露出度高めなダンサーがロボットを操縦するレストランに、趣向を凝らしたラブホテル、眠らない新宿二丁目。東京には人間の欲望というものを追求した結果生まれた娯楽(=エンターテインメント)スポットが数多く存在する。それらは俗物的かと思えば、ときに珍妙だったり妖艶に見えたりする。そんな東京に散らばる名(迷)所を案内してくれるのは、編集者の都築響一だ。都築は、雑誌『POPEYE』、『BRUTUS』にて現代美術、建築、デザイン、都市生活などの編集を経て、東京で生活をする若者たちのリアルな部屋を撮影した『TOKYO STYLE』や、日本各地の奇妙な名所を探し歩いた『ROADSIDE JAPAN 珍日本紀行』を刊行するなどし、既存メディアが紹介しない視点から現代社会を切り取ってきた。スカイツリーや吉祥寺、銀座を東京のA面とするなら、都築が紹介するのはB面とでも言おうか。圏外編集者に導かれ、大都市東京の深層部に潜ろう。
日本でいちばんたくさんあって、いちばん外国人になじみのない場所、それがスナックだ。世界の街角には、それぞれ特徴的な「なごみ場所」がある。ロンドンではそれがパブだろうし、パリではカフェ、ニューヨークではバーなのだろう。イスタンブールではチャイハネで、バンコクなら屋台かもしれない。ここ日本では、それがスナックだ。はっきりした数字は監督官庁も把握してないと思うが、いま日本には10万とも20万ともいわれる数のスナックがある。ひとつの県に2,000軒以上ある計算だ。そのうち9割9分はカラオケつきだろう。そのすべての店で、ビールや焼酎ウーロン割りのグラスが揺れるカチャカチャ音とともに、「喝采」や「つぐない」や、「銀座の恋の物語」や「津軽海峡冬景色」が今夜も歌いつがれている。
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