Photo: Keisuke Tanigawa
Photo: Keisuke Tanigawa
Photo: Keisuke Tanigawa

日本を代表する建築家やクリエーターの公衆トイレ

アーティストが設計する渋谷区の美しいトイレに出かけよう

Tabea Greuner
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タイムアウト東京 > Things to do >日本を代表する建築家やクリエーターの公衆トイレツアー

ここ数年で急速な変化を遂げた渋谷。スクランブルスクエア渋谷スカイ、リニューアルしたパルコに続き、レイヤード ミヤシタパークがオープンし、新たなカルチャーの発信地としてにぎわっている。

日本財団は渋谷区自治体と協力し、『THE TOKYO TOILETというプロジェクトを立ち上げた。プロジェクトでは、渋谷区内にある17の公衆トイレを誰にでも使いやすく、開かれたデザインに置き換えることが目的。2020年8月から順次オープンさせており、設計は、坂茂(ばん・しげる)や安藤忠雄(あんどう・ただお)、隈研吾(くま・けんご)など、日本を代表する16人のクリエーターが参加した。

なお、同トイレを題材にヴィム・ヴェンダースと役所広司がタッグを組んだ映画が2023年に公開される予定だ。

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【New】笹塚緑道公衆トイレ

設計事務所ゴンドラ所長の小林純子は、文字通りトイレのスペシャリスト。過去37年間で、250以上の公衆トイレの設計に携わってきた。最新作は、風化したスチールで作られた円筒のトイレの上に、黄色い楕円形の大庇を浮かせたユニークなものである。

笹塚駅の線路下に位置し、男女別トイレ、多目的トイレ、子ども用トイレが設置されている。デザインにも工夫を凝らしており、ウサギのモチーフが設置されているなど、遊び心も満載。水飲み場や、子どもの高さに合わせた鏡も設置されている。

トイレは車椅子やオストメイトの利用者が使用可能、赤ちゃん用のハイチェアや、子ども用のトイレを2つ備えている

渋谷区笹塚1

【New】西参道公衆トイレ

建築家の藤本壮介がデザインした公衆トイレは、街の水場になることを目的とした、オープンエアの有機的な形が特徴だ。中央のくぼみは共同洗面台として機能し、蛇口が異なる高さに設置されていることで、誰もが簡単に利用できる。白い外装は清潔感を象徴し、中央に顔を出す小さな木は、全ての生き物をつなぐ水の重要性を思い起こさせるだろう。

中央には男女別のトイレが、左側には多目的トイレを設置。男性用トイレにも、赤ちゃん用のハイチェアが設置されている。

トイレは車椅子やオストメイトの利用者が使用可能、赤ちゃん用のハイチェアを備えている

渋谷区代々木3-27-1

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【New】幡ヶ谷公衆トイレ

東京大学でデザイン先導イノベーションの教授を務めるマイルス・ペニントンは、同大学のDLXデザインラボと共同で素晴らしい公衆トイレを制作した。

建物はコミュニティスペースとしても機能し、情報センター、ギャラリー、ポップアップストア、待合所などが備えられている。白い壁は、アート作品の展示や映画の上映に最適で、天井には多くの照明器具やフックが設置。多目的スペースには、男性用と男女兼用の2つのトイレが設置されている。

トイレは車椅子やオストメイトの利用者が使用可能、赤ちゃん用のハイチェアを備えている

渋谷区幡ヶ谷3-37-8

【New】広尾東公園

White Design代表兼クリエイティブディレクターである後智仁が手がけたトイレは、まるでパブリックアートのようだ。広尾東公園にあるこの建物は、緑に囲まれ、2つの多目的トイレが設置されている。

コンクリート製の外観は正面から見ると華やかさに欠けるが、裏側には見事な機能が備わる。巨大な照明パネルが設置され、地球の人口と同じ79億通りの照明パターンが交互に点灯。昼間は木の葉を透かしたような緑色の光、夜は月明かりやホタルを思わせる柔らかな白色の光で輝く様子が楽しめる。

