Photograph: Shutterstock / Time Out
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世界を代表する料理10選(北米・中南米編)

ピザ、寿司、フェジョアーダなど各都市で味わえる料理をセレクト

テキスト:: James Manning
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タイムアウト東京 > レストラン&カフェ > 世界を代表する料理10選(北米・中南米編)

料理は文化だ。それぞれの料理は、作られる地域と密接に関連しており、そこに暮らす人々の数だけ世界には料理があると言っても過言ではない。だからこそ、どのような料理が人気を博しているのかを知りたくなるというものだ。

タイムアウトインデックスは、世界中の読者3万8000人にそれぞれの街の定番料理を決めるアンケート投票を実施、その結果をもとに各都市を代表するアイコニックな料理の決定版が完成した。本記事では、世界各国の料理から北米と中南米の料理を紹介する。

アサード(ブエノスアイレス)

アサードは、「パンパ」と呼ばれる乾燥した大草原で食べられていた伝統的な焼き肉料理。今ではアルゼンチンの首都、ブエノスアイレスにある無数のパリージャ(グリルレストラン)が、おいしそうな煙を上げながら、この料理を提供している。

脂がのったステーキ肉から正体不明の内臓まで、牛、豚や鶏をグリルやじか火で調理して余すところなく食べるのがアサドの醍醐味(だいごみ)だ。チョリソやモルシージャ(ブラッドソーセージ)などのソーセージ、玉ねぎやパプリカなどの野菜も一緒に焼かれることが多い。

合わせる飲み物は、メンドーサ州産の赤ワインがベスト。アサドール(肉を焼く人)が、次々と皿を運んでくるため、明るいうちに食べ始めても、夜まで続くことが多い。 

おすすめの店:パリージャに求める全ての要素がそろっているのが、ベレス・サルスフィールドのサッカー場近くにある巨大な「肉の殿堂」、El Ferroviarioだ。

外の巨大なグリルでは、大きな牛カルビのブロックや子ブタの丸焼きなどが、ジュージューと音を立てて焼かれている。席数は400席以上あり、パンデミック前は常に満席だった。

ウエイターたちが片手に何枚もの皿をバランスよく持ち、テーブルの間をすり抜けながら、あらゆる種類の肉を配り分けていく様子がなんとも楽しい。よくオーダーするのは、牛、子豚の丸焼き、チョリソ、プロヴォレッタチーズ、モルシージャだ。—Allie Lazar (@pickupthefork)

ディープディッシュピザ(シカゴ)

ディープディッシュピザに使われる生地は、高さのある型で成形されており、硬めでバターたっぷりだ。典型的なピザというより、キャセロールのような料理と言える。

まず生地に乗せられるのは、とろとろになるモッツァレラチーズ。その上に、好きな具材(ソーセージ、ピーマン、マッシュルームなどがポピュラー)が重ねられる。最後に色鮮やかで、トマトの食感を残したトマトソースをかけて、表面がグツグツ音をたてるようになるまで焼く。食べる時にはナイフとフォークが必要だ。

おすすめの店:Netflixドラマ『エミリー、パリへ行く』では酷評されているものの、Lou Malnati’sは一貫しておいしいピザを作っている。ホールで食べきれない人は、Art of Pizza へ行くといいだろう。

たっぷり具材が詰まったディープディッシュピザを1ピースから注文できる。シカゴに長く暮らしている人が必ず挙げる地元のおすすめは、Pequod’s。しっかりと焦げ目がついたクラストと長いウェイティングリストで有名だ。—Morgan Olsen, Time Out Chicago

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タコス(ロサンゼルス)

ロサンゼルスには市旗のほかに、「タコスの旗」も作るべきだろう。この街の人たちは、タコスのためならフードトラック、テントの店、路地裏の店など、どこにでも並ぶし、さまざまな手法で調理された肉や、サルサが乗ったトルティーヤを楽しんでいるからだ。これはいわば、アンジェリーノ(ロサンゼルスの人々)の通過儀礼だろう。

人によって好きなタコスタンドは違い、タコスの種類も数多くある。例えば、トルティーヤは店によって、コーン(トウコロコシ)か、フラワー(小麦粉)かの違いがあるのが一般的で、選べる店も多い。たっぷりのアボカドサルサ(ティフアナ)、もしくはキャベツと真っ赤なトマトサルサ(ソノラ)というように、店主のルーツによってサルサに違いが出ることも多い。

メキシコの各地域の味を知ることができるのがタコスの魅力の一つだろう。タコスは常に進化するストリートフードでもある。だからこそ、さまざまな店のものを食べ歩くのがおすすめだ。

