのインフォメーションセンターがある旧観慶丸商店もその一つ。
廣瀬智央『無題(ミント・ガーデン)』(2021年)(Photo: Taichi Saito)
受付を終え、2階に上ると、徐々にミントの芳醇(ほうじゅん)な香りが漂ってくる。さまざまな種類のミントがフロアいっぱいに並べられているのだ。 これらのミント、実はアーティストの廣瀬智央が地元の人々と一緒に育てたもの。繁殖力が強く、農作物にも害を与えるミントを有効活用したのだという。フロアにはじゅうたんが敷かれ、ウエルカムドリンクさながらにミントティーも振る舞われている。まずはこのボタニカルな空間を全身で堪能し、旅の疲れを癒やしたい。