1. 圧倒的な歌声
なんといっても、オペラの第一にして最大の魅力は「声」。マイクを通さない生の歌声がこんなにも響くものかと驚かされるはずだ。もちろんそれは、特別な才能と鍛錬の上に成り立つもの。十人十色の声をぜひ味わってほしい。どの作品にも当てはまることだが、ここでは一人だけご紹介しよう。
その1人とは、パレルモ・マッシモ劇場 『ナブッコ』に登場するスター・ソプラノ歌手のマリア・グレギーナ。『ナブッコ』は旧約聖書に記されたエルサレム攻略・バビロン捕囚をもとにしたオペラで、バビロニア王ナブッコ(ネブカドネザル2世)、彼の長女アビガイッレと次女フェネーナ、フェネーナを愛するユダヤの王族イズマエーレとユダヤ教大祭司のザッカーリアの対立が描かれる。
『ナブッコ』を歌うグレギーナ
こう書くと難しいようだが、そこに展開するのはどこの世界にもある思い上がりや勢力争いや嫉妬。その意味では普遍的なドラマだ。グレギーナが演じるのはアビガイッレ。もはやベテランの彼女だが、そのドラマティックな歌声で、父をだまし妹を追い落として王の座に就く悪女をどう演じてくれるか期待大。なお、3幕でヘブライ人たちが歌う合唱「行け、我が想いよ、黄金の翼に乗って」はイタリア人の第二の国歌といわれる名曲である。
※2020年4月30日追記 パレルモ・マッシモ劇場『ナブッコ』(→演目
新型コロナウイルスの感染拡大による欧州の
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