藤原歌劇団『ラ・チェネレントラ』
シンデレラの物語を喜劇にアレンジ
藤原歌劇団は『♪OPERA de STAY HOME(オペラ・デ・ステイホーム)』として、これまでの舞台映像を期間限定で順次無料配信中。
現在は、2018年4月公演の、ロッシーニ作曲『ラ・チェネレントラ』を配信している。「チェネレントラ」と言われてもピンと来ないかもしれないが、これはイタリア語でシンデレラのこと。そう、これはあの有名なペローの童話「シンデレラ」を、イタリア人作曲家ロッシーニがオペラ化したもの。ただし物語は少しアレンジされている。
第1幕の舞台は、ドン・マニフィコの邸宅。ドン・マニフィコの継子のチェネレントラは2人の姉にこき使われている。そこへ物乞いが現れ、姉たちは冷たくあしらうが、チェネレントラはパンとコーヒーを与える。実はこの物乞いは王子の先生、アリドーロの仮の姿だ。やがてラミーロ王子の使者が現れ、王子の花嫁探しのため3人の娘を宮殿に招待する。その後、この家に王子の従者がこっそりやって来るが、実は彼こそ、従者に身をやつした本物の王子で、アリドーロからここに花嫁がいると聞いて会いに来たのだ。すぐに引かれ合う二人。その後、偽の王子と従者に化けた王子が、屋敷を正式に訪問する。姉2人は偽の王子に夢中になり、舞踏会へ赴く。一方、チェネレントラはドン・マニフィコから舞踏会へ行くことを許してもらえなかったが、代わりにアリドーロが連れて行く。
第2幕の舞踏会では、姉たちが王子に結婚を迫る。一方、チェネレントラは愛する従者が実は王子だと知らぬまま、自分を口説いてきた偽の王子に「あなたの従者を愛している」と言う。従者にふんした王子は喜んで結婚を申し込むが、チェネレントラは自分を見つけ、普段の姿を見て決めてほしいと伝え、去る。
第3幕。再びドン・マニフィコ邸。チェネレントラのもとに、元の姿に戻った王子と従者が現れ、めでたく結婚となる。
「オペラ・ブッファ」(喜歌劇)と呼ばれ、早口での歌や抱腹絶倒の人間模様も楽しい作品だ。イタリア人演出家フランチェスコ・ベッロットが演出した藤原歌劇団のプロダクションでは、舞台は大きなペローの本が開かれた机の上。チーズを持ったネズミたちが恋を見守ったり、姉たちが二人して大きな鉛筆を運んだり、王子の家来たちが巨大なトランプを持っていたりと、観ていて飽きない。園田隆一郎指揮、テアトロ・ジーリオ・ショウワ・オーケストラの軽快な演奏の中で繰り広げられる、ロッシーニならではの、超絶技巧あふれる歌の数々を味わおう。
5月21日(木)14時まで、日本語字幕付き。