トイレは車椅子やオストメイトの利用者が使用可能、赤ちゃん用のハイチェアを備えている

渋谷区広尾4-2-27

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【New】裏参道公衆トイレ

オーストラリアのプロダクトデザイナー、マーク・ニューソンが手がけたトイレは、日本の伝統的な建築様式に基づいて、石垣や銅製の「蓑甲(みのこ)屋根」を備えている。高速道路の高架下にあり道路に挟まれているが、騒がしいエリアに快適さと安らぎを生み出している。

緑色に光るシームレスな内装が、公衆トイレを明るく安全な空間へと変えている。男性用、女性用、多目的トイレの3つの個室を備える。

トイレは車椅子やオストメイトの利用者が使用可能、赤ちゃん用のハイチェアを備えている

渋谷区千駄ヶ谷4-28-1

渋谷区鍋島松濤公園

日本を代表する建築家、隈研吾によるモダンなトイレが渋谷区にある鍋島松濤公園に完成した。240本の吉野杉で覆われた5つの小屋と、それらを結ぶ小道から成るこのトイレは、縦格子を多用することで知られる隈ならではのデザイン。森の中の集落を散歩しているような感覚になることから「森のコミチ」と名付けられた

また、各トイレ内にはニーズに合わせた内装が施されており、バリアフリーのトイレや、ジェンダーを問わないユニバーサルトイレ、子供用のトイレなどを設置。小便器も男性用と女性用の2つを用意している。メタセコイアやケヤキ、桜などの丸太を装飾するなど、木のぬくもりが感じられるデザインだ。

※バリアフリーのトイレは車椅子やオストメイトの利用者が使用可能、赤ちゃん用のハイチェアや、高齢者、妊婦、授乳中の方のための設備を備えている

東京都渋谷区松濤 2-10-7

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七号通り公園

このドーム型のトイレはTBWA\HAKUHODOのチーフクリエイティブディレクター、佐藤カズーが制作したもの。「できれば何も触らずに公衆トイレを利用したい」という多くの人の要望に応えるため、音声認識技術を採用した革新的なトイレを完成させた。

この非接触の公衆トイレを作動させるには「ハイ、トイレ」と声をかけるだけだ。「トイレの水を流して」「ウォシュレットをつけて」「音楽を流して」と声に出して指示をすることで、トイレが通知音を鳴らして反応し、各機能が動作するようになっている。

トイレは球体をベースにした形で、高4さメートル。空気の流れを良くすることでにおいが滞留しない換気システムも導入されている。

※トイレは車椅子やオストメイトの利用者が使用可能

渋谷区幡ケ谷 2-53-5

恵比寿駅西口

クリエイティブディレクターの佐藤可士和が設計した公衆トイレが、恵比寿駅西口の賑やかなエリアに設置された。「WHITE」と名付けられたこのトイレは「清潔」「安心」をテーマに、白を基調とした明るく清潔感のあるデザインが特徴。

個室の建物をアルミルーバーで囲むことで軽やかさを演出し、恵比寿の景観に自然に溶け込むよう工夫されている。四角形の建物の中にはU字型に囲むように回廊が作られており、性別関係なく利用ができるトイレを5つ用意した。

佐藤はユニクロや楽天、国立新美術館などのロゴマークを手がけたことで知られるが、ブランド戦略プロデューサーとして活躍するなど多岐にわたる仕事を展開。THE TOKYO TOILETプロジェクトで使われているトイレのピクトグラムのデザインも、佐藤が担当している。

※トイレは車椅子やオストメイトの利用者が使用可能、赤ちゃん用のハイチェアや、高齢者、妊婦、授乳中の方のための設備を備えている

渋谷区恵比寿南 1-5-8

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代々木八幡

山手通り沿いにあるこの奇抜なデザインの建物は、プリツカー建築賞を受賞した建築家の伊東豊雄が考案したトイレだ。

3つの円柱型の個室トイレは、背後にある代々木八幡宮の森に生えるキノコのような形をしており、周囲の景色と調和した外観。外壁や周辺の地面には淡いパステルカラーのタイルが敷き詰められており、日没後にはライトアップされる。