おすすめの店:ボイルハイツにあるMariscos Jaliscoでは、満足度が高いタコス・デ・カマロンが食べられる。新鮮なエビをコーントルティーヤに包んで揚げたタコスだ。

近くにあるEl Rusoもおすすめ。柔らかい食感の自家製フラワートルティーヤに、焼いて刻んだ牛肉、牛煮込み、炭火のチキンなどの具をたっぷり乗せたタコスがおいしい。両者は甲乙つけがたいので、はしごしてみては。—Stephanie Breijo, Time Out Los Angels

タコス・アル・パストール
(メキシコシティ)

タコス・アル・パストールは、メキシコの伝統的なトルティーヤと、(約100年前にレバノンからの移民によってもたらされた)縦型ロティサリーから切り落とされるうま味たっぷりの豚肉が出合って生まれた。肉は焼かれる前に、アチオート、レッドチリ、各種スパイスで調製された複雑でよい香りのする調味液でマリネされ、しっかり下味が付いている。

焼き上がった肉にパイナップル、サルサ、レモンを加えれば、メキシコシティ、そしておそらく世界で最も有名なフュージョン料理の完成だ。

おすすめの店:伝統にこだわる純粋主義者なら、最高のアル・パストールを堪能できる店として、Los Manolosを挙げるだろう。脂たっぷりの肉はよく焼かれてスパイシーだ。

一方、La Sirloineríaのような店に行くと、サーロイン肉を使ったり、トルティーヤの代わりにパリパリのチーズクリスプを使うなど、工夫を凝らした革新的なアル・パストールに出合える。Yeccan Cerveceríaには、ケバブスタイルのアル・パストールもある。だが、結局はオーソドックスなものが一番だろう。—Andrea Vázquez, Time Out Mexico

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キューバサンドイッチ(マイアミ)

マイアミでは、パステリート(ペイストリー)やクロケタ(コロッケ)など、キューバ発祥の食べ物がポピュラーだ。しかし「キューバ」と名が付いているものの、キューバサンドイッチはフロリダ発祥。19世紀半ばにタンパやキーウェストのキューバ人葉巻労働者が、工場に持って行きやすく腹いっぱいになる食べ物を必要としていたことで生まれたといわれている。

その後数十年で、厚切りのスイートハム、薄切りのローストポーク、スイスチーズ、歯応えのあるピクルス、イエローマスタード(タンパではサラミも加える)を組み合わせたシンプルなサンドイッチは、マイアミにも定着するようになった。この街では、一日のうちいつでも食べられる定番メニュー、そして観光客が初めて口にするキューバ移民の味になっている。

おすすめの店:キューバサンドイッチはシンプルだが、マスタードが少ない、ハムが多い、パンをトーストし過ぎるなど、ちょっとしたことで味が損なわれる料理でもある。

そこを上手に作っているのが、Sanguich de Miami。おいしさの秘訣(ひけつ)は、材料のほとんどを自分たちで作っているところにあるのかもしれない。例えばハムは自家製、キューバサンドイッチの重要な食材であるキューバ風パンは特注品を使っている。プレスされ、温かく、カリッとなったこの店のキューバサンドイッチからは、スイスチーズがちょうどよくはみ出してくれる。

もう一つ、Pollo Tropicalのキューバサンドイッチもおいしい。ファストフードだと軽んじる向きもあるが、7ドル(約725円)という手頃な価格で、アツアツの出来たてが食べられるこの店は、優秀な店だろう。—Virginia Gil, Time Out Miami

プーティン(モントリオール)

モントリオールのソウルフードといえるのが、サクサクしたフライドポテトにチーズカードを乗せ、温かく風味豊かなグレービーをかけたプーティンだ。そのルーツがフランス系カナダにあるという説は否定できないが、その歴史には議論の余地もある。このシンプルだが贅沢な料理を生み出したと信じられている町が、ケベック州には五つ存在するからだ。

そうした食のミステリーはともかく、プーティンが今やセリーヌ・ディオンに次ぐケベックからの「文化的輸出品」となっているのは間違いないだろう。プーティンは、食べたことがない人が想像するよりもはるかにおいしく、酒を飲んでいるほどおいしさが増すようだと考える人たちもいる。

おすすめの店:1968年から24時営業で、ずっとプーティンを提供し続けているLa Banquiseは、多くのモントリオールっ子がひいきにしている。ほかにもChez ClaudettePaul Patatesといった店も人気だ。Romadosのポルトガル風チキンをトッピングしたものや、Au Pied de Cochonの贅沢なフォアグラを使ったものなど、独自のプーティンを出している店もある。

