穴が空いたら繕い、防寒性を高めるために布を重ね、生地を丈夫にするために糸を刺す。そうやって何世代にもわたって使い続けられたつぎはぎの着物や肌着、寝具などの衣服や布類を「BORO(ぼろ)」と呼ぶ。当時は「貧しい象徴」として恥ずかしいものだと思われていたBORO。しかし、時代とともにその評価は変わり、今や世界的なファッショントレンドになった。
浅草にあったアミューズミュージアム(2019年に閉館)では、民俗学者の故・田中忠三郎が一人で収集したという、青森県を中心とした東北地方の農民や漁民が江戸時代から昭和時代の初期にかけてに使用していた「BORO」を展示して話題に。その展覧会は2019年から2021年にかけて世界を巡回し、各地で好評を得るまでになった。
また、2013年には『ルイ・ヴィトン』、2014年には『アルチュザラ』、2015年には『コム・デ・ギャルソン』が相次いでコレクションのテーマにBOROを掲げたりと、世界のトップデザイナーたちに大きな影響を与えたことも記憶に新しいだろう。
生きるためにBOROを着ていた人々は、こんな未来を想像していなかったかもしれないが、同じ衣服を長く着続ける、同じものを使い続けるというBOROのサステナブルな考え方は、今の時代にも通じる。ここでは、初級者編、中級者編、上級者編とステップを分けて、洋服を長く着続けるために知っておきたいことを紹介する。