ネゴンボ33 高円寺
Photo: Yoko Asano
Photo: Yoko Asano

東京、スパイスカレーの名店5選

朝7時から行列、30分で予約完売など、日本人シェフの名店を紹介

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テキスト:浅野陽子(フードライター)

東京のカレーが今、何度目かのブームを迎えている。コロナ禍の飲食業界不況にもかかわらず、人気店には早朝から客が並び、予約困難店の攻略法をYouTubeで紹介するカレーマニアも登場。スパイスカレー本の専門コーナーがいくつもの大手書店で作られるなど、注目が集まっている。

タイムアウトでもたびたびカレー特集を組んできたが、ここでは定番の欧風やインド、タイカレーは除外。日本人シェフのオリジナルスパイスカレーとアチャール(インドの漬物や付け合わせ)を楽しめる店に絞って紹介する。

いずれも大人気で、朝7時台から行列ができる店や、取り置き予約が30分で完売してしまうなど、ハードルが高い店も多いが、どれも最高の体験ができるだろう。刺激感たっぷりのスパイスカレーは、意外と腹にもたれず、食べ終わると適度な満足感とともに心身がすっきり爽快になる。

いろいろなことがあり過ぎた2020年、スパイスカレーで気分を一新し、年末まで走り抜く力をチャージしてみては。ほとんどの店でテイクアウトも可能だ。

  • 大久保

※テイクアウトあり

大久保駅すぐ近くのカレー専門店。店主の斎藤絵理(さいとう・えり)が好物の、魯肉飯をカレーと一緒に楽しめるメニューもある。

カレーはチキンやラムを使った定番カレーと、期間限定カレーが注文できる。スパイスの辛みや香りと、具材のうま味が突進してくるようなインパクトのある味。どれも強烈で個性的なのに、なぜか万人に好まれる不思議なカレーだ。一度スプーンを入れると夢中で食べ進めてしまう。

「一度食べると抜け出せない」「天才が作る味」と多くの客から熱狂的に支持され、午前11時から午後2時のランチの入店枠を求めて、平日朝7時台から大行列ができる。ディナーは火曜と木曜のみ営業し、こちらも行列必至だ。

最低3時間待ちは覚悟しなくてはいけないが、スパイスカレー好きにはぜひ一度は食べてほしい味。

サンラサー

東新宿にあるカレー専門店。外観は全く目立たないがこの店の人気はすさまじい。

火、水曜のランチ限定で営業、早いもの順で1日30食のみ提供する。そのほかに10食だけ取り置き可能分がある。取り置き分を予約したければ店主の有澤(ありさわ)まりこのInstagramのフォロワーとなり、営業日前日の15時以降に連絡し予約するシステムだ。

通常提供分は長蛇の列、取り置き分も予約受け付け後30分で完売になるという。初心者にはかなりハードルが高いが、有澤がその日の天候や気温、客の体調まで考えて作るオリジナルのカレーはなんとも言えないおいしさで、一度食べると忘れられなくなる。スパイシーでボリュームたっぷりだが不思議と腹にすっきり収まり、午後も眠くならない。

定期的に内容が変わるオリジナルのカレー2種をどちらか1種、または両方、さらに2種盛りに手作りのアチャール(インドの漬物)を数種類乗せたものと、三つのパターンでオーダーできる。

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  • 下北沢

※テイクアウトあり

下北沢駅前の繁華街を抜けた住宅街にあるカレー専門店。外観はなぜか昭和の写真店のようなたたずまいなので、見落とさないように注意を。

バターチキンカレーやエビのカレー、名物の『合挽肉のスパイシー焦がしキーマ』など4種のうち、1種または2種盛りで注文するシステムだ。豆や野菜を使った副菜、季節の食用花とフルーツ(ブドウやイチゴなど)が乗ったワンプレートで提供される。

美しい盛り付けで、インスタ映え狙いの女性客も多いが、単純にカレーは本当にうまい。焦がし風味で、辛い中にほんのり甘味を感じるキーマカレーはぜひ注文を。この店一番の人気カレーだそうだ。