ただ、地元人のお気に入りは人それぞれで違う。プーティンは街中にあるカスクルート(ダイナーや軽食堂)でも食べられる。自分だけのお気に入りを見つけるのもいいかもしれない。—JP Karwacki, Time Out Montreal

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ピザ(ニューヨーク)

ニューヨークのピザは実に多くの議論の種となってきた。例えば「おいしさの秘密は街の水にあるかもしれない」「炭火と薪(まき)の火では、どちらがベストか」「1ピースのピザを折って食べるのがニューヨーカーか否か(答えはイエス)」などだ。

しかし、一つの普遍的な真実がある。それは、ニューヨークで最初のピッツェリアとしてよく言及されるソーホーのLombardi’sという店で、20世紀初頭にイタリア移民が空中でピザ生地を回したとき以来、ニューヨーカーはピザを愛してきたということだ。

今ではマンハッタンやブルックリンなど、ニューヨークのどこにいても数ブロック歩けば、こんがりと焼けた生地の上に口溶けの良い赤いソースと、とろとろのチーズが乗ったピザに出合えるのだ。 

おすすめの店:ニューヨークではあらゆるシーンでピザを食べる。ワイン愛好家であろうと、ただ自然派ワインのトレンドに飛びつきたいだけであろうと、ワインに興味があるのであれば、ブルックリンのOpsがいいだろう。この店のワインセレクションと創造的なピザはどれもバリエーション豊かで、驚きがあって魅力的なのだ。

昔ながらのピザを食べたいのであれば、タイムアウトマーケットをのぞいてみよう。Juliana’sでは、ニューヨークピザ界のレジェンドといわれるパッツィー・グリマルディが手がけるピザが味わえる。—Bao Ong, Time Out New York

フェジョアーダ(リオ・デ・ジャネイロ)

フェジョアーダは、黒豆、豚肉、塩漬けの牛肉などが入った煮込み料理。「カリオカス」と呼ばれるリオの地元の人たちとっては、毎週土曜の定番メニューといえる。

家族や友人と海に入り、ビーチで日焼けを楽しんだ後、ちょうど気温の上昇と空腹を感じる昼下がりに、お気に入りのバーやレストランでオーダーするのだ。ボリューム満点で、カイピリーニャを飲みながら、ゆったりとしたペースで食べるのがいい。空腹が満たされ、アルコール度数の高いカイピリーニャがきいてきたら、あとは昼寝をするだけだ。

おすすめの店:リオ・デ・ジャネイロのビーチ沿いにある観光スポットから遠く離れたティジュカは、派手ではないがバーフード文化が注目されている地域。

その一角に、金曜と土曜のランチに豪華なフェジョアーダを出しているBar do Momoがある。大きなボウルにあふれんばかりに盛られているのは、黒豆、牛のひき肉、バラ肉、ソーセージの薄切りなど。添えられているのは定番のライス、細く切ったコラードグリーン、炒ったカッサバ粉。濃厚かつ滑らかで満足度が高い逸品だ。オプションの豚バラ肉を加えれば、さらにうま味がアップするのでマストオーダーだ。@eatrio

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ブリトー(サンフランシスコ)

サンフランシスコでおすすめのブリトーを聞くのは、けんかをふっかけるようなものだ。地元の人たちは、どの店が巨大なフラワートルティーヤに肉や豆を押し込み、最高のブリトーを作っているかを議論してきた長い歴史を持っている。

その理由はサンフランシスコが「ミッションスタイルブリトー」の発祥の地だから。このブリトーは、同市のミッション地区で、1960年代から親しまれており、ほかの地域とは違い、サイズが大きくライスが入るのが特徴だ。

おすすめの店:サンフランシスコにあるタケリア(タコスなどを売る店)の多くは、自分たちがミッションスタイルブリトーを考案したと主張している。

しかし、本物を食べたいのであれば、El Farolitoへ行くといいだろう。こんがり焼けたカルネアサダ(牛肉)がたっぷり詰まった、重さ約900グラムもの巨大なブリトーに出合える。

モダンで量も控えめな焼きブリトーで人気なのは、フードトラックのAl Pastor Papiだろう。縦型ロティサリーで焼いた豚肉のスライス、アボカド、チーズ、サワークリームをトルティーヤで包んだブリトーはまさに絶品だ。—Sarah Medina, Time Out USA

寿司(バンクーバー)