※トイレは車椅子やオストメイトの利用者が使用可能、赤ちゃん用のハイチェア付き

渋谷区代々木 5-1-2

神宮前

明治通り沿いに建つこの可愛らしい建物は、『A BATHING APE』や『HUMAN MADE』などのブランドを監修するデザイナー兼クリエイティブディレクターのNIGO®がデザインした公衆トイレだ。

高層ビル群の中にひっそりと立つ、古き良き一軒家をコンセプトに作られたこのトイレは、何よりも入りやすさを最優先している。建物の中は天井が高く、トイレとは思えないような居心地の良さ。一見、懐かしさを覚えるような外観だが、そこには紛れもなく原宿カルチャーを牽引してきたNIGO®の現代的な感性が感じられる。

※トイレは車椅子やオストメイトの利用者が使用可能、赤ちゃん用のハイチェア付き

渋谷区神宮前 1-3-14

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神宮通公園

打放しコンクリートの建築物で著名な安藤忠雄は、独学で建築を学んだことで知られる。安藤がデザインしたこのユニークな円筒形の公衆トイレは、渋谷と原宿の中間地点に位置し、「雨宿り」をコンセプトに設計された。

格子状の壁で覆われた通路には出入り口が2カ所設けられており、軒先は雨を防ぐだけでなく、建物を囲む縁側のような空間になっている。トイレとしての機能のほかにも、あずまやのような役割を果たす憩いの場となりそうだ。春になると、周辺には満開の桜が咲き乱れる。

※トイレは車椅子やオストメイトの利用者が使用可能、赤ちゃん用のハイチェア付き

渋谷区神宮前 6-22-8

はるのおがわコミュニティパーク

日本を代表する建築家の坂茂が手がけるトイレは、渋谷区内に2カ所ある。その一つ、はるのおがわコミュニティパーク内のトイレは透明な壁でできているが、ドアがロックされると不透明の壁に変化する構造だ。

このトイレは、入る前に室内の清潔度の確認や、中に人が潜んでいないかなどの問題点や恐怖をクリアにしてくれる。色調は、昼間は明るい宝石の色、夜になると巨大なランタンのようにライトアップされる。 

※トイレは車椅子やオストメイトの利用者が使用可能、赤ちゃん用のハイチェア付き

東京都渋谷区代々木5-68-1

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代々木深町小公園

坂茂が手がける2カ所目のトイレ。公園内の色調と調和するように、よりカラフルな壁で作られている。

※トイレは車椅子やオストメイトの利用者が使用可能、赤ちゃん用のハイチェア付き

東京都渋谷区富ケ谷1-54-1

恵比寿公園

ワンダーウォールの代表を務めるインテリアデザイナーの片山正通(かたやま・まさみち)は、縄文時代に使われていた「川屋(厠の語源)」に着想を得て、このデザインを思いついたという。

この片山の解釈は、シンプルな川屋を模したオブジェクトと、利便性の高いトイレの機能を併せ持った空間を提供した。建物は15枚のコンクリート壁で作られ、迷路のようなスペース。男性用、女性用、だれでもトイレの三つの空間は明るく広々としており、車いすでも入りやすい造りとなっている。

※トイレは車椅子やオストメイトの利用者が使用可能、赤ちゃん用のハイチェア付き

東京都渋谷区恵比寿西1-19-1

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恵比寿東公園

恵比寿東公園にはタコの形をした滑り台があり、近隣の子どもたちからタコ公園として親しまれている。建築家の槇文彦(まき・ふみひこ)は、このような由来から今回手がけたトイレが『イカのトイレ』と呼ばれることを望んでいるという。

半透明のガラス構造はトイレと休憩エリアの両方の役割を果たし、起伏のある屋根はシックなガラスのパビリオンのようにも見える。清潔で明るく、自然光に満ちた快適な空間だ。

※トイレは車椅子やオストメイトの利用者が使用可能、赤ちゃん用のハイチェアや、高齢者、妊婦、授乳中の方のための設備を備える

東京都渋谷区恵比寿1-2-16

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