歌うべき星の下に生まれていない……
―もともとバンドをやっていたとか。
そうなんです。ギターボーカルがいて、私はシンセサイザーを担当して、ドラムは打ち込みで出すという2人組のバンドでした。元々は美術が苦手で、物を作ることは得意でなかったんですが、バンドをきっかけに楽曲を作るという物作りにハマりました。
―ソロで活動するきっかけはなんだったんですか。
そのバンドのギターボーカルが辞めることになって、バンドが解散したんです。ただ、物作りに夢中になっている時だったので、音楽活動は止めたくなかった。そこでソロで活動しようと思ったんですが、私、歌がめっちゃ下手なんですよ(笑)。歌うべき星の下に生まれていないなと。
でも、ライブがしたかったし、自分で表現したかったので、今のポエトリーラップというスタイルになりました。
―歌詞が文学的で印象的です。
志村正彦さんが生きていた時代のフジファブリックや大森靖子さんが好きで参考にしていました。文学的なところで言うと、作家の高橋源一郎さんや、宮沢賢治さんも好きです。自分のアルバムタイトルにも『春と修羅』という名前をつけています。
私は日記から歌詞を書いていくのですが、けっこう論理的な歌詞作りをしていると思います。歌詞で誤解されたくないという気持ちは強いです。
歌詞の捉え方をリスナーに委ねるタイプの人もいると思いますが、趣旨が誤解されることなく伝わることを一番に考えて歌詞を書いています。