週2回テイクアウトする地元の常連もいるとのこと。イートインならランチやディナーの開店すぐから昼前までに到着すれば比較的入りやすい。 

  • 初台

※テイクアウト&デリバリーあり

初台駅にあるカレー専門店。20年近く西武新宿線沼袋駅前で営業したが2016年に同地に移転。「和魂印才」という店名通り、インド料理店で修業した店主が梅干しやゴマ、シソなどを使った和風とインド折衷の独創的なカレーを提供する。

スパイスの刺激感がしっかりあるプロの味ながら、母親が昔作ってくれた料理のような、懐かしさと親しみを感じるのがなんとも不思議。そしてクセになる。

その日のカレー3種類から、2種盛りまたは3種盛りを選ぶ。全てのカレーにサラダと付け合わせが付くが、ピクルスのほかキンピラや高野豆腐を使った和総菜で、カレーと合わせて食べ飽きない。

土曜夜にディナーを不定期営業することもあるが(FacebookInstagramブログで事前告知)、営業は平日週3日、ランチのみ。開店少し前から並べば確実に入れるだろう。

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  • 高円寺

*テイクアウトあり

西所沢にある人気店が、2018年に高円寺南口すぐに出店。元食品会社勤務のオーナーシェフが作る、オリジナルの味が評判となっている。2020年には新宿ゴールデン街店もオープン。

ラムのひき肉を使ったキーマカレーとポークカレーが定番メニュー、新メニューのビーフカレー(不定期で販売)もある。カレー1種、または2種盛りで、野菜のアチャール(インド風ピクルス)も一緒に提供。

名物のラムのカレーは濃厚かつまろやかでラム肉特有の臭みがほとんどなく、苦手な人も楽しめるだろう。ポークはスパイスがたっぷりきいており、店いわく「スパイス風角煮カレー」。ごろごろ入った豚肉と一緒に味わっていると、背中から汗が吹き出して爽快な気分になる。

カレーの有名店が多い高円寺でも人気店だが、開店直後から昼過ぎまでは客足が遅いので狙い目だ。

ライタープロフィール

フードライター。食限定の取材歴20年、「dancyu」「おとなの週末」「ELLE a table(現・ELLE gourmet)」「AERA」「日経MJ」「近代食堂」など食の専門誌を中心に、レストランや料理人への取材多数。テレビのグルメ番組への出演実績もある。「NIKKEI STYLE」(日本経済新聞社)の人気コーナー「話題のこの店この味」で毎月コラム連載中。

東京のカレーマニアになるなら

日本の国民食、カレー。大元はイギリス人がインドの煮込み料理を「カレー」と名付けたことに始まるそうだが、日本には明治初期に伝わった。以降、日本独特の進化を続け、現在ではカレーの中でもさらにジャンルが細かく枝分かれし、人気店が生まれている。

タイムアウト東京でもエリアや、ジャンルなど切り口を変えて何度も特集を組んできたが、未だ日本のカレー界の全容を捉えることは難しい。

ここでは、インドのカレーをメインにタイカレーや、日本のカレーのベースである欧風カレーまで紹介する。カレーマニアにとっては、ジャンル分けやセレクトに賛否両論あるかもしれないが、一つの基準として東京のカレー探訪の参考にしていただきたい。

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  • インド料理

古書店探訪で知られた神保町だが、大学や出版社、企業のオフィスも多く、実は飲食店がとても充実した街でもある。なかでもカレーは名店が集まっている。

神保町でカレーが食べられる店は400軒以上あるとも言われており、スパイスがきいた本格的なインドカレー、濃厚な欧風カレー、さらっと食べやすいが後を引くスープカレー、ハーブとココナッツミルクたっぷりのタイカレー、オリジナリティーあふれるカフェのカレーなど......目移りするほどあらゆるタイプのカレーが味わえる。

地元のカレーフェス『神田カレーグランプリ』(2011年から毎年開催)常連の店を含め、人気店や個性あふれるカレー店を紹介する。辛さの度合いが自分で選べる店も多く、バリエーションは無限。神保町カレー全制覇までの道のりは果てしなく遠く、またワクワクするだろう。

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