バンクーバーという街は、その海岸沿いの立地から多くの恩恵を受けている。天然の魚介類の豊富さもそのうちの一つ。

それがこの地の活気あふれる日本人コミュニティーと結びつき、寿司がおいしい街としてバンクーバーが世界的に知られるようになったのは、自然の流れだろう。今では、バンクーバーのあちこちの店で手巻き、丼もの、刺し身など新鮮な生魚を食べることができる。

おすすめの店:多文化都市を誇りにしているバンクーバーには、多くの移民が住んでおり、伝統的なものから現代的にアレンジされたものまで、さまざまな寿司が楽しめる。本物を味わいたいのであれば、Sushi By YujiToshi SushiSushi Bar KilalaMasayoshiがおすすめ。

握り寿司を軽くあぶって提供するバンクーバー名物「炙り寿司」も、この街に来たらぜひ味わってほしい。MikuYui Japanese Bistroといった店で食べられる。—Bethany, Bites of Vancouver

ほかにも世界の料理を楽しみたいなら

料理は文化だ。それぞれの料理は、作られる地域と密接に関連しており、そこに暮らす人々の数だけ世界には料理があると言っても過言ではない。だからこそ、どのような料理が人気を博しているのかを知りたくなるというものだ。

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  • 南アメリカ料理
東京、コロンビア料理4選
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南米大陸北部に位置するコロンビア。コーヒー豆やジャガイモ、カーネーションの産地として有名だが、近年では、日本サッカー界の宿敵としてのイメージを持つ人も多いのではないだろうか。

2014年ブラジルワールドカップでは日本が1-4で敗北。2018年ロシアワールドカップでも予選グループで同組となったが、日本が2-1で勝利し雪辱を果たした。何かと名前を耳にするこの国の文化を、一度体験してみてはどうだろう。東京都内で見つけた、コロンビア料理を味わえるレストランを紹介する。

池袋、エスニックの名店7選
池袋、エスニックの名店7選

暑い夏になると、特に食べたくなるアジアンエスニック。パクチーやグリーンカレーが大好き、という人も急増し、ハーブが香る独特のスパイシーな味わいは、日本でも近年、確実に市民権を得た。

東京には数えきれないほどのタイやベトナム料理の店があるが、実は池袋駅周辺は特に名店が集まる、都内有数のエスニック激戦区だ。駅ナカで大人気のタイ屋台料理店に、タイ国政府から「本場の味を再現している」と正式認定を受けた店、2019年に上陸したばかりのベトナムフォーの老舗店、ハラル認定のマレーシア料理専門店など……。いずれも池袋駅から徒歩5分圏内なのも便利。ここでは、エスニック好きが気軽に足を運べる、七つの店を紹介する。

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ミシュランガイド星付き店の数はぶっちぎりの世界一(2位のパリの2倍以上)、星なしの店も含め、総じて飲食店のレベルが高い東京。中華、フレンチ、イタリアンをはじめ、急増中のタイ、ベトナムなどのアジアンエスニックまで都内では世界中のあらゆる料理が楽しめるが、ラテン系のレストランも頭角を表している。

ここで言うラテン系とは、タコスやブリトーがすぐ浮かぶメキシカンや、シュラスコが有名なブラジル料理、聞き慣れないが一度食べるとハマるキューバン(キューバ料理)、意外に日本人の好みと合うアルゼンチン料理まで広く含む。

ラテン系レストランはどこも、日本人がイメージする通りの陽気でゆるりとした空気に満ちており、店を訪れるだけで楽しさが込み上げてくる。スパイスの効いた独特の辛さや食感もいいが、一緒にマルガリータやモヒート、メスカル(メキシコの蒸留酒)、ピスコ(ペルーの蒸留酒)を合わせれば、さらにテンションが上がるだろう。

ラテン好きな人も初めての人も、この夏、東京で南米気分に浸ってみては。都内の人気店10軒を紹介する。

すり潰したヒヨコマメ(ソラマメを使う地域もある)にハーブやスパイスを加え、丸く成形して素揚げしたファラフェルは、地中海沿岸、中東諸国で幅広く愛されている定番フード。植物性の素材だけで作られているのに、非常に食後感が高く、前菜やおつまみとして、また一口大のファラフェル数個と、野菜、フムス、タヒーニ(ゴマソース)などの具材とともにピタパンで挟み、ファラフェルサンドイッチとして食されることも多い。

ここでは、東京都内でおいしいファラフェルが食べられる店を10軒紹介する。カリッと揚がったファラフェルは、ザクザクした表面の食感と中のふわっとした食感の対比が楽しいだけでなく、スパイスの香りがきっちりきいており、手頃でいてヘルシーなファストフード。お気に入りの一軒を見つけてみてほしい。

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