日本ならではの桜と紅葉の美しさ
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ー東京でお気に入りの場所はありますか。
季節によって変わります。熱帯の国であるタイの季節は、雨季と乾季の2つだけなので、日本のそれとは大きく異なります。秋に木々が色づくこともなく、春に桜が咲くこともない。だから、春は桜の名所がお気に入りの場所となります。
大使館の近くには目黒川があり、桜を眺めながら水辺を歩くことができますね。千鳥ヶ淵も大好きな桜の名所の一つで、皇居のお堀の巨木から伸びた長い枝に桜が咲き誇っている様子には目を奪われます。
秋になると、私は妻と一緒に美しい紅葉を観に出かけます。高尾山は、紅葉がきれいなのはもちろんですが、タイに縁があるため、よく訪れています。山頂に向かう途中にはタイ国王・王室が贈った釈迦の遺骨、仏舎利を納めた白い仏塔があるのです。
また、御岳渓谷は川沿いの紅葉が美しく、お気に入りの場所です。タイの作家であるシーブラパーが書いた「絵の裏」という小説があります。日本を舞台に、新興エリートの青年(留学生)と王族の女性との恋を描いた物語ですが、その中に御岳も登場するのです。
私は、訪日する以前の若かりし頃にその小説を読み、日本で御岳という場所を探しました。ようやく訪れた時に、その美しさに感動したのを覚えています。